美しい名機を生んだノースアメリカンのベンチャー戦略;レンドリースの翼たちその2

美しい名機を生んだノースアメリカンのベンチャー戦略;レンドリースの翼たちその2

戦前の米海軍機の派手な衣装も良く似合うテキサン(Ferte Alais エアショー)downsize
(戦前の米海軍機の派手な衣装も良く似合うテキサン(Ferte Alais エアショー))
駆け出しベンチャーの世紀の大ヒットAT-6テキサン/ハーバード
当時駆け出しベンチャーのノースアメリカン社(North American Aviation)の新社長キンデルバーガー氏(James H. "Dutch" Kindelberger,)の開発販売戦略は一発目から空前の大ヒット。それは1万5千機以上生産、61か国で長らく使われた高等練習機AT-6テキサン/ハーバードです。
飛行服もレトロなショータイムのテキサン出撃(Ferte Alais エアショー)downsize
(飛行服もレトロです、ショータイムへテキサン“出撃”(パリ郊外Ferte Alais エアショー))





タキシング中のお仏蘭西空軍のマークをつけたテキサン(Ferte Alais エアショー)downsize
(タキシング中のお仏蘭西空軍マークをつけたテキサン(Ferte Alais エアショー))
半数のテキサス人は名門ハーバードに入りました
生産されたAT-6の半数近い6,200機は英国と英連邦でハーバード(Harvard)の名で愛用されました(テキサス人(Texan)が名門ハーバード大に入学したと岡部ださく氏も著書で書いています)。
このようにAT-6の成功はレンドリース法と英連邦乗員養成プログラムにうまく乗った幸運もありますが、そもそも設計コンセプトに優れた傑作機でした。

テキサンなど練習機の過去記事はここをクリック↓
1年生が乗ります練習機は安心安定のデザインでなきゃT-6テキサン

シルバーがまぶしい本家米空軍のテキサンREVdownsize再掲
(シルバーがまぶしい本家米空軍のテキサン(再掲))
レンドリース法「みんなの武器は僕が作る」
1941年に米国法として成立したレンドリース法(Lend-Lease Acts)は戦時下、米国が他の連合国に武器を大量に貸してあげる(でもソ連など返済しなかったからあげたようなもの)というもので、陸海空のあらゆる兵器が含まれていました。レンドリースの主な貸し先はソ連と英国及び英連邦諸国。
「レンドリースの翼たち」の前編記事はここをクリック↓
地味で便利なB-25ミッチェル-レンドリースの翼たち その1

ATFEROのレンドリース機フェリールートREVdownsize
(英国のレンドリース機を輸送するための組織ATFERO(Atlantic Ferry Organisation)のフェリールートは両大洋を跨いでいます)(出典著書の図を加工)
2つの世紀にまたがる英国の超長期ローン
盟友である英国でさえも全額返済したのはなんと21世紀の2002年。米国が「連合国の工場」として兵器を提供したというのが実態でしょうね。

英国と英連邦に貸したレンドリース機ランキング
(英国と英連邦に貸したレンドリース機ランキング)
レンドリ-ス、実はノースアメリカンのドル箱?
レンドリースされた兵器にはもちろん多くの航空機も含まれ、しかも第一線機、その1つが先のお話のB-25ミッチェルで872機が英国/英連邦へ、同じノースアメリカン社製のムスタングは2,600機、更にハーバード(テキサン)は練習機とはいえなんと6,200機が蛇の目を纏いました。
ノースアメリカン社は“レンドリースで大当たり”だったようですね(グラフの
印)。

鯉みたい白い口がが印象的なセイバー(Duxford IWM)downsize
(鯉みたい白い口が印象的なF-86セイバー(英国Duxford IWM博物館でデモ飛行しました))
キラ星のごとく傑作機を世に送ったノースアメリカン
ノースアメリカンと言えば?T-6 テキサン、P-51ムスタング、F-86セーバー、A-5 ビジランティ、幻のXB-70ヴァルキャリー、B-1とキラ星のごとくいずれも美しい名機、傑作機を生み出した航空機メーカーですね。みんな大好き♡です。そして前回の「レンドリースの翼」、B-25 Mitchellも。

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過去の記事リストは下のイラストをクリック
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全身ピカピカまっ黄色のハーバード(RAF博物館)downsize
(全身ピカピカの“まっ黄色”のハーバード(RAF博物館))
M&Aとヘッドハンティングで花開いたベンチャー
1928年創立後間もないノースアメリカン社を大企業ゼネラルモーターズが買収して経営を安定させ、後にP-51ムスタング開発で名声を馳せるキンデルバーガー氏をCEOとしてヘッドハンティングして招きます。これが後のノースアメリカン社成功の礎となります。

T-6 Texan 三面図downsize
(T-6テキサンの三面図)
ベンチャー戦略の定石?まずはニッチ市場を狙え
“すご腕CEO”のキンデルバーガー氏の「まず最初は大手と競合しない練習機市場にフォーカスする」優れた戦略で名機テキサンが生まれノースアメリカン社はブレークします。

オリーブドラブ衣装で渋味が増したテキサン(Duxford IWM)REVdownsize
(オリーブドラブ衣装で渋味が増したテキサン(Duxford IWM))
次はB-25で一気にグローバル・マーケット・・のはずが
そしてNA-40(後のB-25 Mitchell)は、そのテキサン後の、そして大ヒットP-51ムスタングに先立つ、社運を賭けた本格軍用機の国際市場への挑戦だったのです。
前編でご紹介したようにNA-40は英仏にフラれてしまいUSAAFに拾ってもらうことで傑作機になります。
ノースアメリカン社(North American Aviation)は今ではボーイング社(Boeing)の一部になっています。


レンドリースの本REVdownsize
(レンドリース機の本;“Lend-Lease Aircraft in World War II”)
えらいこっちゃ、ヒコーキが足りん
第二次大戦勃発直前「ヒコーキが足りない!」とあわてた英国は購入委員会(British Purchasing Commission)を米国に派遣しその工業生産力を頼んで武器調達を図りました。
彼らは新興のノースアメリカンに「老舗カーチスのP-40の下請け生産」を頼みました、ま、手堅い要請ですけど・・。


この角度のムスタングはまさに駿馬(RAF博物館)downsize
(この角度から見るP-51ムスタングはまさに駿馬(ロンドンRAF博物館))
老舗の下請けを蹴って自前の新設計で勝負した英断
ところが、キンデルバーガー氏率いるノースアメリカン社は「いや、その代わりすぐもっといい新型機作りますよ」と、「じゃ、120日でやってみて」と無茶ブリ、でもたった9ヶ月でNA-73、後のP-51ムスタングは完成し初飛行。
しかもP-40をはるかに凌ぐ高性能でその後RAFに重用され、やがて第二次大戦の最優秀戦闘機となります。当時、戦闘機など高性能機は2,3年の開発期間が普通ですから素晴らしいベンチャーです。


デモ飛行から帰還のP-51ムスタング(Ferte Alais エアショーにて)downsize
(デモ飛行から帰還のP-51ムスタング(パリ郊外Ferte Alais エアショーにて))
マーリンなしでも低空なら無敵のムスタング
P-51の成功はマーリン・エンジンとよく言われますね。確かにその寄与は大ですが、アリソン・エンジンのRAFのムスタングMkⅠA, MkⅡ(P-51A)でも低空ならFW190をも圧倒しましたからそのデザイン、コンセプトがいかに秀逸だったか、分かります。
やっぱり美しいヒコーキは性能も素晴らしいと言うことでしょうか。

P-51の関連過去記事はここをクリック↓
朝喰われないために夕方に食べる小鳥たち、究極のレシプロ機P-51

ハーバード II その1REVdownsize
(ハーバード II  1990年代に製作の我が拙作1/72です(再掲)

出典: “Lend-Lease Aircraft in World War II” 1996年 Arthur Pearcy氏著 (Airlife Publishing Ltd.出版)
出典: “2nd Tactical Air Force Volume One & Two” 2004年Christpher Shores氏、Chris Thomas氏共著(Classic Publications)
出典: 「世界の駄っ作機4」 2009年 岡部ださく氏著(大日本絵画)


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コメント

Re: No title

yoyo様、いつも訪問、コメントありがとうございます。la patrouille de franceは一度yoyoさんご近所、la ferte alaisのエアショーで見ました。素晴らしかったですよ。この記事に登場のテキサンのチームも毎回凝った“コスプレ”と見事な編隊飛行が印象的でした。エアショーの魅力の1つは「音」ですよね。今やフランスを離れ久しいですが、「音」がしたら物干しに出て横須賀の艦載機を見上げています(横浜在住です)。

> kenjiさん、こんにちは!
> たくさん更新されてますね(汗)また後で伺ってゆっくり読ませていただきます。
> 実は先日の航空ショー、開催する日にちが分からなくて、丁度妻がマルセイユに行っている時と重なって行けませんでした・・
> 私は家で留守番してたんですけど、頭の上をたくさん飛行機が飛んでいきました・・。
> la patrouille de franceのショーは凄そうですね!音だけ聞こえました。笑
>
> ここにある写真もその時のものなのでしょうね!来年こそは・・。

No title

kenjiさん、こんにちは!
たくさん更新されてますね(汗)また後で伺ってゆっくり読ませていただきます。
実は先日の航空ショー、開催する日にちが分からなくて、丁度妻がマルセイユに行っている時と重なって行けませんでした・・
私は家で留守番してたんですけど、頭の上をたくさん飛行機が飛んでいきました・・。
la patrouille de franceのショーは凄そうですね!音だけ聞こえました。笑

ここにある写真もその時のものなのでしょうね!来年こそは・・。
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