水不足を深刻化させそうな地球温暖化、IPCCとイージーミップの取組み

水不足を深刻化させそうな地球温暖化、IPCCとイージーミップの取組み

水の街アヌシーは橋を行き来しますREVdownsize
(水の街アヌシーは橋を行き来します)
水のお話と水の街アヌシー再び・・
このままゆくと「水問題」がエライコッチャと言う記事です。水のお話につき、写真はフランスアルプスの氷河湖を望む運河の街アヌシー(Annecy)の風景再びです(まだご紹介していないフォトと掲載済みのフォトです)。
アヌシー過去記事はこちら↓
愛でたり食べたり身近な水草と秋色の水の街アヌシー続々編
フランスアルプスの宝石アヌシー番外編
氷河が作ったアヌシー湖と氷河期を見つけたアガシ第2章アヌシー湖とルイアガシ
氷河が作ったアヌシー湖と氷河期を見つけたアガシ 第1章






アヌシー湖上のシャトー(再掲)downsize
(アヌシー湖上のシャトー(再掲))
「使える水」はわずか10万分の1 (0.01%)
地球上の水約140京トンのうち、約97.5%が海水、残りたった約2.5%の淡水のほとんどは南極や北極の氷、人が比較的容易に利用できる水である河川や湖沼などの水はわずかに全体の0.01%だそうです(※1)。まるで日本経済と我が家の経済(もっと%が小さいですが)みたいです。

尖塔の立ち姿が美しい市庁舎近くの街角REVdownsize
(尖塔の立ち姿が美しい市庁舎近くの街角)
「水の恵み」の地域差は1000倍も・・
更にこのような「人が利用可能な世界の水資源量」には大きな地域差があり、年間1人当たりでは、自然豊かなカナダ9万トン/年以上、日本3.3千トン/年、経済成長が著しい中国、インドそれぞれ2.1千トン/年、1.7千トン/年、更に乾燥した気候のサウジアラビアでは100トン/年未満で、なんとカナダとは1000倍の差があります(2008年FAOの統計)(※1)。
※1:「ニッスイの科学サイト」 http://www.nissui.co.jp/academy/data/06/ )


郷土色いっぱいのサヴォア料理レストラン(再掲)downsize
(郷土色いっぱいのサヴォア料理レストラン(再掲))
日本で初めてのIPCCが横浜で・・
先日、わが町横浜で日本で初めてのIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change「気候変動に関する政府間パネル」)の会議が開催され、会議後には第5次報告書(Art5)のWG2の報告書が出ました(※2)。

ティウー運河から見る愛の橋(再掲)downsize
(ティウー運河から見る愛の橋(再掲))
温暖化で水問題も深刻になりそうです
今回会議の結論は温室効果ガス排出削減に一層努めると同時に、地球温暖化がある程度避けえない与件としてその対応策も求める一歩踏み込んだものになりました。また、併せて「水問題」も深刻になるとしています(※2)。
※2:WWFホームページの概要紹介http://www.wwf.or.jp/activities/2014/03/1194531.html


新鮮な野菜が並ぶアヌシーの朝市downsize
(新鮮な野菜が並ぶアヌシーの朝市)
イージーミップも水不足を警告
これに先駆けて出されたイージーミップ(ISI-MIP、Inter-Sectoral Impact Model Intercomparison Project)の研究結果でも地球温暖化により水不足が深刻化すると警告しています(※3※4※5)。イージーミップは地球温暖化の影響を評価する国際プロジェクトで日本の研究機関も参加しています。
※3: ISI-MIP http://www.isi-mip.org/
※4:”Climate change puts forty percent more people at risk of absolute water scarcity” 12/16/2013 http://www.pik-potsdam.de/news/press-releases
※5:地球環境研究センター http://www.cger.nies.go.jp/cgernews/201402/279003.html


アヌシー旧市街は小さな石造りが肩寄せ合っていますdownsize
(アヌシー旧市街は小さな石造りが肩寄せ合っています)
干ばつと洪水、地域によって両極端の影響が・・
温暖化で雨が減って水不足がより深刻化する地域は米国南部、地中海沿岸、中東で、南米、西武中部ヨーロッパ、中央アフリカ、オーストラリアでは干ばつが深刻化し回数も増えると予測されています。
一方、雨が増え洪水のリスクが増す地域はインド、熱帯アフリカ、ヨーロッパなど北半球高緯度地方だろうと言う予測です(※3※4※5)。


秋のティウー運河は素敵な散歩道downsize
(秋のティウー運河は素敵な散歩道)
水の総量は変わらないが偏りが変わる
大量の真水が氷になり乾燥した氷期は別として、海→雲、雨→川と循環する水が地球全体で減ることはなく、水不足とはその地の人々が求めるだけの水(特に真水)が得られない状態と言うことです。

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パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
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紅葉の中の愛の橋(再掲)REVdownsize
(紅葉の中の愛の橋(再掲))
温暖化で海と大気の循環が変わると雨も変わる
地球温暖化が進むと大気と海洋の熱循環が変化し、季節風や海流も、そして降雨(域)も変動するので、洪水被害が増えると予測される地域がある一方で、水不足の地域が増え、その深刻さも増すと予測されています、地球を巡る水の量が変わらなくても・・です。

小さな運河の眼鏡橋(再掲)downsize
(小さな運河の眼鏡橋(再掲))
頑張る「+2℃」と努力しない「+4℃」では大違いです!
IPCCの報告書によればこのまま惰性で行けば21世紀末に地球の平均気温が+4℃上昇、心を入れ替えてCO2などの削減努力をすれば+2℃の上昇に抑えられるそうです(※2)。「なぁ~だ、たった2度の差じゃん」、いえいえ、結果は劇的に違うようです。

シャトーを遠望する湖畔のボート乗り場REVdownsize
(シャトーを遠望する湖畔のボート乗り場)
IPCC報告の要約では・・・
1.もはや最大限のCO2削減努力をしても(人為的)地球温暖化の影響は避けられず影響の予測に加えてその対策が必要である。
2.何もしないと+4℃上昇、これから努力をすると+2度の上昇と予測され、その結果は劇的に違う。
3.今からちゃんと対策を取ればある程度の影響緩和は可能だが、+4℃も上昇してしまうとその対策も難しい。
4.地球温暖化により水不足、洪水、海岸浸食、穀物の不作、生物多様性の喪失、猛暑、豪雨、洪水、土砂災害、大気汚染、干ばつ、水不足などが都市生活や経済にも打撃を与える。

・・などなどのリスクが指摘されています(※2)。

石のパッサージュのお店(再掲)downsize
(石のパッサージュのお店(再掲))
水不足を深刻化させる気温上昇幅とは・・
IPCCの言う努力出来そうな温暖化+2℃~3℃上昇でも深刻な水不足を引き起こすかも知れないとイージーミップは警告しています。もちろん+4℃ではもっと深刻になります(※3※4※5)。

Palais de l’Ile夜景(再掲)downsize
(Palais de l’Ile夜景(再掲))

温暖化は水問題、食糧問題でもある
いかに先端技術を駆使しようと農業は水が命です。このような降水量の変化によって世界の穀倉を担う農業地域で主な農作物の収穫量にマイナスの影響が出ると懸念されています。地球温暖化は「水問題」「食糧問題」でもあるようです(※2)。

Annecyの場所downsizeREV
(Annecyの場所)
コストが成り立たない「水貿易」
水不足が地域差なら穀物のように水を貿易できるかとなるとこれは難しい。水の値段はあらゆる生産財の中できわめて安く、保管・輸送コストがかかりすぎるからだそうです(※1)。将来水不足がもっと深刻になれば「水貿易」で「水争い」を防げるかも知れませんが・・・。

『気候は急に止まれません』
今や温室効果ガス増加による人為的地球温暖化はゆるぎない現実ですし、急いでCO2削減に舵を切っても(現実は逆ですが)巨大タンカーのように「気候は急には止まれません」ので、CO2削減に励む一方で、一層の温暖化とその影響は必ず来るものとして身構えておく必要がありそうです。

ところで「イージーミップ」って?
知恵を寄せ合って温暖化の全体像に迫る研究の取組みです。様々な要素が複雑に絡み合う地球温暖化の影響予測では国際的で分野横断的な取組みによって初めて全体像を正しく掴めるようです。日本の優秀な研究者の方々も参加し、貢献しています(※3※4※5)。

予測のモデルを重ね合わせてみる
それぞれの専門分野で観測値、シミュレーションのモデルなどを共有して標準化することでデータを統合し相互に比較します。こうすることで科学的に検証、調整しながら偏りの少ない全体像が描けます。そして地球温暖化とその影響のより信頼できる予測が初めて可能になります。イージーミップではそれぞれの分野でも複数のシミュレーションモデルを使っていて予測のばらつき幅(信頼性)も示しています(※3※4※5)。

影響が多岐にわたる温暖化は全体像が掴みにくい
地球温暖化の影響は天候だけでなく災害、農業、健康、経済など多岐にわたります。これまでは、地球温暖化の影響を予測する研究ごとに専門分野、対象地域、将来のシナリオなどが違うため、また、予測に使うシミュレーションのモデルも違うため、地球温暖化の影響の全体像を掴むことが難しく、予測が違うこともあったようです(※3※4※5)。

初の分野横断型国際プロジェクト
イージーミップ地球全体を研究の対象としそれぞれの専門分野を超えた横断型の研究協力で地球温暖化の影響評価を行う世界初の国際プロジェクトだそうです。全体像が掴みにくい地球温暖化の影響をより正確に予測し対策に役立てようという取組です(※3※4※5)。

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出典: natureダイジェスト2014年4月号P.8「明確になった地球温暖化と水の危機」”Water risk as world warms” Quirin Schiermeier氏執筆
出典: “The Weather of the Future; Heat Waves, Extreme Storms and Other Scenes from a Climate-Changed Planet” 「ウェザー・オブ・ザ・フューチャー; 気候変動は世界をどう変えるか」2010年 Heidi Cullen氏著、熊谷玲美氏訳、大河内直彦氏解説(2011年、シーエムシー出版)
出典: 「天気と気象についてわかっていることいないこと; ようこそそらの研究室へ」 2013年、筆保弘徳氏、芳村圭氏 編著、稲津将氏、吉野純氏、加藤輝之氏、茂木耕作氏、三好建正氏 共著(ベレ出版)


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【参考】IPCC横浜会議の報告書(IPCC第5次報告書(Art5)のWG2の報告書)
今回のIPCC横浜の報告書”Climate Change 2014: Impacts, Adaptation, and Vulnerability SUMMARY FOR POLICYMAKERS“はWWF(世界自然保護基金)ホームページに概要が比較的平易で簡潔にまとめて紹介されています(※2)。http://www.wwf.or.jp/activities/2014/03/1194531.html
以下そのままコピペしておきます。

☆☆☆☆
地球温暖化の「影響と適応」に関する新しい報告書では、おおまかに温暖化の影響について、以下の3つを述べています。
1. 今後の気温上昇は避けられないので、いずれにしても適応の準備をしなければならない
2. 21世紀末の気温上昇が4度になってしまう場合と、2度に抑えられる場合では、予測される影響に大きな差がある
3. 適応を行えば、影響は少なからず軽減することができる。ただし4度も気温上昇する場合には、適応も不可能となるケースが多くなる
特に注目すべきは、今回初めて、下の2つの状況において想定される影響が、比較できる形で示されたことです。
 2100年までの気温上昇が2度に抑えられた場合
 2100年までの気温上昇が4度になってしまった場合
4度になった場合、洪水や干ばつなどの異常気象、人の健康や食物生産へのダメージなど、大きな影響が及ぶことを、報告書は示しています。
そして、現在の世界の温室効果ガスの排出は、この「4度上昇」のへの道を進むシナリオ(BAUシナリオ)に沿ったペースで続いており、根本的な温暖化対策の改善の必要性があらためて示される内容となりました。
このほかにも、第5次評価報告書は、前回の第4次評価報告書よりも、高い確信に基づいた、さまざまな影響を予測しています。
1. もっとも人々の生活に欠かせない水が温室効果ガスの濃度上昇に伴って甚大に不足していくリスク
2. 沿岸部と低地における洪水や海岸浸食のさらなるリスク
3. 穀物への深刻な打撃
4. 生物多様性の喪失リスク
5. 都市における暑熱や大雨、洪水、土砂災害、大気汚染、干ばつ、水不足などが都市経済や生態系へ及ぼすリスク
このようにセクターごとに示されたリスクは、いずれも「4度」などの気温上昇が高いシナリオほど、非常に深刻な影響が予測されています。
一方、「2度」など気温上昇を低いレベルで抑えるシナリオでは、影響は予測されるものの、4度シナリオに比べてはるかにリスクが低くなることが明示されました。
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