わずか数度でも大変なんです気候予測が描く未来+上野のお山の秋

わずか数度でも大変なんです気候予測が描く未来
+上野のお山の秋: 天気と気候の後編

2013年末挨拶

秋が深まりゆく小路downsize
(秋が深まりゆく上野公演の小路を歩く)
今回も四季の移りつながりで懲りずに上野公園の秋の色づきを添えています。





IPCC気候変動予測で何度上がるの?
2014年予定のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書(IPCC Ar5)へ向けての自然科学的根拠を示す第1作業部会(WG)の報告書(日本の研究者も多大な貢献をしています)が今秋出ました。ではこれに基づく将来予測とは?
天気と気候のお話の前編はここをクリック↓
天気予報を信じるなら気候予測の警告を信じよう

晩秋の上野公演の陽射しREVdownsize
(晩秋の陽射しを受けた紅葉は万華鏡のようです)
「何もしない」から「必死に頑張る」までシミュレーションが描く4つのシナリオ
地上の気温の世界平均は、
2016-2035年では0.3~0.7℃上昇(1986-2005年に比べて)
4つのシナリオがある2081-2100年では、
「CO2削減を今すぐまじめに頑張る」最善シナリオRCP2.6で 0.3-1.7℃上昇
「ほとんどな~んも手を打たない」最悪シナリオRCP8.5で 2.6-4.8℃上昇
世界の平均海面水位は、
最善のシナリオRCP2.6で 0.26-0.55m上昇(1986-2005年に比べて)
最悪のシナリオRCP8.5で 0.45-0.82m
・・・です。詳しくはここ↓(リンク貼っていません)
http://www.jma.go.jp/jma/press/1309/27a/ipcc_ar5_wg1.html


実感わかないんですけど・・・
IPCCの言う“地球温暖化とその影響による気候変動”をひとまず信じるとして、その将来予測の気温上昇や海面上昇の数字を見て「な~んだ、この程度?」とか、「え、この程度で問題なの?」とか思ったりしませんか?ここに今一つ危機感が沸かないもう一つの“落し穴”があります。

過去の記事リストは下のイラストをクリック
パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
ヨーロッパの話題minisizeREV生き物とちきゅうのお話minisizeREV
ヒコーキの話minisizeREVグルメ話minisizeREV

秋の陽の影は幾何模様downsize
(秋の陽の影が作り出すひとときの幾何模様)
寒暖差がもたらす日本の美しい四季
四季豊かな日本では夏冬の温度差20℃以上、日々朝夕の温度差でもときに10℃になることしばしばです。日常体感する気温の変化はIPCCの温暖化予測幅0.3-4.8℃よりはるかに大きいけれど日々無事暮らしているじゃないか・・・と思いませんか?

日々の変動と「平均値のかさ上げ」は違います!
同じくIPCC予測の海水面上昇幅0.26-0.82mをはるかに超える干満差のある港もあちこちにあります。しかし、これらは安定した平均値を中心に繰り返し上下する振れ幅です。
一方、温暖化がもたらすものは、「平均値の上昇」つまり全体のかさ上げです。平均値が動くと生き物も地球も敏感に反応することは過去の気候変動を見れば明らかです。


黄色のトンネルdownsize
(上野公園の街路は黄色のトンネル)
「地球温暖化」の足音がひたひたと・・・
春、花が開く時期が早まる、秋、渡り鳥が南に渡る日が遅くなるなど、花鳥風月は忍び寄る気候変動にとても敏感です。そしてCO2増加で加速する「地球温暖化」に呼応し自然は既に変わり始めています。

四季も天気も感染症も移り変わりゆく、旬の食材も・・
花や鳥だけでなく、僕たちが感じる四季の姿も変わりつつあります。夏、猛暑日が多くなる、大気が不安定になってゲリラ豪雨や竜巻が増えるなどニュースでも良く聞きますね。
マラリアなどの熱帯伝染病が北上するのは媒介する蚊などの生息域が暑くなった温帯に広がるためです。各地で水揚げされる魚の種類も変わってきている(南の魚が北で獲れる)ようです。


イチョウの黄葉を通して射す陽がまぶしいdownsize
(イチョウの黄葉を通して射す陽がまぶしい)
そこで世界に眼を向けてみれば・・・
ヒマラヤやアンデスの氷河の後退が加速して融氷の鉄砲水による洪水の心配が増しています。北極の越年氷が減り、冬の1年氷はたちまち夏には融けて開けた海面が北極に拡がると正のフィードバック「アイスアルベド効果」が更に氷を融かします(海面は黒いので太陽熱をより多く吸収する)。今やイヌイットの人々はスノーモービルの代わりにモーターボートで狩に出るそうです。

温暖化で海が膨張する
CO2増加で大気と同じく海水温も上昇しています。海水温が上がると水の膨張で海水面が上昇します(ボイル-シャルルの法則ですね)。
たった数10cmでも、「平均値がかさ上げ」されれば、大きな高潮のリスクが高まりますし、海抜0m近い南の島は日々海に没しつつあります。


美術館裏の路はひかりのモザイクdownsize
(美術館裏の路はまるで光のモザイク)
モードが非線形に変わるとき気候は荒れる
非線形とは『1を入れても何も起こらないが1を入れ続けると突然10が出る』ような閾値がある変化です。気候のモードは非線形なので、安定しているように見えていたこれまでの気候のモードがある日突然雪崩を打つように別のモードに移っていく恐れがあります。
モードが切り替わろうとするとき、天気、天候は一層不安定になり、極端な豪雨や干ばつが起こり、例えば、私たちの食を支える世界の穀倉地帯が深刻な打撃を受けることになります。
気候変動についてはまだまだ分からないことが多く、一番恐ろしいシナリオはまだ私たちが知らない何かメカニズムで今の安定した気候が突然急変して後戻りしなくなることです。

気候のきまぐれの過去記事はこれ↓
気まぐれな猛獣、気候変動 + 北仏モルレー街歩き
温暖化で寒い冬をもたらすテレコネクション+美しい水の街ブルージュ


生物多様性はなぜ大事なのでしょう?
私たちヒトの生活は他の生き物たちのバランスの上に成り立っています。海水温の平均値がわずかでも上がればすべての海の生き物を支える植物プランクトン相が変わってしまいます。
プランクトンと気候のお話過去記事はこれ↓
小さな藻が大気を守る、でも古代の海に逆戻りの危機かも?

黄色と緑のコンチェルトdownsize
(秋の小路は黄色と緑のコンチェルト)
炭酸水を作る同じメカで海が酸性化する
たった1,2℃でも平均気温や海水温が上がれば世界の空だけでなくも海も変わってしまいます。CO2が増えれば海水は酸性化します。これは炭酸ガスボンベで炭酸水を作るのと同じメカです。

海水酸性化で殻が溶ける!
サンゴ、貝などの殻は炭酸カルシウムCaCO3で、その材料は炭酸イオンです。CO2増加で海の酸性化が進むと炭酸イオンが減り殻が作れなって、その結果、海の食物連鎖全体が崩れて行きます。

ケセラセラなのがヒトの性かも?
私のような凡人は、明日のことには気をもむほど心配しても10年先のリスクには実感が沸かないのですが、これは“人の性”と言うより“ヒトの動物としての進化のトレードオフ”です。
先々のことを考え中でも、もし目の前に危険や餌が現れれば“無意識に”注意が切り替わってしまい、今生きるために「先を一旦捨てる」ことに。これはそう簡単には払しょくできません。だから将来の気候変動については“意識して”向き合う必要があるのでしょうね。

気候変動の仕組みの過去記事はこれ↓
行け行けドンドンとちょっと待ってが気候を操る+ストラスブール番外編

出典: “The Weather of the Future; Heat Waves, Extreme Storms and Other Scenes from a Climate-Changed Planet” 「ウェザー・オブ・ザ・フューチャー; 気候変動は世界をどう変えるか」2010年 Heidi Cullen氏著、熊谷玲美氏訳、大河内直彦氏解説(2011年、シーエムシー出版)
出典: 「天気と気象についてわかっていることいないこと; ようこそそらの研究室へ」 2013年、筆保弘徳氏、芳村圭氏 編著、稲津将氏、吉野純氏、加藤輝之氏、茂木耕作氏、三好建正氏 共著(ベレ出版)
出典: 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc/ar5/
http://www.jma.go.jp/jma/press/1309/27a/ipcc_ar5_wg1.html
http://www.jma.go.jp/jma/press/1309/27a/ipcc_ar5_wg1.pdf


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コメント

Re: No title

イヴまま様、昨年はありがとうございました。過分のコメント恐縮です。面白いネタが見つかったらボチボチ書いてゆきます。こちらこそ今年もよろしくお願いします。

> Levalloisbeeさん
> 昨年はお世話になりました。
> 拝読していると知らなかった世界観が広がります。
> 新しい年もどうぞよろしくお願いいたします。

No title

Levalloisbeeさん
昨年はお世話になりました。
拝読していると知らなかった世界観が広がります。
新しい年もどうぞよろしくお願いいたします。

Re: 明けましておめでとうございます。

バーソ様、あけましておめでとうございます。いつもありがとうございます。バーソさんのように気力、体力を鍛えたいところですが、私の方は例年通り怠惰な寝正月です。今年もよろしくお付き合いお願いします。

> おはようございます。
> いつも興味深いお話と写真をありがとうございます。
> 今年のお正月はいかがお過ごしでしょうか。
> 私のほうは今年、体温を0.1℃上昇させたいと思っています。
> そのために気力温度を0.2℃向上させたいと思っています。
> あ、でも、体力づくりのほうが先決かもしれません。
> 本年もどうぞよろしくお願いいたします。(^J^)

明けましておめでとうございます。

おはようございます。
いつも興味深いお話と写真をありがとうございます。
今年のお正月はいかがお過ごしでしょうか。
私のほうは今年、体温を0.1℃上昇させたいと思っています。
そのために気力温度を0.2℃向上させたいと思っています。
あ、でも、体力づくりのほうが先決かもしれません。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。(^J^)

Re: No title

zen様、こちらこそ今年一年ありがとうございました。zenさんに比べて、ほとんど何もしない、出来ない1年、その上、大変お世話になりました。それでも身の丈の限りをゆっくり歩いてゆきたいと思います。来年もよろしく。

> 今年は大変お世話になりました。
> 来年も引き続き宜しくお願いいたします。
> いいお年をお迎えください。

Re: No title

Mizushima様、コメントありがとうございます。Mizushima様の素敵なスケッチのタッチを拝見したくて何度かお邪魔してしまいました。私の高校はそれなりの受験校でしたが、同時に美術と学生運動でも少しツン抜けていた学校でした。美術、特に絵は今も大好き(稀に描きます)ですが、母校は「才能がないことを思い知る」格好の場でもありました。生物屋としても大したことがないままですが、「好き」があることは幸せなんじゃないか?とブログを続けております。また、素敵なスケッチを観に訪問致します。

> 初めまして
> 本年は何度か私のブログに訪問履歴を残してくださってると思います。
> ありがとうございます。
> 実は私は今だに交流が続く高校の恩師が生物の先生で、次に斜に構えて専門実技科目の先生方とは折り合いが悪かった大学生時代に可愛がってくださったのも一般教養の生物学の先生と何かと生物学にはお世話?になり勝手に親近感を持っています。
> どうぞ良い年をお迎えくださいませ!

No title

今年は大変お世話になりました。
来年も引き続き宜しくお願いいたします。
いいお年をお迎えください。

No title

初めまして
本年は何度か私のブログに訪問履歴を残してくださってると思います。
ありがとうございます。
実は私は今だに交流が続く高校の恩師が生物の先生で、次に斜に構えて専門実技科目の先生方とは折り合いが悪かった大学生時代に可愛がってくださったのも一般教養の生物学の先生と何かと生物学にはお世話?になり勝手に親近感を持っています。
どうぞ良い年をお迎えくださいませ!

Re: No title

yoyo様、いつもありがとうございます。時々日本のニュースが伝えるヨーロッパの洪水はあまり話題にはなっていませんが、セーヌに100年に1度の洪水がくれば大変ですね、今夏の京都嵐山の洪水被害のように観光にも響くでしょうし。くれぐれもお気をつけて。異常気象が早く収まるといいですね。

> Kenjiさん、こんにちは。
> 地球の温暖化が海に及ぼす影響は、海水面の上昇と海に住む生物の変化くらいかと思っていましたが、海水が酸性化することに大きな問題があるんですね。
> 以前、海水魚を飼っていたので、pHの上昇が生物に及ぼす悪影響については分かります。無脊椎動物は、特にpHに敏感ですからね。
> 今日も少し利口になりました。ありがとうございます。^^
>
> それにしても、ヨーロッパの各地で起こる洪水が増えて来たように感じます。
> セーヌ川も100年に一度の大洪水が起きるらしいですが、今まさにその時だそうで、果たしてどうなることでしょうか。

No title

Kenjiさん、こんにちは。
地球の温暖化が海に及ぼす影響は、海水面の上昇と海に住む生物の変化くらいかと思っていましたが、海水が酸性化することに大きな問題があるんですね。
以前、海水魚を飼っていたので、pHの上昇が生物に及ぼす悪影響については分かります。無脊椎動物は、特にpHに敏感ですからね。
今日も少し利口になりました。ありがとうございます。^^

それにしても、ヨーロッパの各地で起こる洪水が増えて来たように感じます。
セーヌ川も100年に一度の大洪水が起きるらしいですが、今まさにその時だそうで、果たしてどうなることでしょうか。
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