プロメテウスの贈り物-火がヒトの高速進化を生んだ?+フランスで出会った一皿たち

プロメテウスの贈り物-火がヒトの高速進化を生んだ?+フランスで出会った一皿たち
パリのマドレーヌ近くシーフードがおいしいカフェ Le VillageのランチREVdownsize
(パリのマドレーヌ近くシーフードがおいしいカフェ Le Villageのランチ)





料理は日々の至福の喜び
料理。食べて愉しむことはもちろん、美しい盛り付けや彩り、香りなども愉しみですし、雰囲気やTPOも大切。それに料理は作って食べてもらうことも喜びですね。
今回はフランス各地の旅で出会ったすてきな一皿の写真を添えています(すべて再掲)。


加熱調理で消化吸収が進むdownsize
(火で調理すれば消化吸収が進みより多くのカロリーと栄養が得られる)
料理が栄養を高めヒトは高速進化した
食べる愉しみだけでなく、料理、すなわち加熱や調理は食べ物の消化吸収を高めて栄養摂取を良くする効果も絶大らしく、そのおかげでヒトはこのように急速に進化してきたのかも知れない(この間チンパンは進化がほぼ止まったまま)と言うサイエンスの小ネタです。
これはまだRichard Wrangham氏提唱の仮説ですが、“実感として腑に落ちる”話だなと思います。


プロメテウスの贈り物「火」をもらったホモ属
「先のことを考えて行動する人」と言う名のプロメテウスは神さまから火を盗んで人間に与えた、とギリシャ神話にありますが、「火の使用」は他の動物にはないヒトの能力であることは昔から理解されていたようです。でもプロメテウスが火を与えた相手は我々ホモ・サピエンスではなく遠いご先祖のホモ属の人類だったようです。

ブルゴーニュ地方ディジョンの名物エスカルゴとブルゴーニュワインdownsize
(ブルゴーニュ地方ディジョンの名物エスカルゴとブルゴーニュワイン)
180万年前に料理を食べていたトゥルカナボーイ
我々ヒトにつながるホモ属は、約180万年前の華奢でスマートなトゥルカナボーイ(少年の化石で再現された面立ちは爽やかなイケメンです)のホモエレクトス以来、“生“ではなく加熱調理した食べ物を(”餌“ではなく”料理“を)食べてきたらしいのです。

火を使った最古の跡は79万年前の旧人類の炉床
約79万年前とされるイスラエルのアシュ-リアン遺跡から炉床の跡が見つかったそうです。炉温も人為的に火を焚かない限り、野火や山火事では達成出来ない400度Cだったことそうです(熱ルミネッセンス法)。

ビスケー湾の街アルカション嵐避難のレストランの蒸しムール貝とワインdownsize
(ビスケー湾の街アルカション嵐避難のレストランの蒸しムール貝とワイン)
遠いご先祖もシーフード・グルメでした
ではアシュ-リアン遺跡の旧人類(ホモ・エレクトス)は何に使ってたのか?遺跡を調べると、貝、カニなどシーフードの調理、石器の加工の証拠があるそうで、ホモ・エレクトスもグルメだったみたいです。我々ヒト、ホモ・サピエンスの炉床、つまり料理の証拠は12万年前の南ア海辺のクラシーズ河口遺跡に遡り、やはりシーフードを食べていたようです。
関連の過去記事、縄文人もシーフードグルメだったお話はここをクリック↓
縄文人は海鮮グルメ、おこげが語る世界最古+北フランス、ドーヴィルの雨

ご飯は炊くとゲル化してよく消化吸収される
食事栄養素の約半分はデンプン質の炭水化物ですが、炊飯のように水分がある状態で加熱すればデンプンは柔らかくゲル状(α化と糊化)になります。また粒子も細かくなって消化されやすくなります(消化酵素が隅々まで働く)。
ワインの郷ボルドーのXmasディナーおいしいデザートは白とdownsize
(ワインの郷ボルドーのXmasディナーおいしいデザートは白と)
“生“のままでは半分しか栄養にならない
調理済みのデンプン質や蛋白質は小腸まででほぼ100%消化、吸収されてからだの栄養になるが、“生”の未調理だとデンプン質も蛋白質も半分前後しか吸収されないそうです。
このような加熱調理の効果は、現在のような飽食の時代では肥満を助長しますが、常に飢えていたであろう我々の遠い祖先や原人たちにとっては大変大きなメリットを与えたようです。


野生動物も調理食品大好きのグルメです
実験室のネズミ君も、山火事でもない限り焼きものを食べたことがない野生動物や昆虫までもが、“生“の餌と加熱や調理した餌を選ばせると、必ず調理した餌を選んだそうです。みんなやっぱりグルメのようです。

掲載した写真のフランス各地過去記事はここをクリック↓
パリ: 小粋なパリの小さな村Village Royal
アヌシー: 氷河が作ったアヌシー湖と氷河期を見つけたアガシ第2章アヌシー湖とルイアガシ
アルカション: 真冬のアルカションは大西洋の嵐の中
ボルドー: 大河ガロンヌが潤すワインの郷ボルドーは大人の街
ディジョン: 雨に煙るディジョン、花の凱旋門:ブルゴーニュ紀行続編
エズ: オークルの小路に陽射しがやさしいエズ: コートダジュール旅行紀続編
エペルネー: シャンパンの郷エペルネーが寸景・・・となってしまったワケとは?
マントン: ピンクに染まるマントンの街はアラビアの香り: コートダジュール旅行紀

↓良かったらクリックをお願いします


過去の記事リストは下のイラストをクリック
パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
ヨーロッパの話題minisizeREV生き物とちきゅうのお話minisizeREV
ヒコーキの話minisizeREVグルメ話minisizeREV


フィリピンの孤児たちを支援しておられるZenさんのブログです。
LIFE IS A TEST
そのために私たちが出来る支援としてZenさんのネットショップをご紹介します。何かご購入を頂ければフィリピンの孤児たちを支える力にもなります。
Zenさんのネットショップ「breakerbeat」

東松島市の仮設住宅の方々の工芸品ご紹介のブログにリンクしています
banner-himawari2.jpg

1クリックで1円、協賛企業から寄付されます
大震災支援募金新アイコンKT20131025

フランスアルプスのふもとアヌシーのサヴォワ伝統料理ポークの一皿downsize
(フランスアルプスのふもとアヌシーのサヴォワ伝統料理ポークの一皿)
ネズミ君も加工食品でよく育つ
多分石器時代の主食だったであろうイモと肉の同じ量を“生のまま”、あるいは“加熱調理”してネズミ君(マウス)に与えると加熱調理した方が体重増加が多かったそうで、加熱調理はヒトに限らず動物でもカロリーや栄養摂取の効率が高まることが示されたそうです。

現場の知恵は科学に勝るのかも?
現場の知恵は大したもので、昔から家畜のブリーダーやサケなどの養殖業者にとって「短期間で、同じ量の餌で、より太らせたい」なら簡単、餌を“加熱調理したり、細かく砕く”だけで良いのです。

コートダジュールの街マントンのレストランLa Coquille dOrの絶品ムール貝のパスタdownsize
(コートダジュールの街マントンのレストランLa Coquille d'Orの絶品ムール貝のパスタ)
ソテーやマリネは石器時代シェフの知恵
蛋白質は熱、酸、塩などで変性すると構造がほどけて消化酵素が働きやすくなるので、肉魚を焼いたり、酢漬け、塩漬けでマリネする料理手法は“理に適った石器時代からの知恵”のようです。

食べる道具が小さい人類
現代的なヒト(ホモ・サピエンス)は、その進化の道筋でもっとも近い現存種のチンパンジーと、あるいは先祖の傍系、化石人類アウストラピテクス属などと比べても、口、顎、歯、胃、腸など食べ消化し吸収するための構造や器官はすべて小さく華奢になりました(唯一例外は小腸)。代わって大きくなったのが脳です。

南フランス鷹巣村エズのレストランLe Grill du Chateauのスズキのムニエルdownsize
(南フランス鷹巣村エズのレストランLe Grill du Chateauのスズキのムニエル)
火の使用を発明して華奢な体になった
これが意味することは食べ噛み消化するのにより少ない大きさ、力、エネルギーしか使わずによりたくさんのエネルギーが摂れて脳の栄養にまわした、ということです、なんせ重量で2.5%の脳はカロリーの20%を食うので。火を使って調理すると加熱により食物は消化吸収されやすくなり、同じ量の食べ物からより多くのカロリーが得られます。

火と料理が石器時代のヒトに余暇を与えた
こうなると、歯と消化器官への負担も減り、歯や顎は小さくなり、腸は短くなりました。動物では内臓の大きな割合を占める腸が小さくなったことで消化吸収に使うエネルギーと時間が節約されます。

シャンパンの郷エペルネーのカフェでピンクと白を愉しむdownsize
(シャンパンの郷エペルネーのカフェでピンクと白を愉しむ)
余ったカロリーは脳に使いましょう
こうして余ったエネルギーは大きな脳を養い、また、余った時間は狩猟採取に使えるので、より多くの食物が手に入ります(現在なら仕事や家事や趣味に充てますよね)。
消化の悪い“生”食なので、ひがら一日草をはむカモシカや、たった20分しか狩が出来ないチンパンジーに比べ、消化吸収の良い“加熱料理”を食べていたらしいヒトは1日数時間の“自由時間”を持てたようです。


火と料理がオシャレや芸術を生んだ
石器時代のヒトは料理で得た“自由時間”で着飾ったり、芸術をしたり、お祈りしたり、多分恋もしたりとか、していたようです(南アの遺跡の貝のペンダントは約10万年前、アフリカで見つかったボディーペンティング用の顔料は28万年前)、南仏ショーベの洞窟絵画は約3万年前)。

「料理のおかげでヒトは人になった」
・・・と言うのは料理好きの一人としては“納得のいく”答えです。
書ききれなかったので、『ヒトの高速進化』のお話はまた後日に・・・。


出典: 日経サイエンス 2013年12月号、P.58 “The First Cookout” 「調理で人類は進化した」 Richard Wrangham氏へのインタビュー、聞き手: K.ウォン氏
出典: “Catching Fire; How Cooking Made Us Human “ 「火の賜物: ヒトは料理で進化した」 2009年 Richard Wrangham氏著、依田卓巳氏訳(2010年、NTT出版)
出典: “Animal Connection” 「アニマル・コネクション」2011年 Pat Shipman氏著、河合信和氏訳(2013年、同成社)
出典: “Out of Eden: the Peopling of the World” 「人類の足跡10万年全史」 2003年 Stephen Oppenheimer氏著、仲村明子氏訳(2007年、草思社)
出典: “The Dawn of Human Culture” 「5万年前に人類に何が起きたか?: 意識のビッグバン」2002年 Richard G. Klein氏 Blake Edger氏共著、鈴木淑美氏訳(2004年、新書館)
出典: 新潮文庫「ギリシャ神話を知っていますか」1980年 阿刀田高氏著(新潮社)


↓良かったらクリックをお願いします



スポンサーサイト

テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: No title

yoyo様、いつもありがとうございます。そうですね、人の知恵というか、おいしく栄養にあるものを簡単に食べたい「食い意地」はすごいですね。食品企業に居たからでしょうか、調理に技術や科学を持ち込むことに抵抗はありませんし、缶詰や冷凍食品は大発明、液体窒素で凍らせたり、バーナーで炙るのもありだと思っています。でも時間や手間を省くために「チン!」でまずくて栄養のない食べ物を食べるのは好きではありません。パリのアパートはどこも台所がとてもきれいでした。主婦がこまめなのではなく家事の手間を省くため「チン」しかしないのだそうで、共働きが多いパリのスーパーは冷凍食品がものすごい品揃えでした。単身赴任の私は意地でもと?毎日自炊しておりました(今も毎夜料理しています)。長い返事ですみません。

> こんにちは。なるほど、そういうことなんですか。
> 人間の近くにいる犬やネコも人間が調理したものを食べる機会も多いでしょうから、同じ様なことが言えるのかもしれませんね。
>
> 塩漬け、燻製、発酵を使って保存をする術を知ったおかげで、さらにたくさんの料理が生まれたのでしょう。
>
> ちょっと話はそれますが、電子レンジ調理に関してはどうお考えでしょうか?
> もし機会があればご意見をお聞かせ下さい。

No title

こんにちは。なるほど、そういうことなんですか。
人間の近くにいる犬やネコも人間が調理したものを食べる機会も多いでしょうから、同じ様なことが言えるのかもしれませんね。

塩漬け、燻製、発酵を使って保存をする術を知ったおかげで、さらにたくさんの料理が生まれたのでしょう。

ちょっと話はそれますが、電子レンジ調理に関してはどうお考えでしょうか?
もし機会があればご意見をお聞かせ下さい。
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する