光で操られる脳、記憶とはかくも儚きもの+哀愁のリスボン番外編

光で操られる脳、記憶とはかくも儚きもの+哀愁のリスボン番外編

青空に向かって立つジョゼI世downsize
(リスボンの栄光、コメルシオ広場で青空に向かって立つジョゼI世)





想ひ出は甘く、そして美しく・・
日々の暮らしの7割は辛いけど記憶の7割は甘く美しい・・と、昔ある本で読んだ米国のアンケート結果にありました。熟年に人生を振り返ってもらい「辛い人生か?楽しい人生か?」を問うと7割の人が「楽しい人生!」だったと。日々の暮らしでは苦しいことがはるかに多かったはずなのに・・・。初恋は甘酸っぱいもんね。

<再掲>目いっぱいポールを伸ばして走りますdownsize
(路面電車が目いっぱいポールを伸ばして走ります<再掲>)
哀愁のリスボンは「兵(つわもの)どもが夢の跡」
ヒトの能力の限界に挑戦すべく大洋に繰り出した往年の覇国ポルトガルの都リスボン、日本人の感性にも心地よいウェットで陰影のある街です。既に3回も記事にしていますが、“儚さつながり”で今回懲りずに番外編です。
リスボン過去記事はこちらをクリック↓
リスボンの迷路を行く-赤屋根が重なるアルファマの坂道は懐かしい風景(リスボン-3)
白く物憂げな栄光の残照、テージョ川の世界遺産-哀愁のリスボン-2
哀愁のリスボン-1 アズレージョの藍がやさしい

過去の記事リストは下のイラストをクリック
パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
ヨーロッパの話題minisizeREV生き物とちきゅうのお話minisizeREV
ヒコーキの話minisizeREVグルメ話minisizeREV

ポルトガル国旗が夕暮れの灯に映えるdownsize
(ポルトガル国旗が夕暮れの街の灯に映える)
一千億円をかけ脳の秘密を探る米プロジェクトが始動
こんな脳をのシギを探る「21世紀は脳(科学)の時代」と言うことで今年2013年米国は「脳を解明する10年計画」としてNIHを中心に研究プロジェクト“Brain Initiative”を立上げ、初年度から1億ドル、最終的には10億ドル(1000億円)もの巨額の研究資金を投入します。

<再掲>テージョ川に浮かぶように建つベレンの塔downsize
(テージョ川に浮かぶように建つ優雅なベレンの塔<再掲>)
更に大規模な欧州の脳科学プロジェクト
ヨーロッも負けじと、EC(欧州委員会)が”Human Brain Project”を立上げ、初年度5400万ユーロ、10年間で10億ユーロ(1300億円)の巨額を投入します。で、日本は?このままでは「バイオ敗戦」の二の舞です。

<再掲>華麗な双子のアーチが優しい印象downsize
(華麗な双子のアーチが優しい印象の朝の駅舎<再掲>)
ブレインを探るためブレインの知恵を集める
いずれのプロジェクトも各分野の優れた“ブレイン”を集めて総合的に脳(brain)の謎に挑む計画です。そしてフクザツな脳の構造や働きを調べるには最先端の新しい科学技術が欠かせません。

テージョ川の陽落ちREVdownsize
(テージョ川の陽落ちは旅人をゆっくりと夜に誘う時間)
注目のツール(研究技術)、光遺伝学
その1つとして注目されているのがoptogenetics(光遺伝学)です。神経細胞の遺伝子に藻類のチャネルロドプシンなどオプシン遺伝子を人工的に組み入れ、オプシン蛋白質を神経細胞膜上に発現させます(膜に組み込まれる)。この「光遺伝学」の研究技術はnature methods誌の「メソッド・オブ・ザ・イヤー2010(Method of the Year 2010)」にも選ばれたそうです。
面白そうなら「続きを読む」をクリックしてくださいネ。

↓良かったらクリックをお願いします


フィリピンの孤児たちを支援しておられるZenさんのブログです。
LIFE IS A TEST
そのために私たちが出来る支援としてZenさんのネットショップをご紹介します。何かご購入を頂ければフィリピンの孤児たちを支える力にもなります。
Zenさんのネットショップ「breakerbeat」

東松島市の仮設住宅の方々の工芸品ご紹介のブログにリンクしています
banner-himawari2.jpg

1クリックで1円、協賛企業から寄付されます
大震災支援募金新アイコンKT20131025

光で神経のスィッチを自在にオン-オフ
オプシンは光を受けるとイオンを出し入れするで、微細な光ファイバーで光を当てると、好きな脳部位の好きな種類の神経細胞を興奮(または抑制)することができます(神経細胞の興奮とその伝達はNa+、K+などのイオンの出入りで起こります)。照射には特定波長(色)のLED光を使います。

まだ開いていないファドの店の昼下がりREVdownsize
(まだ開いていないファドの店、アルファマ地区の昼下がり、陰影が濃い)
光が当たると「カイカ~ン!(快感)」なんです
この方法でオプシンを脳の“報酬系“の部位に組み込んで光を当てると、”操られた“ネズミ君は特にご褒美もないのに「光ったら穴に鼻づらを突っ込む芸」をするようになったそうです。

<再掲>郵便配達がアルファマの路地を行くREVdownsize
(郵便配達がアルファマの路地を行きます<再掲>)
記憶を改ざんされたトータルリコール(Total Recall)なネズミ君
この光遺伝学の技術を使えば記憶の改ざんだって出来てしまいます。記憶なんて儚く曖昧なものです、ネズミ君にとっても。光に応答する蛋白質を組み込んでおいたネズミ君(マウス)の脳の記憶の部位、海馬に光を当てたら記憶が改ざんされたそうです。

ネズミ君も「熱ものに懲りて生麩を吹く」
まず、安全な箱に入れ、その海馬の記憶を担う細胞に「青い光に感じるチャネルロドプシン」をくっつけ(標識し)、次に別の“お仕置き箱”に移して青い光を当てて安全な元の箱の記憶を思い出させながら、同時に弱い電気刺激を足に与えました。すると、電気刺激と安全な元の箱の記憶が結びついてしまい、ネズミ君は安全な元の箱に戻しても恐怖反応の「すくみ」を示しました。
記憶データの改ざんの過去関連記事はここをクリック↓
脳が創り出す「マトリックス」な世界 + 南仏の赤い村ルシヨン

時間が染みこんだアルファマの壁と石畳downsize
(時間が染みこんだようなアルファマ、まぶしい白壁と石畳が続く)
光で脳を操る男
外からの光で自在に狙った神経細胞(の興奮)のスイッチをon-offできる「光遺伝学(Optogenetics)」と3D(3次元)で脳の神経連絡などが可視化できる“CLARITY”、この2つの革新的な研究技術はKarl Deisseroth氏の斬新な研究によるもので、先の脳科学プロジェクトを始め、今では世界中の研究機関で使われ始めているそうです。

生き物のゲート素子、オプシンチャネル
我々の眼が光を感じる本体は光感受性のロドプシン蛋白質ですが、微生物にも似た蛋白質(より古いタイプ)があり、古細菌ではバクテリオロドプシンが光合成を行い、藻類のチャネルロドプシンは「光ゲートスイッチ」として働きイオンの出入りをon-offします。

石造りの街角に灯が入るdownsize
(ようやく黄昏るリスボン、石造りの街角に灯が入る)
神経の働きはイオンの出入りです
一方、神経細胞の働きはイオンの出入りでスイッチon-offされ、興奮、あるいは、抑制が起こります。これが神経細胞同士の接続場所シナプスでノルエピネフリン、ドーパミン、セロトニンなどの神経伝達物質を介して次の神経細胞に、そして神経ネットワークへと伝わり、例えば、脳の活動として顕れます。

リスボンの地図
(リスボンの地図)
光で脳のスウィッチをon-off
この藻類のチャネルロドプシンをネズミの特定の脳神経細胞に組み込めば“光のon-offで脳の働きをon-off出来る”というのが原理です。光として外からでも脳の中にも伝わる近赤外線を使えば自由に行動するネズミの脳の働きをコントロールできる訳です。また、光を当ててネズミ君がどういう行動を取るかを観察すればどのタイプの神経細胞がどんな行動を引き起すかが分かります。

儚い記憶の罪
冤罪裁判の原因の大半は証言者の(悪気はないのだけど)誤った“思い込み記憶”の証言なのだそうです。あなたは「昨日電車で出会った紳士のネクタイの色」を思いだせますか?無理ですよね。でも赤いネクタイを一昨日買いそびれたあなたの記憶には、本当は紫のネクタイが赤いネクタイと刻まれているのかも知れませんよ。このような最新技術を上手に使って将来は冤罪がなくなればいいですね。

(以下の出典ではリンクを貼っていませんのでコピペで見てください)
出典: 朝日新聞記事 2013年7月26日(金)夕刊2面「誤って記憶、マウスで再現; 利根川進氏らのチーム」
出典: 理化学研究所 2013年7月26日プレスリリース/60秒でわかるダイジェストが便利: http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130726_1/digest/
出典: 「革命的な科学の手法を生み出す男」natureダイジェスト 2013年8月号(P.9)
原典: ”Method man” Kerri Smith氏執筆 nature 2013年5月30日号 vol.497 (P.550-552)
出典: nature methods vol.8 No.1 JANUARY 2011 :http://www.nature.com/nmeth/focus/moy2010/nmeth.f.321.pdf
出典: 「光遺伝学」Wikipedia記事: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%A6
出典: 「ロドプシン」Wikipedia記事: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%B3


↓良かったらクリックをお願いします


スポンサーサイト

テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: No title

yoyo様、ご訪問、コメントありがとうございます。フランスの地の食材を使ったおいしそうなyoyoさんの料理は見た目も美しくてうらやましく拝見しています。
パリを離れてかなり経ちますが、今も年1回くらい訪問しています。フランスにお住まいならリスボンは近いですね。私はパリ在住時に2泊3日で訪れましたが、十分楽しめました。

> 初めまして、いつも駆け足でまわっていて、過去記事まで読んでいませんでした。
> Levalloisbeeさんは、今もパリにいらっしゃるんですか?
> フランスをはじめ、いろんな国をまわってらっしゃるんですね!
> 私はフランスに住んでるといっても、ごく限られたところしか知りません。
> リスボンという街も古くて良さそうな街ですね。訪れてみたいです・・。

No title

初めまして、いつも駆け足でまわっていて、過去記事まで読んでいませんでした。
Levalloisbeeさんは、今もパリにいらっしゃるんですか?
フランスをはじめ、いろんな国をまわってらっしゃるんですね!
私はフランスに住んでるといっても、ごく限られたところしか知りません。
リスボンという街も古くて良さそうな街ですね。訪れてみたいです・・。

Re: No title

lakme様、いつもありがとうございます。ピアノだけでなく言語学もご専門なんですね。おっしゃる通り、脳は面白いし、脳の研究は大切ですが、研究倫理がより問われる分野ですね。もっと一般の人々が広く知る機会が必要なのかも知れません。

> 元言語学科の私としては、脳はとっても興味あります。もっと賢かったら、博士課程まで続けて認知科学を勉強したかった・・・。ふむふむ、記憶の改ざんができつつあるんですね。これって、positive活用しないで悪用したら大変なことになりそう。モラルが問われる分野ですね。

No title

元言語学科の私としては、脳はとっても興味あります。もっと賢かったら、博士課程まで続けて認知科学を勉強したかった・・・。ふむふむ、記憶の改ざんができつつあるんですね。これって、positive活用しないで悪用したら大変なことになりそう。モラルが問われる分野ですね。
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する