Aceの独白-飛ぶ快感そして戦い失う悲しみ: 「空(そら)物語り」その6

Aceの独白-飛ぶ快感そして戦い失う悲しみ
: 「空(そら)物語り」その6


Mustang III セピア紙
(欧州戦線、街の教会前で休むRAF19Sq.のMustang III)
♪見果てぬ夢を描いて・・♪
しばらく温めていたこの記事を書いているとき、宮崎駿監督の「紅の豚」(大好き!5回ほど観た)の場面が浮かび、加藤登紀子さんが歌う自身作詞作曲のエンディングテーマ「時には昔の話を」のフレーズ♪・・・今でも同じように見果てぬ夢を描いて走りつづけているよね、どこかで♪が耳の奥でリフレインしています。マダム・ジーナが歌う挿入歌「さくらんぼの実る頃(Le Temps des cerises)」も印象的でしたね。(パリ・コミューンの一員ジャン・バティスト・クレマン(Jean-Baptiste Clément)氏作詞だそうです)
・・・と言うことで、今回も勝手にマニアックな記事なので悪しからず・・・

「空(そら)物語り」その1からその5はここをクリック↓
その1:<a href="http://silverrapide.blog94.fc2.com/blog-entry-132.html" target="_blank">空(そら)物語と飛ぶことの実感+Spit出演
その2:<a href="http://silverrapide.blog94.fc2.com/blog-entry-165.html" target="_blank">美しくあまりにも個性的なWhirlwind機と天才Petter
その3:ベンチャー成上りの礎は丸っこくかわいいハドソン機 空(そら)物語その3
その4:愛馬タイフーンを駆ってスコッティ空を行く-空(そら)物語その4
その5:買い物カゴを下げたラム海軍少佐のインディー・ジョーンズのような冒険





過去の記事リストは下のイラストをクリック
パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
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砂漠に不時着したBeaufighter IC の前で記念写真を撮るクルーセピア紙
(砂漠に不時着したBeaufighter IC の前でポーズするクルー)
今も心に残る♪・・・砂漠に消えたアフリカの星♪
最初に感銘を受けたヒコーキ映画は♪砂漠に消えたアフリカの星・・・♪の主題歌「アフリカの星のボレロ」が印象的なルフトバッフェ砂漠のAce、ハンス・ヨアヒム・マルセイユ(Hauptmann Hans-Joachim Marseille)を描いた往年の名画「アフリカの星」でした。大好きなヒコーキ映画の1つです。ジョージ・ペパードが主演の「ブルー・マックス」も良かったですね、第一次大戦複葉機のレプリカをわざわざ作って撮った懲り方も。

Swordfish I セピア紙
(ドーバーの曇り空を行く、ラム少佐も乗っていたSwordfish I )
なぜか惹かれる空(そら)物語り
そもそも小説家である飛行家サンデグジュペリ(Antoine Marie Jean-Baptiste Roger, comte de Saint-Exupéry)、ほとんど文筆家の域の名文を書いたピエール・クロステルマン(Pierre H. Clostermann)などは別格としても、ジョニー・ジョンソン(James E. Johnson)、デズモンド・スコット(Desmond J. Scott)、チャールズ・ラム(Charles Lamb)、R.P.ビーモント(Roland P. Beamont)など、それぞれの領域でのAceパイロットたちが書いた本、所謂回想録ですが、そこに何か心惹かれる共通のものを感じます。

Spitfire I 給油と談笑セピア紙
(バトルオブブリテン下、Spitfire I給油中の一刻の談笑)
いつかの日にか故国の地を・・“Destiny can wait”
; 亡命ポーランド飛行隊

“Destiny can wait”(運命は待つことができる、いつかその日は来る・・)、これがBattle of Britain、Desert Warなどで破格の活躍を見せた亡命ポーランド飛行隊の合言葉。非条理にも隣り合う2つの大国、ソ連とナチスドイツの密約により2国に突然蹂躙されて故国を追われ、フランスで、次に英国で亡命義勇飛行隊として戦い、勇気と多大な犠牲で大きな功績を挙げながら、戦後は共産圏に飲み込まれた故国には戻れず、英雄たちは世界各国に散っていきます、“Destiny can wait”の言葉を信じて。故国に戻った彼らのリーダーにしてtop Aceのスカルスキ(Stanislaw F. Skalski)は「反逆者」として一時投獄さえされました(ヒドイ仕打ちだ!)。昔モノクロで「333飛行隊」(300番台は亡命飛行隊を表します)と言う渋い名画がありました。

フランスの地 91st Nigeri aSq のSpitfire XIVセピア紙
(フランスの地、RAF 91st Nigeria Sq.のSpitfire XIV)
ネルソンの伝統を継ぐ“静かなる男”、ジョニー・ジョンソン
トラファルガーのネルソンの伝統以来、なるほど”for the team”とはこのことかと。RAFトップエース、ジョニー・ジョンソンの自伝”Wing Leader”はクロステルマンの”Le Grand Cirque”とは好対照です。義足のAce、ダグラス・バーダー(Douglas R. S. Bader)の薫陶を受け、やがて大隊を率いる編隊長に、RAFトップエースになる一人の青年の感情を抑え淡々と書かれた等身大の記録。愛機に弾を受けたのはただの一度、一発だけとう言うほどの天才パイロットでいながら、撃墜記録の更新に騒ぐマスコミにも動ぜず、ひたすらチームワークとリーダー責任に徹した冷静さと分別に富む言動はやはりネルソンの伝統でしょうか、カナダ人ですが。ちなみに彼の機体には撃墜数マークは一切ありません。

カードアタイプのTyphoon IB前で記念セピア紙
(カードアタイプのTyphoon IB前で記念写真)
飛ぶために生まれてきた孤独ないたずらっ子Ace、ビューリング
自身、自叙伝は遺さなかったのですが、悲運の天才Ace“スクリューボール”ことジョージ・ビューリング(George F. Beurling)は、真逆の性格のP.クロステルマンとJ.ジョンソンの両方の著書にも登場するほど“魅力的な悪がき”パイロットです。貧しい出身のビューリングは食費も削って飛行学校に通いますが、どこでも不採用。協調性ゼロの性格が災いしたようで、最後に“就職”したRAF(英国空軍)でも「規律を重んじる」気風ゆえ芽が出ず。仕方なく志願したマルタ島飛行隊は圧倒的劣勢下の激戦地で個人の腕と度胸と運だけが頼り。そこでビューリングの才能は初めて花開き一気にtop Aceに上り詰めます。でもマスコミの持ち上げや昇級の誘いにも応じず、ひたすら孤独に飛び続けたビューリング。居場所を失った戦後、イスラエル空軍の雇われパイロットとなり事故で早逝します。写真を見るといたずらっ子のようなキラキラした瞳のカナダ青年です。

前線の2nd TAF Typhoon Ibセピア紙
(前線の2nd TAF、Typhoon IB)
旧式銃でも百発百中、-70度の氷原ハンター、ユーティライネン
地上でさえ零下20度、ましてや高空は零下50度、70度の世界。その空を、コックピットを開けて飛ぶ、故国の空をよく見張るために。光さえ乏しい極北の雪空に芥子粒のような点を見つけ、タイガの森の猟師のように一発で敵機(ソ連機)の心臓(エンジン)を射抜く。忍耐と自己抑制が生む神業。ユーティライネン(Eino I. Juutilainen)はじめフィンランド空軍の“魔法”が操れば中古の時代遅れ二流機(フォッカーD21)や駄作機(バッファロー)も“名機”に変貌したようです。

南の島の炎天下整備中のP38 Lightning Jセピア紙
(南の島の炎天下、整備中のP-38J Lightning)
そして「星の王子さま」のサンデグジュベリ
リンドバーグと並んで「飛行家」と言う稀少種の生き残りであったサンデグジュベリ。多くを遺さないまま故国フランスのために地中海に散った中年オジさんパイロット、サンデグジュベリ。でもその著作は香水の名にも冠された「夜間飛行」や「南方郵便機」などヒコーキ大好き青年だった僕を魅了しました。もちろんサンデグジュベリと言えばLe Pettit Prince(星の王子さま)。私がパリを去るときそのファンであることを知っていた同僚が餞別に贈ってくれたのはLe Pettit Princeのフランス語ナレーションCDでした。

The Other Fewの一員Blenheim IVセピア紙
(The Other Fewの一員Blenheim IVが今夜も飛ぶ)
翼の生えた若者たちの挽歌
Ace、彼らは生まれながらに飛ぶことが好きな「翼人間」だったのでしょう。もちろん同時に非情な戦いの場を生き抜き、生き残った者たちだからこそ、胸に去来する想いも多々あったと思います、楽しくも、悲しくも・・。20才そこそこの青年たちが背負うには重すぎるものも(著者は意識していないかも知れなくても)行間から伝わってきます。彼らAceたちは稀有な「翼のはえた青年たち」の生き残りだったのでしょうね。改めて平和なときを生きる私はなんと幸せなんだ、とも感じます。

Mosquito FBVI セピア紙
(雪解けの朝、夜戦塗装のMosquito FBVI)
好きだからこそ作りにくいAce乗機
Ace乗機のプラモは1/72で昔、J.ジョンソンのSpit IXやP.クロステルマンのTempest Vなど作りましたが、最近あまり作っていません。有名な機体なので私の拙いプラモの腕では似ていない部分が気になってしまって・・・。ホントはサンデグジュベリが最後に乗ったF-5(P-38 Lightningの偵察型、シリアルNo.268223)も作りたいのですけど。

出典? ・・・今回はいっぱいあるので割愛いたします。

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コメント

Re: おはようございます。バーソです。

バーソ様、いつもありがとうございます。教えて頂いたURLを覗いてみました。スゴイですね、模型作りのウデや、空飛ぶフネなどの美しいフォルムもそうですが、80歳を過ぎてなお夢を形に紡ぎだす気力とセンスに感服するのみです。作品にみな手作りの温かみがあるのもいいですね。素敵な記事を紹介頂き、ありがとうございます。

> ゴム動力の模型ヒコーキですが、
> 83歳のオトコの趣味、ちょっと見てみませんか。
> http://japan.digitaldj-network.com/articles/21150.html

おはようございます。バーソです。

ゴム動力の模型ヒコーキですが、
83歳のオトコの趣味、ちょっと見てみませんか。
http://japan.digitaldj-network.com/articles/21150.html

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Re: こんばんは バーソです。

バーソ様、いつもありがとうございます。「アフリカの星のボレロ」を聴いて頂けたなんて感激です。脱出したパラシュートが尾翼に引っかかってマルセイユは墜死します。砂漠の乗機の残骸をズームアウトするラストシーンで流れるこの主題歌はひもをハサミで断ち切るように若い命が突然終わる悲しみが伝わってくるようで印象的でした。

> 「さくらんぼの実る頃 Le temps des cerises」。
> いま、You-Tubeで聴きました。こういう歌を聴くとゾクゾクします。
> 人間に生まれてよかったなあ、と感じます。
> 映画館には滅多に行かないのですが、『紅の豚』は観に行きましたよ。
> 『アフリカの星のボレロ』も、悲しげないい曲です。
> マルセイユ大尉は23歳で事故死。翼人間たちはみんな若かったんですね。
> J・スチュアートの『翼よあれが巴里の灯だ』はテレビで何度も観ました。
> サンデグジュベリは飛行家だったんですか。
> 星の王子さま、そして空の王子さまだったんですね。

こんばんは バーソです。

「さくらんぼの実る頃 Le temps des cerises」。
いま、You-Tubeで聴きました。こういう歌を聴くとゾクゾクします。
人間に生まれてよかったなあ、と感じます。
映画館には滅多に行かないのですが、『紅の豚』は観に行きましたよ。
『アフリカの星のボレロ』も、悲しげないい曲です。
マルセイユ大尉は23歳で事故死。翼人間たちはみんな若かったんですね。
J・スチュアートの『翼よあれが巴里の灯だ』はテレビで何度も観ました。
サンデグジュベリは飛行家だったんですか。
星の王子さま、そして空の王子さまだったんですね。

Re: No title

エヌエフ様、いつもありがとうございます。私などプラモさえうまく作れないダメなヒコーキおやじですが。アンデス越えや大西洋横断の空路を拓いたサンデグジュペリとリンドバーグは「パイロット」より「飛行家」と言う呼び方がふさわしい気がします。浪漫の香りがするからでしょうか、おっしゃる通り、二人はやはり特別ですね。またときどき、ヒコーキネタを書いてみます。

> おはようございます。
> 空物語といえば・・・ やっぱりサンテグジュペリの「星の王子様」でしょうか。
> もともと読書の苦手な私は、この物語を完読したことはありませんが、ラジオの朗読番組で聴いていました。もちろん仏語版は聞き取れませんが、それでもその雰囲気だけで、すごく爽やかな気持ちになった記憶があります。
> あと、映画だと「翼よあれが巴里の灯だ」・・・ こちらもじっくり観た記憶がないんです。 
> こんなわたし、ダメなヒコーキ少年でした^^;
> いつもすてきな記事、ありがとうございます。

No title

おはようございます。
空物語といえば・・・ やっぱりサンテグジュペリの「星の王子様」でしょうか。
もともと読書の苦手な私は、この物語を完読したことはありませんが、ラジオの朗読番組で聴いていました。もちろん仏語版は聞き取れませんが、それでもその雰囲気だけで、すごく爽やかな気持ちになった記憶があります。
あと、映画だと「翼よあれが巴里の灯だ」・・・ こちらもじっくり観た記憶がないんです。 
こんなわたし、ダメなヒコーキ少年でした^^;
いつもすてきな記事、ありがとうございます。
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