巣を張るだけがクモじゃない蜘蛛の糸の技術革新+古都ウィーン番外編

巣を張るだけがクモじゃない蜘蛛の糸の技術革新+古都ウィーン番外編

古都ウィーン番外編
ホーフブルク王宮(Hofburg)downsize
(ウィーン、ホーフブルク王宮(Hofburg))
美しくも妖しい蜘蛛の糸のサイエンス小ネタです。写真は“老舗”つながりで欧州の古都ウィーン街歩き番外編です。
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ウィーンには秋が良く似合う、帝都の残り香





観光馬車フィアカーdownsize
(観光馬車フィアカーが石畳をパカパカと行きます)
同心円のきれいな蜘蛛の巣は少数派?
現生のクモ類の最も繁栄し最も進化しているクモたちの過半は網、つまり「蜘蛛の巣」を張らないし、網を張るクモでも木の枝などに縦にきれいな同心円で張られた円形網(ボクたちが知っている典型的な「蜘蛛の巣」)を張るのは一部のフツウクモだけ、少数派だそうです。

大絶滅を生き抜いたクモたちREVdownsize
(大絶滅を生き抜いたクモたち)
大絶滅も生き抜いた動物界の老舗
クモ類の家系はとても古くて、ペルム紀末の大絶滅(2億5千万年前頃)を生き延びた祖先から進化してきたらしく、哺乳類よりも恐竜よりも古い出自の老舗です。最古の化石はクモと確認できるもの(ハラフシグモ)が3億年前、クモに近縁らしいものなら4億年近く前です。

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シュテファン大聖堂(Stephansdom)downsize
(シュテファン大聖堂(Stephansdom)の屋根のモザイクが美しい)
地味で目立たない古いヤツ
現生のクモ類でもかなりの割合を占める古いタイプのクモ(ハラフシグモ、ジグモ、トタテグモなど)は地面の穴の中や木の根の目立たない袋の中で餌を待ち、ボクたちが想像する「蜘蛛の生活」のイメージとはかけ離れています。

バルコニーの花downsize
(バルコニーの花が石積みの壁に映える)
クモならみんな作り、クモしか作れないもの、「蜘蛛の糸」
化石クモも含めて、蜘蛛の巣を張るクモも、張らないクモも、地面の穴に隠れているクモも含めて、ほかの動物にはないクモだけの優れた特徴があります。それは“Spider Silk” 「蜘蛛の糸」(とこれを紡ぐ器官、「出糸突起」)です。

ホーフブルク王宮へ続く路REVdownsize
(ホーフブルク王宮へ続く路の賑わい)
蜘蛛の糸の技術革新でクモは市場拡大
クモたちがこんなにも長く地球上で生き延び、現在も大繁栄しているのは、節目、節目で「蜘蛛の糸」に“技術革新“が起こって進化を促し、環境の変化に対応するだけでなく、クモの”市場拡大”-新しいニッチ(生態学的地位)への進出-も出来たから、らしいのです。

王宮の庭園downsize
(王宮の庭園)
「蜘蛛の糸」蛋白質で“暖簾を守りつつ事業拡大”
このようにクモが“暖簾を守りつつ事業を拡大”することが出来たヒミツはひとえに“「蜘蛛の糸」蛋白質の進化”にあります(毒をもったこともちょっと貢献していますが)。
ご興味あれば「続きを読む」をクリックしてください。

蜘蛛の糸の使い道
(クモたちは蜘蛛の糸の様々な使い道を発明しました)

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ホーフブルク王宮のヨーゼフII世像( Joseph II )downsize
(ホーフブルク王宮のヨーゼフII世像(Joseph II )、今にも空に向かって突進しそう)
クモはユニークな“進化モデル”動物
分子遺伝学の手法を使って現生のクモの「蜘蛛の糸蛋白質」とその遺伝子を調べれば、過去の進化とその仕組みが分るそうです。物質(蜘蛛の糸)の進化(分子進化)で追うことで、その動物(クモ類)の何億年にもわたる進化の歴史やそのメカニズムを探ることが可能になると言う、クモは他に例がないユニークでステキな“進化モデル動物”です。

重厚な石造りdownsize
(H&Mもウィーンでは重厚な石造りの店構え)
ハイテク繊維「蜘蛛の糸」でM.I.P.
そもそも蜘蛛の糸そのものがハイテクのスーパー繊維ですが、その種類と機能も多彩です。こんな優れた糸をクモは何種類も使い分けてクモたちは他が真似できないような“芸術的ものづくり”の円形網の巣や、“離れわざ”、ミッション・インポッシブル(M.I.P.)のような垂直降下などをやってのけます。

古い建物が残っているdownsize
(街のあちこちに古い建物が残っている)
どんな機能も実現する夢の繊維
蜘蛛の糸は、最強の合成繊維を超える丈夫さと、高速で飛び込む虫をフワリと受け止めてしまうしなやかさもを併せ持つ大瓶状腺糸も、篩板がくり出す投げ縄で餌を絡め取る粘着力と、ピンポイントで巣を支える強力な接着力を持つ羊毛のような撚糸でも、何でも自由自在です。

小広場の華麗な彫像downsize
(小広場にも華麗な彫像が立っています)
瞬間硬化剤でM.I.P.並みの“瞬間降下”
液体として出糸突起が空気中に吐き出されると瞬時に丈夫な固体の糸になるので垂直降下かハエトリグモがジャンプするときに命綱にもなります。素早く動くクモのスピードより糸が出来るスピードの方が速いからできることです。これを固まらなくすると粘液球となり蜘蛛の巣のネバネバになります。

白と黒のコントラストが美しい尖塔downsize
(白と黒のコントラストが美しい尖塔)
繰り返し構造が「蜘蛛の糸」の性能の秘密
さまざまな機能、性能を持つ多彩な種類がある「蜘蛛の糸」蛋白質フィブロインですが、その分子構造は、同じく繊維蛋白質であるコラーゲンなどと同じく、特定のアミノ酸の並び(アミノ酸配列)が繰り返されたものです。繰り返し単位を構成するアミノ酸の種類、繰り返しの長さや頻度などが変わることで、更にテキトウにランダムな構造も混じることで、「蜘蛛の糸」の様々な優れた性質を生み出しているようです。

ウィーンの地図
(ウィーンの地図、欧州のど真ん中ですね)
ミスのし易さが革新の肝
このような夢の繊維「蜘蛛の糸」を創り出す原動力は「蜘蛛の糸」蛋白質遺伝子の「間違いやすさ」にあります。アミノ酸配列が繰り返されると言うことは、その基の設計図DNAの塩基配列も繰り返しになっていると言うことです。DNA上の繰り返し構造は似すぎているためにコピーミスが起こり易いのです。そうすると簡単にいっぱいバリエーションが出来て、中には新機能を持つ分子も出来ると言う訳です。

“ものづくり”の大先輩に学ぼう
こんな夢の繊維「蜘蛛の糸」を人の手で自在に創ってみたいと思いつくのは自然な成り行きです。山形県のバイオベンチャー、スパイバー社(Spiber)(http://www.spiber.jp/)さんは蜘蛛の糸をヒントに様々な新機能の繊維を創り出しています。独法でバイオベンチャーさん支援をやっていた頃この優れたベンチャーさんを知りました。何億年も独創的なハイテクで生き延びてきたクモさんは明日の日本の“ものづくり“のステキなお手本なんですね。”夢の繊維-クモの糸“製造法開発の国際競争も盛んなようです。
スパイバー社さんについてはウキペディアにも記事があります(リンク貼っていません)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC


出典: 「クモはなぜ糸をつくるのか?; 糸と進化し続けた四億年」 “Spider Silk; Evolution and 400 Million Years of Spinning, Waiting, Snagging, and Mating” 2010年 Leslie Brunetta氏、Catherine L. Craig氏共著、三井恵津子氏訳、宮下直氏監修(2013年 丸善出版)
出典: 「特許ウォッチ: クモ糸タンパク質の生成法」日経サイエンス 2013年8月号 P.23
出典: 「大絶滅がもたらす進化」 2010年 金子隆一氏著(ソフトバンク クリエイティブ㈱、サイエンス・アイ編集部)


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コメント

Re: No title

イヴまま様、いつもありがとうございます。同感です。クモの巣は幾何学的で美しいですね。しかし、クモそのものはどう見てもかわいくないので、クモのイラストを出来るだけ小さくし色づけをしてみました。虫系の話題は画像が難しいですね。

> クモは大の苦手ですが
> 朝露に濡れたクモの糸に出会えた時は
> うっとりと見つめてしまいますー
>
> 美しい画像で安心しましたー

No title

クモは大の苦手ですが
朝露に濡れたクモの糸に出会えた時は
うっとりと見つめてしまいますー

美しい画像で安心しましたー
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