空飛ぶネコか?いえカタリナは両生類

空飛ぶネコか?いえカタリナは両生類
『白いカエル』、カタリナ水陸両用飛行艇

駐機中のカタリナREVdownsize
(英国Duxford IWM博物館の飛行場に駐機中のカタリナ)




安易な?タイトル「空飛ぶネコ」
カタリナ飛行艇(Consolidated PBY Catalina)はフシギな魅力を持ったヒコーキです。今回のネタ本はこれ。カタリナCatalinaを縮めてCat、ヒコーキなので”Flying Cat (空飛ぶネコ)”とある意味安易なタイトルのカタリナだけについて書かれた本です。
出典: “Flying Cats” 1988年 Andrew Hendrie氏著 (Airlife Publishing Ltd.出版)
カタリナの本1 REVdownsize
(カタリナの本、英国RAF博物館で買いました)

いえ、カタリナは両生類です
ブリスターが印象的なカタリナの尻尾から出入りREVdownsize
(ブリスターが印象的なカタリナ、尻尾からも出入りします)
でも水陸両用の飛行艇(PBY-5Aなど)なので両生類(Amphibia)です(水陸両用機は実際Amphibianと呼ばれます)。胴体はとっても平べったく前から見たらまるで「空飛ぶカエル」です(フロートだけで脚のないタイプもあります。)


クロウト受けする秀逸なデザイン
カタリナ平側面図downsize
(カタリナ平・側面図、英国空軍(RAF)コースタールコマンドの白いコスチュームです)
でもこのカタリナは三面図で見ると、日本の航空工学の大家、佐貫亦男氏も絶賛するバランスが取れ良く考えられた機体デザインです。

(「飛行機のスタイリング」1996年、佐貫亦男氏著(㈱グリーンアロー出版社))

「95式」万能機
DuxfordIWMの飛行可能なCatalina再掲 REVdownsize
(Duxford IWM博物館の飛行可能なカタリナ<再掲>)
1935年初飛行、即正式採用なので「95式中艇」と言うところでしょうか。いわゆるマリタイム機(maritime patrol aircraft、対潜哨戒機)ですが、海上偵察、沿岸警備、船団護衛、海難救助、貨物輸送といろいろ便利に使われ、後に消防機になったものもあります。ジミながら万能機です。


ジミ機なのに戦局を変えた3つの殊勲
白いカエルCatalina機再掲downsize
(『白いカエル』みたいなカタリナ<再掲>)
一度見失った戦艦ビスマルク号を北大西洋で、ミッドウェーに迫る太平洋上の日本機動部隊を、スリランカ襲撃の日本艦隊をインド洋で、また真珠湾奇襲部隊をいち早く発見したのはいずれもカタリナです。その4つの内、先の3つは戦局を左右した「殊勲」となっています(真珠湾だけは徒労に終わりました)。


信頼、安定、忍耐が生んだ武勲
RAF博物館で買ったカタリナのスケッチREVdownsize
(RAF博物館で買ったカタリナのスケッチ、ジブラルタルの海を哨戒中の1シーン)
これは偶然ではなくカタリナが信頼のおけるツインワスプエンジン(Pratt & Whitney R-1830 Twin Wasp)と使い易い機体構造を備え、双発にも拘わらず長い時間(24時間を超えて)、遠くまで(4千km以上)、哨戒できる性能の飛行艇だったからです。もとをただせば優れた機体デザインのおかげ。


とっても便利な「2つの目玉」がチャーミング
飛行準備中のカタリナ飛行艇再掲downsize
(飛行準備中のカタリナ<再掲>)
カタリナ最大のチャームポイントはおっきな目玉のような胴体後部のブリスター(blister)です。本来は銃座なんですけど哨戒飛行艇にはとっても便利。真上の空も真下の海も良く見えるし、乗り降りにも荷物の積み込みにも使える、離水のときには舫いを解いたりブイを離したりとか。


シャチホコな尾部でアクロバット着水
古いAirfixのカタリナREVdownsize
(古いAirfixのカタリナ(1/72)、その内作らなくちゃ)
カタリナにしか出来ない難易度の高い技として(ベテラン操縦士にしか出来ないけど)、例えばジブラルタルなどの狭い水路で『機首上げのままドンと着水し波の抵抗でパっと止まる』離れ業短距離着水があります。ピンとシャチホコみたいにはね上がった尾部だからこそ出来たことです。


バランスが崩れないエンジン配置
哨戒と海難救助に活躍したCatalina再掲 downsize
(哨戒と海難救助に活躍したカタリナ、乗り降りも楽そう<再掲>)
カタリナの主翼は胴体から支柱でヨイショと持ち上がり、そこにくっつくような近さで2つエンジンが並んでいます。実はコレ保険。広い海を単機で飛ぶマリタイム機、エンジンが1つ故障したら機体バランスが崩れたまま不安な長時間を飛ぶ破目になる。でも両方のエンジンがまん中近くにあるカタリナではバランスが崩れにくいのです。


海でも陸でも発着できる両生類の特技
ロバートテイラーが描くカタリナdownsize
(英国のヒコーキ画家ロバート・テイラー氏が描くカタリナはステキです)
普通の飛行機は陸の飛行場、水上機なら入江や港にしか発着できませんが、水陸両用の「両生類」カタリナなら海陸どこでもオッケーなので重宝がられたようです。


飛行艇向きのダンボ・ミッション(海難救助)
カタリナのいかにも飛行艇らしい任務は「ドンパチ」ではなく海上の救難任務、その名もダンボ・ミッション(Dumbo Mission)です。飛行艇の利点は空から捜索して見つけたら着水し遭難者やそのボートにそのまま横付けできることです。だからカタリナは救難任務にも広く使われました。

七つの海を行くカタリナ
今のエアライナーなら当たり前ですが、1940年代当時では七つの海(北大西洋、南大西洋、北太平洋、南太平洋、インド洋、北極海、南極海)で活躍した機体はカタリナだけでした。さすがに南極海には行っていませんが、その代り地中海、黒海などの内海でも活躍しましたから全世界を股にかけたと言っていいでしょう。

世界中で長く使われたカタリナ
これほど広い地域で活躍でしたのは世界12ケ国で長く使われたからです。北欧では戦後も長く飛び続けました。(12か国: 米国、英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、オランダ、ソ連、ブラジル、インドネシア、デンマーク、スウェーデン、フランス、チリ)
マリタイム機の過去記事はここをクリック↓
海鳥、翼竜、マリタイム機に共通するものとは?
ベンチャー成上りの礎は丸っこくかわいいハドソン機 空(そら)物語その3
空飛ぶ船サンダーランド飛行艇の洞内巡り

Consolidated PBY-5A Catalina (カタリナ水陸両用型)のデータ
(Wikipedia掲載の値)
全長:19.46 m、全幅:31.70 m、全高:6.15 m
乗員:10名
自重:9,485 kg、最大離陸重量:16,066 kg
動力:Pratt & Whitney社製 R-1830-92 Twin Waspエンジン1,200馬力×2基(双発)
最大速度:314 km/h、巡航速度:201 km/h
航続距離:4,030 km
上昇限度:高度4,000 m


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コメント

Re: No title

エヌエフ様、いつも訪問、コメント感謝です。
同感です。確かに間近で見ると平べったいけど反り上がった胴体が妙にカッコ良かったです。
ちなみに折りたたみ式翼端フロートは日本では紫雲につけてみたけどダメだったようです。
F1?カー製作のライブ記事いつも愉しみに見ています。こちらもまた、ヒコーキネタを書きますね

> カタリナのイメージは、クラシックでありながら妙に先進的にも見える。
> 機体のデザインもさることながら、ブリスターの形とか、何より主翼端の仕掛けが、中学生当時の私には衝撃的でした。
> (日本機には無いような仕組みがジェラシーだったかも^^;)

Re: No title

イヴまま様、お元気になられて良かったですね。
いつも訪問ありがとうございます。その上、ヒコーキの記事にまでコメント頂き感激です。
おっしゃる通りカタリナはジミ機なのに何かチャーミングでひかれます。飛ぶ姿も優雅でしたよ。
そちら札幌はこれからが花の季節でしょうか?愉しみですね。

> こんばんは。
> お久しぶりになってしまいましたー
> 旅の後寝込んでしまいましたが
> 復活しましたーー♪
> カタリナ、名前の響きが素敵です。
> おめめもぱっちりして
> とっても可愛いです~(*^。^*)

No title

カタリナのイメージは、クラシックでありながら妙に先進的にも見える。
機体のデザインもさることながら、ブリスターの形とか、何より主翼端の仕掛けが、中学生当時の私には衝撃的でした。
(日本機には無いような仕組みがジェラシーだったかも^^;)

No title

こんばんは。
お久しぶりになってしまいましたー
旅の後寝込んでしまいましたが
復活しましたーー♪
カタリナ、名前の響きが素敵です。
おめめもぱっちりして
とっても可愛いです~(*^。^*)

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Re: おひさしぶりです

必殺遊び人様、いつも訪問、コメント感謝です。南の島を飛行艇で遊覧飛行、いいですね。私も資金があれば考えるのですが・・・。セスナで北アルプスを飛べるんですね、お母様喜んでおられたと思います。ハワイで3回ほど飛びましたが、レシプロ小型機だと風や空気も感じられて良かったです。

> カタリナ飛行艇は懐かしいですね。小学生の時にレベル社の1/72のモデルで作ったことがあります。翼の幅広な印象を持っていましたが、耐久性や扱いやすさで多目的に使えたようですね。シミレーションで飛行機の操縦をやっていますが、こういう信頼性のある飛行機には愛着がわきます。出窓のような風防が付いているので遊覧飛行などにはもってこいだと思います。特に日本には小さな島が点在していますので外国人のある程度裕福な観光客を対象に各々特色ある島の観光とかに使ったら経済の活性にもなると思うのですが。たとえば沖縄ー奄美諸島ー屋久島ー種子島ー桜島ー霧島ー阿蘇などの綺麗な海や火山・温泉など日本にはまだ有力な観光資源が残っています。その前に飛行機買う金が必要ですけどね。(笑)
>  じつは3年ほど前に親孝行のつもりで うちの母親を連れてセスナ機で北アルプスの遊覧飛行をしたことがあるのですよ。ほんとにすばらしい経験でした。ぜひ遊覧飛行お試しあれ

おひさしぶりです

カタリナ飛行艇は懐かしいですね。小学生の時にレベル社の1/72のモデルで作ったことがあります。翼の幅広な印象を持っていましたが、耐久性や扱いやすさで多目的に使えたようですね。シミレーションで飛行機の操縦をやっていますが、こういう信頼性のある飛行機には愛着がわきます。出窓のような風防が付いているので遊覧飛行などにはもってこいだと思います。特に日本には小さな島が点在していますので外国人のある程度裕福な観光客を対象に各々特色ある島の観光とかに使ったら経済の活性にもなると思うのですが。たとえば沖縄ー奄美諸島ー屋久島ー種子島ー桜島ー霧島ー阿蘇などの綺麗な海や火山・温泉など日本にはまだ有力な観光資源が残っています。その前に飛行機買う金が必要ですけどね。(笑)
 じつは3年ほど前に親孝行のつもりで うちの母親を連れてセスナ機で北アルプスの遊覧飛行をしたことがあるのですよ。ほんとにすばらしい経験でした。ぜひ遊覧飛行お試しあれ


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