温暖化で寒い冬をもたらすテレコネクション+美しい水の街ブルージュ

温暖化で寒い冬をもたらすテレコネクション+美しい水の街ブルージュ
生物地理学の冒険者 その6
絵本の世界に居るようなGrote Markt広場downsize
(絵本の世界に居るようなブルージュの中心Grote Markt広場)
「温暖化で寒くなる」?
この冬は寒かったですね。記憶の中では、何年かおきに厳寒や豪雪が来ているように思います。
あるサイエンス雑誌で「温暖化で寒くなる」と言う面白いタイトルの記事を見つけました。これにちなんで少しばかりサイエンス小ネタを・・・。


絵本の中を歩くような水の街ブルージュ
馬車が闊歩するブルージュの街並みREVdownsize
(馬車が闊歩するブルージュの街並み)
例によって特に写真もないネタにつき、歴史の化石、ベルギーのブルージュ(Brugge)の街のまだご紹介していない情景を添えた番外編です。昔の姿にそのまま保たれているブルージュはまるで絵本の中を歩くような気分になる美しい運河の街です。
ブルージュ過去記事はここをクリック↓
馬車が走る再生した水の都ブルージュ





水の都ブルージュは観光も舟でREVdownsize
(水の都ブルージュは観光も舟で)
北極振動が頼りなくて・・・
今年の冬(北半球の)が日本だけでなく北米東海岸なども厳冬なのはAO(北極振動、Arctic Oscillation)が負の値(マイナス)になり北極の寒気を閉じ込めておく働きが弱くなったからだそうです。

北極振動は気圧のシーソー
北極振動で北極寒気の閉じ込められ方が変わる
(北極振動で北極寒気の閉じ込められ方が変わる)
亜熱帯の高気圧と極周辺の低気圧とがシーソーのように連動して変動するのがAO北極振動で、その気圧差が大きくコントラストが強いときAOは正の値(プラス)となります。
このような時は、極周辺を回るジェット気流、極渦(polar vortex)が強くなり寒気を極に閉じ込めてしまう結果、北半球の中高緯度地方は寒気の緩い穏やかな冬となります。


北極振動がマイナスだとジェット気流が暴れる
北極振動が負になるとジェット気流が蛇行する
(北極振動が負になるとジェット気流が蛇行する)
逆に亜熱帯の高気圧と極周辺の低気圧との気圧差が少なくなるとAO北極振動は負の値(マイナス)となり、極渦は弱くなって北極に寒気を閉じ込められなくなります。同時に中高緯度のジェット気流も不安定になって蛇行します。このジェット気流がエアライナーが使ういわゆる「ジェットストリーム(Jet Stream)」、昔、同名のステキなラジオ番組がありましたよね。


石橋にハタが鮮やかなレストラン船着き場downsize
(石橋に旗が鮮やかなレストラン船着き場)

なぜ北極振動がマイナスなのか?にご興味あれば「続きを読む」へ・・

川床レストランを小舟が行き交うdownsize
(川床レストランを小舟が行き交う)
気まぐれに切り替わる振動
このように北極振動などは「振動(Oscillation)」の名の通り、何年かおきに正と負が気まぐれにシーソーのように切り替わります。

地図を片手に街巡り狭いのですぐに一周downsize
(地図を片手に街巡り、狭いのですぐに一周)
ジェット気流の気まぐれが招く寒波
ジェット気流が降りてきた中緯度地域は北極の寒気が侵入し極寒となります。一方、ジェット気流が高緯度で通る地域では暖冬になり、冬の気候の地域差が激しくなります。今年の厳しく多雪の冬はジェット気流が蛇行して日本上空でより南寄りを通っているためらしいです。

ブルージュ街はずれのプチホテルdownsize
(ブルージュ街はずれのプチホテル)
地球全体ではやっぱり温暖化
AO北極振動が負のときは北半球中緯度の一部に極寒をもたらしますが、逆に亜熱帯では熱が溜まってしまって暑くなり、結局、地球全体としては“平均すると温暖化が進んでいる”ということになるそうです。

のんびりしたレストランテラス席REVdownsize
(のんびりしたレストランテラス席)
なぜ北極振動がマイナスになるのか?
じゃなぜAO北極振動が負になるのでしょうか?意外なことに北極の氷の融解が進むからだそうです。夏に氷が多く融けると湿度が高くなり(水蒸気分圧が高まり)、本来は気圧が低いはずなのに高くなり亜熱帯との気圧差が縮小するためらしいのです。

雨上がりの広場downsize
(雨上がりの広場)
キャッチコピーを正確に書くと・・・
夏の融氷が進むのはもちろん温暖化の影響、なので、冒頭紹介の一見矛盾する“キャッチコピー”は正確に表現すると「温暖化で(中緯度のどこかが極端に)寒くなる(でも地球全体では温暖化)」と言うことです。

質素で閑静な家並みdownsize
(質素で閑静な家並み)
地球の大気は鍋のお湯
温暖な地球の気候は太陽(太陽光エネルギー)の恵みに支えられています。地球の大気や海水は太陽エネルギーをたくさん浴びる赤道で温められ、ちょうど鍋で湯を沸かすのと同じで、横方向(東西南北)と縦方向(上下)に流れて循環します。南北に熱(や冷気)を運ぶ風はコリオリ力のため貿易風や偏西風となって地球を巡ります。

Grote Markt広場の銅像と市庁舎REVdownsize
(Grote Markt広場の銅像と市庁舎)
太陽の恵みをくまなく届ける大気大循環
海の水の動き、海流はゆっくりですが、大気は貿易風や偏西風などの風となって速やかに循環し、太陽があまりあたらない高緯度や極地にも熱という太陽の恵みが届きます。

水路でのんびり餌を摂る水鳥REVdownsize
(水路でのんびり餌を摂る水鳥)
地球の気候を操るテレコネクション
AOは地球規模の大気の大循環の中で「離れた2つ以上の地域で気圧がシーソーのように伴って変化する現象」であるテレコネクション(teleconnection)の1つで、日本の気候への影響が大きいENSO(エルニーニョ・南方振動、El Nino-Southern Oscillation)もそうです。他にもいくつかあり皆「○○振動」と言う名がついています。

世界をリードする気候予測研究事始めは日本人研究者
全地球の大気と海洋の動きをコンピューター・シュミレーションするGCM(全球気候モデル、Global Climate Model)は今や天気予報や気候変動予測に不可欠でIPCC報告書の重要な根拠にもなっていますが、これを作ったのは実は日本人気象学者、真鍋淑郎氏です。詳しくはWikipediaで(リンクは貼っていなのでコピペしてください)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E9%8D%8B%E6%B7%91%E9%83%8E

テレコネクションをいじっちゃダメ!
これらのテレコネクション、振動の変動によって人々の生活、社会活動は大きな影響を受けます。この地球の息吹、大気大循環を攪乱するような“人為的地球温暖化”はやっぱり危ないですね。

出典: 日経サイエンス2013年2月号P.50 “The Winters of Our Discontent” 「温暖化で寒くなる冬」 Charles H. Greene氏著
出典: 日経サイエンス2013年2月号P.58 “Global Warming: Faster Than Expected?” 「気候変動 想定外の加速」
出典: 「正しく理解する気候の科学」2013年中島映至氏、田近英一氏共著(技術評論社)
出典: 「チェンジング・ブルー」 2008年 大河内直彦氏著(岩波書店)
出典: 「進化する地球惑星システム」 2004年 東京大学地球惑星システム科学講座 編(東京大学出版会)
出典: 日経サイエンス 2012年10月号 P.64 “Witness to an Antarctic Meltdown” 「南極メルトダウン」Douglass Fox氏執筆


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コメント

Re: No title

イヴまま様、訪問、コメントありがとうございます。雪のご苦労も多いことと存じますが、ひな祭りを機に春めくといいですね。ブルージュは馬車が走り伝統的な家屋に手芸など手作り品の店と、時間が止まったようなメルヘンの街ですが、一度捨てられた街を再生した苦労は大変だったでしょうね。

> おひな祭りの朝
> 絵本も大好きな私にとって
> このうえない夢のような世界が広がりました。
> うっとりしながら前記事も眺めさせていただきました。
> まるで映画のシーンのようですね。
> 昨夜の札幌はひどい暴風雪でしたが
> こちらで元気をいただいたので
> 頑張って雪かきしてきます。(笑)
> 素敵な記事をありがとうございました。

No title

おひな祭りの朝
絵本も大好きな私にとって
このうえない夢のような世界が広がりました。
うっとりしながら前記事も眺めさせていただきました。
まるで映画のシーンのようですね。
昨夜の札幌はひどい暴風雪でしたが
こちらで元気をいただいたので
頑張って雪かきしてきます。(笑)
素敵な記事をありがとうございました。
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