植物は“危険の香り”を盗み嗅いで守りを固める + パリの花

植物は“危険の香り”を盗み嗅いで守りを固める + パリの花

説明図
(隣の警戒信号を“盗み嗅ぎ”する植物)




台所の常識のウラ側
ペレール大通りバラのアーチREVdownsize
(ペレール大通りバラのアーチ)
「切った、痛んだ野菜は他の野菜も傷める」なんてこと、プロの料理人や主婦の方々には常識なんでしょうけど、その理由、しくみは意外なものだったというサイエンスの小ネタです。下手なイラストだけでは持たないのでパリや庭の花たちの写真です。


パリ自炊のささやかな知恵
風に揺れる薄紫の花REVdownsize
(風に揺れる薄紫の花)
パリ単身自炊生活を始めた当初、野菜が長持ちすることに気づきました。パリのマルシェの野菜は昔の日本の八百屋さんのように“丸ごと”でとっても長持ち、1週間経ってもヘタらない。“切った野菜が出す傷ホルモン、エチレンで他の野菜も傷む”のを思い出し「野菜は使うまでは切らない」「切った残りはビニール袋に包む」を実践すると(今でもやってます)さらに日持ちがいい。


乗っ取る相手の体臭を嗅ぎ取る
くしゃみ顔のようなパンジーdownsize
(くしゃみ顔のようなパンジー)
他の植物に寄生する植物は宿主の植物をその匂いで探りあて忍び寄るそうです。葉を持たず光合成しない寄生植物ネナシカズラ、発芽した芽はトマトなど特定の宿主の“匂い”を嗅ぎ付け、つるを伸ばし寄生する。箱に閉じ込めてトマトの鉢からの空気だけを送っても、トマトのエキスの綿棒にも、そちらに向かって伸びるそうです。出典①


香水は「トマト・ブランド」でなきゃ・・・
陽に透ける桃の花downsize
(陽に透ける桃の花)
コムギエキスとトマトエキスならトマトを選ぶネナシカズラ、トマトが出すいつくかの匂い(誘因性の揮発物質)の配合が効いているらしく“トマトブランドの香水配合”がお好みらしい。どうやら植物は“他人”の匂いを嗅ぎ分けるようです。(以上はC. De Moraes氏の研究)。出典①


植物に“利他的行動“はあるの???
薄紅の縁取りの花REVdownsize
(薄紅の縁取りの花)
1980年代の先駆的な研究(※)以来、害虫やウィルスなどで傷ついた植物が揮発性物質の“警戒信号”を出し、これを“嗅いだ”周囲の植物が身を守る物質を作って防衛体制を整えるらしいと分かってきました。当初は「動物が仲間に危険を知らせる利他的行動の“植物バージョン”」と解釈されたようですが、最近の研究では「自分の体に危険を伝える」のを“他人”の植物が“盗み嗅ぎ”しているらしいのです。(※:D. Rhoades氏, G. Orians氏, I. Baldwin氏, J. Schultz氏らの研究)出典①


いえ、「独り言の盗み聞き」です
プランシェト公園の白バラdownsize
(プランシェト公園の白バラ)
「え!、なんで自分に知らせるのにわざわざ周りに“匂いの信号”を撒くの?」と思うのですが、それは、一瞬で全身の神経が反応して身をかわしたりできる“動物の常識“であって、神経も血管系もない植物では事情が違うみたいです。出典①


葉から花へ指令、「天敵を呼べ!」
エクサンプロヴァンスの庭の花downsize
(エクサンプロヴァンスの庭の花)
甲虫に喰われたライマメの葉が”警戒信号の匂い“を出すとその花は甲虫の天敵昆虫が好む蜜を出して誘います。「毒を以て毒を制する」戦略。傷ついた1つの葉が出す”警戒信号の匂い“に自分の他の葉や花がまず反応し、近くに生えている他の植物はその”警戒信号“を嗅ぎつけているようです。いわば傷ついた植物の「独り言」の「盗み聞き」らしいのです(M. Heil氏らの研究)。出典①


やっぱりまずは身内
ペレール大通りのピンクのバラdownsize
(ペレール大通りのピンクのバラ)
虫に喰われたライマメの葉と同じライマメの近くの葉、近くに置いた別のライマメの葉は同じ揮発成分の“警戒信号”を出し、遠いライマメは出さない。喰われた葉にビニール袋をかぶせると喰われた葉以外からは“警戒信号”は出なかった。同じ木の葉といえども匂いが届かなければ反応しない。つまり“警戒信号は”まずは身内のためらしいのです。出典①


植物の“防衛兵器”を借用してます
朝露に濡れたエクサンプロヴァンスの庭のバラdownsize
(朝露に濡れたエクサンプロヴァンスの庭のバラ)
このような植物の「対害虫防衛化学兵器」は人間も古から借用していますよね、クスノキから取れる樟脳(Camphor、C10H16O)や蚊取り線香(除虫菊の殺虫成分、ピレスロイド (pyrethroid))とか。また、傷みやすい生魚を使うお寿司にはこのような植物の“防衛兵器“を利用したものがたくさんあるらしい。


植物を使いこなす寿司屋さんの知恵
芝生の中の小さな野草の花REVdownsize
(芝生の中の小さな野草の花)
鯖寿司を包むバラン(葉蘭)やバショウの葉、カキの葉でくるんだ柿の葉寿司、鱒寿司を包むササの葉など、みな植物の抗菌作用の利用。飯台にはサワラやヒノキ、ネタはサワラの葉の上に、とこれらヒノキ科植物の抗菌作用のおかげで清潔を保てるのだそうです。寿司屋さんの知恵ってすごいですね。(植物と人の暮らしのかかわりの本、出典②「蝶々はなぜ菜の葉にとまるのか」(稲垣栄洋氏著)から抜粋)


出典①: 日経サイエンス2012年9月号P.84”What a Plant Smells” 「匂いを嗅ぐ植物」Daniel Chamovitz氏執筆
出典②: 「蝶々はなぜ菜の葉にとまるのか」 2006年稲垣栄洋氏著、草思社


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コメント

Re: こんにちは

fugienaさま、コメントありがとうございます。また、役立つ情報、ありがとうございます。早速やってみますね。ちょっとした工夫で野菜を長く、おいしく食べられるのですね。植物は摩訶不思議ですね。抗酸化ポリ袋の記事、楽しみにしております。

> こんにちは。
> 切った野菜はその瞬間に劣化が始まる!とは、飲食店でアルバイトを初めて経験した時に、そのお店のチーフから教えてもらったことです。
> 今では野菜は全て丸のまま、つまり、カット野菜は購入しないようにしています。で、使いかけの野菜はスーパーの袋に入れ、息を吹き入れ(←ここがポイント!!)、つまりは風船状にふくらんだまま、冷蔵庫の野菜室にしまっています。息を吹き入れる、つまり二酸化炭素を野菜と共に袋に入れる、とただ袋に入れた時よりも野菜が長持ちします。これは数年前にテレビ番組で紹介されていたやり方です。実際、本当に持ちが違います。是非お試しください。
> 追記:最近、抗酸化溶液の効力をポリ袋にもたせたという商品が懸賞で当選したので、野菜を保存する時にはそのポリ袋を使用しています。こちらの方は息を吹き入れなくても野菜が長持ちしています。あとは、冷蔵庫の脱臭剤代わりに使用しています。(この商品については近々ブログにupする予定です。)

Re: これから読みます!

ポンセさま、いつもありがとうございます。植物は静かですが、日々目には見えない苦労もあるみたいですね。記事で少しは和んでいただけているとのこと、過分のおほめ恐縮です。21日の地球アゴラ、ビデオ予約しました、楽しみです。

> こんにちは!
> いつも美しい写真に見とれてしまいます。今日は、写真をみただけで、ランキングボタンを押してしまいました!!
>
> 今週末、21日ですが、NHKBS1の「地球アゴラ」にでます!その準備と育児で時間と追いかけっこをしています。だから、あとで、ゆっくり文章を読んで、もう一度拍手ボタンを押しますね!!
>
> 私には、ここの心が和むブログなんですよ~。

こんにちは

こんにちは。
切った野菜はその瞬間に劣化が始まる!とは、飲食店でアルバイトを初めて経験した時に、そのお店のチーフから教えてもらったことです。
今では野菜は全て丸のまま、つまり、カット野菜は購入しないようにしています。で、使いかけの野菜はスーパーの袋に入れ、息を吹き入れ(←ここがポイント!!)、つまりは風船状にふくらんだまま、冷蔵庫の野菜室にしまっています。息を吹き入れる、つまり二酸化炭素を野菜と共に袋に入れる、とただ袋に入れた時よりも野菜が長持ちします。これは数年前にテレビ番組で紹介されていたやり方です。実際、本当に持ちが違います。是非お試しください。
追記:最近、抗酸化溶液の効力をポリ袋にもたせたという商品が懸賞で当選したので、野菜を保存する時にはそのポリ袋を使用しています。こちらの方は息を吹き入れなくても野菜が長持ちしています。あとは、冷蔵庫の脱臭剤代わりに使用しています。(この商品については近々ブログにupする予定です。)

これから読みます!

こんにちは!
いつも美しい写真に見とれてしまいます。今日は、写真をみただけで、ランキングボタンを押してしまいました!!

今週末、21日ですが、NHKBS1の「地球アゴラ」にでます!その準備と育児で時間と追いかけっこをしています。だから、あとで、ゆっくり文章を読んで、もう一度拍手ボタンを押しますね!!

私には、ここの心が和むブログなんですよ~。
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まとめ【植物は“危険の香り”】

植物は“危険の香り”を盗み嗅いで守りを固める + パリの花 (隣の警戒信号を“盗み嗅ぎ”する植物)過去