Top Predator(頂点捕食者) としてのヒトの役割

Top Predator(頂点捕食者) としてのヒトの役割
白のボタン①downsize
自分がTop Predatorだと考えたことありますか?
この記事を書いてみようか、と思ったのは、生物屋(なまものや)であることもそうですが、国際機関で生物多様性(biodiversity)や産業の持続可能性(sustainability)を守るための「生物資源センター(Biological Resource Centre)の国際ネットワークづくり」に関わったからかも知れません。
その前にまず、皆さん、自分がTop Predatorだと意識したことありますか?

今回、写真は初夏の庭の花たちです。




Top Predatorって?
黄色い花Idownsize
頂点に立つ(他に喰われない)捕食者Top Predator(頂点捕食者、apex, alpha, super, top-level predators)ってなんでしょう?
陸ならライオン、トラ、クマ、海ならサメ、シャチ、川ならワニ、空ならワシ、タカ、昆虫ならスズメバチ・・・とかです。植物→草食獣→肉食獣とか、プランクトン→甲殻類→小魚→大型魚など、生態系の食物連鎖の最上位に立つ者です。


肉食事始めは“開眼”した三葉虫のご先祖?
雨のしずくをとどめた赤い花downsize
捕食者(Predator)は先カンブリア紀の初めて眼が出来た三葉虫の祖先が事始めらしいのです、なんせ“餌”が見えるので・・。それ以来、「喰う、喰われる」は地球の生態系のバランスには欠かせない存在です。
食物連鎖のピラミッドでは上位ほど数が少ない(カモシカよりライオンは少ないとか)ことでバランスが成り立っています。


T-Rexも真っ青、究極のTop Predator、ヒト
紫のビオラREVdownsize
ところが、今やヒトは「誰にも食べられず」、「何でも食べてしまう」究極のTop Predatorで、他のTop Predatorの餌(シ-フードとか、ハチミツとか)を奪うのはもちろん、なんと、他のTop Predatorそのもの(ワニのステーキとか、フカヒレとか、クマの掌とか)まで食べてます。これには恐竜の王T-Rexクンも真っ青か?

Top Predatorとしてはルール違反、人口が多すぎるヒト
オレンジのビオラdownsize
それなのに、”上位ほど少ない”の法則に反して世界中に”繁茂”し、その棲息数はPredatorとしてはとっくに「違反もの」!もうすぐ100億に届くかも?

食物連鎖はピラミッドというより複雑・繊細なネットワーク
白のテッセンREVdownsize
「食物連鎖」と言うとピラミッドのような模式図を思い浮かべます(そう習ったし)が、実際には動物は、季節、天候などで変わる、そのときどきに手に入る餌を臨機応変に食べ、その食べ物は実に多種多様です。何が何を食べるかを詳しく調べて図にしてみると、ピラミッドと言うより、まるでネットワークのような網目状になるそうです。生態系はなるほど繊細、複雑なシステムです。

「風が吹けば桶屋が儲かる」のが生態系
クリスマスローズdownsize
だから何か1つの種が増えたり(外来種とか、ペットの野生化とか)、何か1つが減れば(乱獲とか、環境の変化とかで)、その影響は生態系の食物連鎖ネットワーク全体に広がり、予測不能な結果を招きます。このような非線形な変化で思わぬ種が絶滅したり、異常増殖したり、ときに人の暮らしや経済にも打撃を与えます。
短期的な利害だけで行動すると「風が吹けば桶屋が儲かる」結果でひどいしっぺ返しを食うこともあります。


環境の均質化が大絶滅に導く?
ピンクの花downsize
地球の歴史では、3億5千万年前頃に南北の大陸が合体し、陸地はたった1つの超大陸パンゲア(Pangea)だけになって環境は単調な冷涼乾燥の殺伐たるものになり、棲み分けの場所ニッチ(Niche)は減り、生物多様性は衰退しました。

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酸欠の気候変動がとどめ
白のボタン②downsize
そして2億5千万年前のペルム紀(Permian period)末にはその脆弱な生態系にたぶん大規模火山活動による気候変動(酸素欠乏のサウナ状態)がとどめを刺して、生物の95%以上の種が消えるという前代未聞の大絶滅が起こったようです。

知恵と工夫で何とかここまで・・・でも、そろそろ限界では?
開き始めたバラdownsize
これまで他の生物にはない社会、文明、文化で農業、牧畜、漁業、工業、都市化を進めて環境を改造しながらヒトは殖えてきました。
でも「そろそろ限界じゃない?」というところに来ています。これは例えば、地球温暖化の問題などで実感できますよね。


今、ヒトの仲間が減りつつあります
ピンクのしゃくやくdownsize
文明を極めたヒトと言えども、生態系に依存して生きています。地球のあらゆる場所にくまなく進出し、自然環境を変えて”殖えた”結果、生き物たちのニッチの豊かさが減り、生態系のメンバーが減り、そのバランスも激変し、そのため産業、資源、人の生活への悪影響が懸念され始めました。

生物多様性(biodiversity)の大切さ
はなびらをひろげたシャクヤクdownsize
多彩な生き物が様々なニッチで棲むことで初めて人の生存や生活が維持されることを再認識し、生き物の豊かさを守ろうと言うのが生物多様性保護です。

里山の知恵が答えかも?
赤いぼたんdownsize
しかしながら、いまさら石器時代の生活は出来ません。日本の童話のふるさと、里山とか、英国湖水地方でピーターラビットの作者ポター(Helen Beatrix Potter)が始めたナショナルトラストとか、に代表されるように、野生のままではないけれど、永くヒトの暮らしのモノと心を支えてくれる、ヒトも含めた生態系としての、「半人工の自然」が結構正解に近いのかも知れませんね、今のところは・・・。

今回の記事は“勝手な感想“につき特に参考にした本はないのですが、関連のことを書いている本をいくつか挙げておきます。いずれも面白い本ですので、ご興味あれば、図書館か本屋さんで手に取ってみてください。

出典: “Where the Wild Things Were; Life, Death, and Ecological Wreckage in a Land of Vanishing Predators” 「捕食者なき世界」2008年 William Stolzenburg氏著、高槻成紀氏解説、野中香方子氏訳(2010年、文藝春秋): 
出典: “NEXUS; Small Worlds and the Groundbreaking Science of Networks” 「複雑な世界、単純な法則;ネットワーク科学の最前線」2002年 Mark Buchanan氏著、阪本芳久氏訳(2005年、草思社): 序章の「オットセイが減れば魚が増えるというのはほんとうか」参照
出典: ”In the Blink of an Eye”「眼の誕生」2003年 Andrew Parker氏著、渡辺政隆氏、今西康子氏訳(2006年、草思社)
出典: “Trilobite! Eyewitness to Evolution” 「三葉虫の謎」2002年 Richard Fortey氏著、垂水雄二氏訳(2002年、早川書房): 

参考: “The Rational Optimist; How Prosperity Evolves” 「繁栄」2010年 Matt Ridley氏著、大田直子氏、鍛原多恵子氏、柴田裕之氏共訳(2010年、早川書房)
参考: “Man the Hunted” 「ヒトは食べられて進化した」2005年 Donna Hart氏、Robert W. Sussman氏共著、伊藤伸子氏訳(2007年、化学同人)
参考: “Children of Prometheus” 「プロメテウスの子供たち」1998年 Christopher Wills氏著、長野敬氏、森脇靖子氏共訳(2002年、青土社)
参考: “Catching Fire; How Cooking Made Us Human” 「火の賜物;ヒトは料理で進化した」2009年 Richard Wrangham氏著、依田卓巳氏訳(2010年、NTT出版)
参考: “Noah’s Flood” 「ノアの洪水」1998年 William B.F. Ryan氏, Walter C. Pitman氏共著、戸田 裕之氏訳(2003年、集英社)
参考: 「気候文明史」2010年 田家 康氏著(日本経済新聞出版社)


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コメント

Re: No title

Tommy25さま、いつも訪問、コメントありがとうございます。数日留守にしお返事が遅くなりすみません。おっしゃる通り、「これが正解!」はないでしょうから、知恵を出し合って“歩きながら考える“しかないかも知れませんね。そもそも”進化“も(そして多分”文明“も)在り合せでその場を繕いながら新しい環境に何とか追いついてきた結果だそうですから。

> こんにちは、
> ヒトはtop predator。衝撃的だけれどよくよく考えたらなるほどという言葉でした。
>
> 私もLevalloisbeeさんと同じで、進歩を遂げてきたヒトは石器時代のように原始的な時代には戻れないと思います。
> それよりもこれまで培ってきたヒトの知恵でなんとか科学を駆使して無駄のないエコロジーな都市や文明を作れたらいいのではと思うのですが・・・
> 私はそちらのほうの知識がないので、そうなればいいなと祈るばかりです。

No title

こんにちは、
ヒトはtop predator。衝撃的だけれどよくよく考えたらなるほどという言葉でした。

私もLevalloisbeeさんと同じで、進歩を遂げてきたヒトは石器時代のように原始的な時代には戻れないと思います。
それよりもこれまで培ってきたヒトの知恵でなんとか科学を駆使して無駄のないエコロジーな都市や文明を作れたらいいのではと思うのですが・・・
私はそちらのほうの知識がないので、そうなればいいなと祈るばかりです。
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