空(そら)物語と飛ぶことの実感+Spit出演

空(そら)物語と飛ぶことの実感+Spit出演
Spit出演!

ボランティアが飛行準備するSpitMk9複座トレーナーREVdownsize
(ボランティアが飛行準備するSpitfire MkIXc複座トレーナー、ダブルのキャノピーがすてき!)
今回はヒコーキ、それもちょっとマニアックな記事なので英国ケンブリッジ郊外Duxford飛行場で催された大好きなスピット(SpitことSupermarine Spitfire)の「お誕生日会」に“参列”(高いチケットをフンパツして)したときのフォトで綴ります。Spitfire生誕70周年のお話はそのうち改めて記事に書きますね。





地上とは違う感覚
雨上がりSpit一族のラインアップdownsize
(雨上がりのDuxford飛行場にSpitfire”一族”がラインアップ、二度と見れない光景かも?)
フライトもダイビングも、やってみて初めて実感するある種の“感覚”があるような気がします。もう相当前の話、単なる体験操縦、それもたった2回ですが、ハワイの空を飛びました、自分で軽飛行機の操縦舵を握って。


空気の“硬さ”を感じる
デモ飛行前にSpitfire5bを点検するパイロットと整備員は当時のコスプレですdownsize
(デモ飛行前にSpitfire MkVbを点検するパイロットと整備員は当時のコスプレです)
飛んでみてびっくりしたのは“空気は硬い”と言う感触です。よく晴れ、雲量も少なく、雲底も高いのに大気には目に見えない流れや粗密があるようで、まるでスキーでコブ斜面を滑るときのように、操縦舵を持つ手に空気の塊りがガンガン来るのです。


子供の頃から“ヒコーキ大好き!”
機体の様子を整備員から真剣に聞くSpitfire5bのパイロットREVdownsize
(機体の様子を整備員から真剣に聞くSpitfire MkVbのパイロット)
備し尖がった垂直尾翼がアクセント) (なおMkとはMark、型式です)
子供の頃から“ヒコーキ大好き!”だったのですが、それでもこのフライト経験で飛行機や飛行に対するモノの見方が変わった気がします。


「ヒコーキ大好き人間」が大好き!
デモ飛行を終え芝生の滑走路をタキシングするSpitfire5bREVdownsize
(デモ飛行を終え芝生の滑走路をタキシングするSpitfire MkVb、手前はささやかなVIP席)
大好きな宮崎駿監督は「ヒコーキ大好き人間」のお一人と推察しますが、「紅の豚」や「天空の城ラピュタ」などの飛行シーンでは観ている者にも、一緒に空を飛んでいる、と言うより「風に乗って空気を切ってゆく感触」が感じられてやっぱり流石!


パイロットの本がくれる“うれしい錯覚“
装備点検するSpitfireパイロット当時のクスチュームですdownsize
(お互いに備点検するSpitfireパイロット、当時のコスチュームです)
そんな訳で、パイロットが体験を書いた本を読むと自分も同じ操縦を体感しているような“うれしい追体験の錯覚“を感じられるようになりました。


空の叙事詩”Le Grand Cirque“
雲間の光に淡いシルエットを描くSpitfire16パッカードマーリンとバブルキャノピーが特徴downsize
(雲間の光に淡いシルエットを描くSpitfire MkXVI、パッカード製Merlinエンジンとバブルキャノピーを装備)
パイロットと言うよりもう一流の文筆家ですよね、ピエール・クロステルマン氏(Pierre Closterman)は。原題”Le Grand Cirque”(大サーカス)(1951年著)は自叙伝でありノンフィクションなのですが、空飛ぶ若者たちの喜びと悲しみが綾なし縫い込まれた叙事詩です。(矢嶋由哉氏訳の朝日ソノラマシリーズの邦題「撃墜王」でした、原題の方が好きです)


雲間を跳ぶイルカSpit
デザートスキーム(砂漠塗装)のSpitfireMk5Ctrop(熱帯型)REVdownsize
(デザートスキーム(砂漠塗装)のSpitfire MkVc trop(熱帯型))
愛機SpitやTempestを駆って空を行く描写の艶めかしい感触は演劇のライブのようでもあります。
雨上がり、雲間から射す陽光の束は空を海の中の風景に変え、低空を行くSpitの影はイルカのように丘や畑を飛び跳ねる。


夜汽車のようなアンソン連絡機
静かに駐機するSpit9c雲間に射す陽が美しいdownsize
(静かに駐機するSpitfire MkIXc複座トレーナー、雲間に射す陽が美しい)
ウイングマークを取ったばかりの新米たちを乗せ任地の基地まで運ぶ夜汽車のようなオンボロAnson機、「終点です」と告げるくたびれたパイロット。言い知れぬ不安が若者たちを無口にし、陽落ちの早い冬の曇天が重く包みこむ。


鉛色の海が突然沸騰する
Spit14とドラゴンラピードがすれ違いREVdownsize
(Griffon エンジンのSpitfire MkXIVeとドラゴンラピード(DH.89 Dragon Rapide)がすれ違い)
空と海の境も定かではないモノトーンの北海の濃霧を切り裂いて波を叩きそうな高度わずか数フィートを猛烈なスピードでタイフーン機(Typhoon)の編隊が行く。後続するクロステルマンのSpitから翼端灯がかすかに見える。


無声の影絵のような叙事詩
滑走路で給油してもらうハリケーン2BREVdownsize
(滑走路で給油してもらうハリケーン(Hawker Hurricane)MkIIB)
突然、鉛色の海が沸騰し、霧の向こうで船のマストが積みあげたカードのように崩れる。
これはタイフーン機の艦船攻撃を護衛したときのエピソードですが、戦いの叙事詩を無声の影絵で観ているような無常観が漂います。


”Le Grand Cirque”(大サーカス)の題の意味とは?
シーファイア(Seafire)17の尾翼の乗って手を振る整備員たちREVdownsize
(Griffonエンジン装備の艦載型シーファイア(Seafire)17の尾翼の乗って手を振る整備員たち)
最後のページで”Le Grand Cirque”(大サーカス)の題の意味が明かされます。少し抜粋、( )内は私の解釈。

「『大サーカス』(欧州の空の戦い)は終わった。・・・出演した役者たち(パイロットたち)もさほど悪くはなかったが、ライオンが調教師を餌にしてしまった(みんな空に散ってしまった)。・・・このことは、一日か二日くらいはご家庭の中(世論やマスコミ)で話題になるかも知れない。・・・当分の間、村の広場には、テントの杭を打ち込んだあとや、おが屑で描かれた輪などは残っているかも知れないが、それとても、雨と時間がすぐに消し去ってしまうだろう。『大サーカス』で生き残ったものたちには、幸いにも、そのことがわからなかった。・・・それは僕たち生き残ったものがかち得た唯一の報償であるのかも知れない」
・・そして最後に、同じ空を飛んだ文学者サン・テグジュペリ(Saint-Exupéry)の言葉を引用し本は終わります。

最後の“騎士道“
多くの仲間を空で失いながらも、クロステルマンは「騎士道」を信じ、同じ空を飛ぶ者として戦った相手にもレスペクトを示したため、戦後は“親ナチ”と非難され不遇の後半生を送りました。

いつか父に会う日のために・・・
事実はまったく逆で、親ナチ政権に拘束された父を想い、いつかその父に手渡す日のために、と綴った日記を操縦席に隠して飛び続けたクロステルマンは亡命自由フランス軍トップエースの一人です。この日記から”Le Grand Cirque”が生まれたのだそうです。

次回にまた私の好きな別のパイロットのお話を・・・

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コメント

Re: No title

エヌエフさま、いつも訪問、コメントありがとうございます。少しづつ自分の手で仕上げるプラモも楽しいですが、整列した1/1のSpitたちの中を“閲兵”して歩くのは最高でした。もう廃刊かも知れませんが、”Le Grand Cirque”を見かけたらぜひ手に取ってみてください。サン・テグジュペリの本もほとんど読みました。地中海で行方不明になる最後の乗機F5のプラモはいつか作りたいと思っています。生まれ故郷リヨンに行きながら銅像に会えなかったのは心残りですが。「星の王子」とテグジュペリについてもいつか書いてみたいと思います。

> すばらしいですね。まさに垂涎モノ。
> 英機スピットファイアはカッコイイんだけどニクかった。
> 米のグラマンは単にニクいけど、それに比べるとあまりにも美しいそのスタイルに嫉妬心すら持ったものです^^
> ほとんど模型でしか知らない美しい(?)迷彩塗装もイイですね。
> ”Le Grand Cirque”も初めて知りました。感動
> またいつか“星の王子様”のエピソードなどもお願いしますね。

Re: No title

HADAKINさま、いつも訪問、そしてコメントありがとうございます。「この時間と引き換えなら・・」と分っていただけてとてもうれしいです。ずらりと並んだ1/1のSpit実機の迫力、陽の光で刻々変わる迷彩の色、音と風に匂いまで感じるデモフライトは格別でした、確かに旅費宿泊費より高いチケットでしたが。時期は少し前2006年9月、Spitの初飛行が1936年なのでこのとき“70歳”のお誕生日だったのです。調子に乗って続編記事も考えていますので、そのうち・・・。

> 何ですかこの夢のような空間は!
> どれもこれもカッコいい!
> いつ頃あったんでしょう?
> チケット代も旅費もかかったでしょうが
> この時間と引き換えならお安いですよね
> う・ら・や・ま・し・い !!

No title

すばらしいですね。まさに垂涎モノ。
英機スピットファイアはカッコイイんだけどニクかった。
米のグラマンは単にニクいけど、それに比べるとあまりにも美しいそのスタイルに嫉妬心すら持ったものです^^
ほとんど模型でしか知らない美しい(?)迷彩塗装もイイですね。
”Le Grand Cirque”も初めて知りました。感動
またいつか“星の王子様”のエピソードなどもお願いしますね。

No title

何ですかこの夢のような空間は!
どれもこれもカッコいい!
いつ頃あったんでしょう?
チケット代も旅費もかかったでしょうが
この時間と引き換えならお安いですよね
う・ら・や・ま・し・い !!
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