空飛ぶ船サンダーランド飛行艇の洞内巡り

空飛ぶ船サンダーランド飛行艇の洞内巡り
飛行艇は花形豪華エアライナーでした

真っ白な空飛ぶ船downsize
(真っ白な“空飛ぶ船”サンダーランド飛行艇を見上げる)




ジャンボのバーラウンジ、最近就航したエアバスA-380のホテルのような2階建てキャビンなど現在のエアライナーは大きくて広くて豪華です。では戦前は?その頃の花形豪華エアラーナーは「飛行艇」でした。

“花形”のはずが“島巡り”になったサンダーランド
等身大のフィギュアが演技downsize
(博物館の展示室で等身大のフィギュアが演技してます)
今回は戦争で“花形”になりそびれ、戦後に島巡りのエアライナーで余生を送ったショート・ブラザーズ (Short Brothers)社製Short S25 サンダーランド(Sunderland)飛行艇。S25は花形エアライナーを狙った“兄”S23を軍用にした双子の“弟”で、この“双子”をめぐるお話です。


レトロで楽しい水上機・飛行艇コーナー
係留中の光景を演出してますREVdownsize
(係留中の光景を演出してます)
RAF Museum(英国空軍博物館、London)の展示にはいろいろ楽しい仕掛けもあってこのサンダーラド飛行艇の洞内(胴体の中)巡りも毎回私の楽しみの1つです。博物館の一番奥が水上機、飛行艇の展示コーナー、その中にひときわ大きな真っ白の優雅な飛行艇があります。サンダーランドは飛行艇です、だから大きく洞内巡りがある。飛行艇はレトロでなんだかホンワリしたイメージです。


“パイロット”じゃなく“スキッパー”が操縦します
丸い船窓と軍用なので粗末なイスdownsize
(丸い“船窓”と軍用なので粗末なイス、長時間洋上飛行はキツイな)
飛行艇は、宮崎アニメ(大好き!)の「紅の豚」とか、「天空の城ラピュタ」、ように空飛ぶ船、つまりはクリッパー(植民地闘争時代の高速帆船)。だから操縦する人もパイロットじゃなくて、ヨットレースのように”スキッパー”って言います。


飛行艇サンダーランドの洞内巡り
天井部屋みたいな2階の操縦室REVdownsize
(天井部屋みたいな2階前方が操縦室)
階段を登ると艇内に入る昇降口があり、洞内巡りのように内部が見学できます。
昔の飛行機は概して小さく、たっぷりの燃料とたくさんの乗員を載せて海の上を長時間飛ぶのは大きな飛行艇の仕事でした。


トイレ、キッチン付きの軍用機
連絡係かな通路を歩くフィギュアdownsize
(連絡係かな?通路を歩くフィギュア)
10数時間も洋上飛行するので機内にはトイレやキッチンまであり、“スキッパー“(パイロット)は二人いて交代制です。2階建てのキャビンには船窓のような丸窓。でも軍用機だからイスはとても粗末、これで長時間はキツイな。

割と清潔そうなトイレですdownsize
(割と清潔そうなトイレです、ハレーションで見づらくてすみません)

等身大のフィギャーが整備しています
翼の上の「作業台でエンジン整備REVdownsize
(翼の上の「作業台」でエンジン整備中のフィギュア)
外に出てコーナーを見渡せる2階に上がると、当時の飛行艇の係留やエンジン整備のようすが再現されています。Coastal Command(沿岸航空隊)の制服に身を包んだ良くできたフィギャーが”演技”しています。フィギャーはもちろん等身大。


もやい綱で岸に係留します、やっぱり“船”だ
もやい綱を引っ掛けて・・ downsize
(もやい綱を引っ掛けて・・・と)
かぎ棒でもやい綱を手繰り寄せる乗員がいます。主翼前縁はパカっと開けると作業台になっていてそこに立ってエンジン整備をする乗員もいます。長時間の洋上飛行を終えてやっと港で舫うサンダーランドの光景が浮かんできて楽しい。
飛行艇は“船”でもあります。だから水上で駐機するときはもやい綱で係留します。機首がスライドして乗務員が乗り出しもやい綱をかぎ棒でひっかけ船のように岸につなぎます。錨までついています。


“空賊が乗ってそうな“空飛ぶ船”
縦に平べったいマンボウみたいな姿downsize
(縦に平べったいマンボウみたいな姿)
スマートで俊敏な軍用機が多い中で、サンダーランドは13人も乗る“空飛ぶ船”。宮崎駿監督の「紅の豚」に登場する“空賊”が乗るオンボロ飛行艇や、「天空の城ラピュタ」の“空中戦艦”みたいなレトロでちょっとアナクロな雰囲気があり、なんとなく憎めない外観。塗装も背中や翼の上以外は横も下も真っ白に塗られていて“海鳥”みたいなコスチュームでした。


戦雲が新型飛行艇の行く末を変えた
爆雷を機外にくり出すレール間に合うのdownsize
(爆雷を機外にくり出すレール・・・そんなに悠長で間に合うの?)
S25 サンダーランドはそもそも大西洋航路の豪華飛行艇としてショート社が設計したS23 C-Class飛行艇を軍用に転用し大戦時のRAFの主要飛行艇となったものです。


“空飛ぶ船”、南の島巡りの静かな余生
翼に付いてる補助フロートにも係留フックがあるdownsize
(翼に付いてる補助フロートにも係留フックがある)
戦後は民間型(サンドリンガム(Sandringham))となり、長らく“空飛ぶ船”の利を活かして滑走路のない小さな島々を結ぶ島巡りの航路に就航していました。こちらの姿の方がサンダーランドには似合うな。


長生きサンダーランド
キャビンは2階建ですdownsize
(キャビンは2階建です)
銀色のサンダーランド試作機は大戦前の1937年に初飛行、1938年からRAF(英国空軍)Coastal Command(沿岸航空隊)に就役し1959年に退役しました。
これだけでも当時の飛行機としては長命なのですが、サンダーランドの“人生”は戦後のエアライナーとしての方が長いのです。
英国BOAC(今のBA)はじめ、オーストラリア、ニュージーランドのカンタス航空(QANTAS)、アンセット航空 (Ansett)。最後はフロリダで1974年までお勤め。その他、フランス、アルゼンチン、ノルウェー、ポルトガル、ウルグァイでも運航していました。


海面という“無限の長さの滑走路”
もやい綱を手繰る後ろ姿downsize
(もやい綱を手繰る後ろ姿)
戦前の花形航路、大西洋航路などにはボーイング・クリッパー(BOEING 314 CLIPPER)などの巨人飛行艇が就航していました。当時旅客機はまだまだ小さかったからです。
“無限の長さの滑走路”である海を使って離着水する飛行艇は巨人機に出来ます。
広いキャビンはホテルのように豪華、たくさんの燃料と多くの乗員による長距離航路が唯一可能な花形エアライナーだったのです。


「空飛ぶヤマアラシ」と誇大宣伝されて
尾部銃座あちこちに係留のためのフックがあるREVdownsize
(尾部銃座の周りにも係留のためのフックがある)
開発当初は平和な時代、だから本来は双子のS23 Empire Class(C Class)(エンパイア)が”大西洋航路の花形飛行艇”・・・のはずだったんだけど・・・、なんでか、U-ボートキラーの英雄になってしまった“弟”S25サンダーランド、あろうことか軍に「空飛ぶヤマアラシ(Flying Porcupine)」と誇大宣伝までされて(本当は戦闘機なんかにはとっても弱い、だって元がエアライナーだもの)。サンダーランドの寸法、長さ26m、幅35m、高さ10mは1930年代当時としては巨人機でした。

Sunderland三面図REVdownsize
(サンダーランド三面図: 昭和36年の航空情報臨時増刊号に載った橋本喜久男氏のイラストです)

薄幸な双子エンパイア
Osprey Sunderland downsize
(Osprey社のSunderlandの本)
同時開発の双子S23 エンパイア飛行艇は英国BOACの花形航路に就いたのも束の間、間もなく戦争になり軍に徴用され薄幸な運命でした。


見学先: RAF Museum London (英国空軍博物館) (Grahame Park Way, London NW9 5LL UK) (最寄駅: 地下鉄Nothern Line Corindale駅)
http://www.rafmuseum.org.uk/london/
出典: Osprey Combat Aircraft-19 “Sunderland Squadrons of World War 2” 2000年、Jon Lake氏著 (Osprey Publishing)


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コメント

Re: No title

しげちゃん様、いつも訪問、そしてコメント感謝です。しげちゃんさんのような鑑賞眼はないのですが、ヒコーキが「出演」なら何でも好きです。宮崎作品ではやはり「紅の豚」が大好きです、パイロット目線のショットとか。これを励みにまた書きます。

> Levalloisbeeさん
> コメントありがとうございます。
>
> いつもパリの素敵なお話をありがとうございます。
> パリはまだ行ったことがないのですが、このブログで堪能させて頂いております。
>
> 今回は私の大好きな宮崎アニメに登場する飛行機と関連付けてのお話、
> 大変興味深く読めました。ありがとうございます。

No title

Levalloisbeeさん
コメントありがとうございます。

いつもパリの素敵なお話をありがとうございます。
パリはまだ行ったことがないのですが、このブログで堪能させて頂いております。

今回は私の大好きな宮崎アニメに登場する飛行機と関連付けてのお話、
大変興味深く読めました。ありがとうございます。

Re: ボクの飼い主も

Coronaさま、ご訪問、コメント感謝です。Coronaさまのキュートな姿いつも楽しみです。US-2は飛行艇の最高峰二式大艇を生んだ旧川西-現新明和の製品、そりゃもうカッコいい。でも出来の悪いS-25サンダーランドも結構好きです。

> こういうの大好きみたいです~~
>
> 新明和 US-2のビデオ見てましたよ~^^

ボクの飼い主も

こういうの大好きみたいです~~

新明和 US-2のビデオ見てましたよ~^^
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