仲間の顔を見分けるアシナガバチ一億年進化の知恵

仲間の顔を見分けるアシナガバチ
SE5が離陸REVdownsize
(パリ郊外Ferte-Alais の“草っぱらエアショー”、陽射しを浴びてSE5機離陸)
サイエンスの小ネタ
今回の話題は派閥争いの集団内で仲間を見分けるアシナガバチ、なんだか「島耕作」や「大奥」にも似たり、そのままTVドラマになりそうな?世界です。下手な自作イラストではもたないので、「飛ぶ者つながり」でまだご紹介していないパリ郊外Ferte-Alais エアショーの写真を添えます。
以前のFerte-Alais エアショーの記事はここをクリック↓
パリ郊外草っぱらのエアショーはの~んびりFerete Alaisエアショーその1
金色の蛾が作るトモダチの輪:Ferete Alaisエアショーその2




アシナガバチ、ご存知ですよね、英語ではpaper wasp、パルプで巣をつくるからです。カリバチ(狩蜂)の中でもスタイル抜群のアシナガバチ(Polistinae)はより進化した種での1つ、“真社会性昆虫”です。

顔写真を見て「あ、お姉さんだ! 」
仲間の顔写真が分るハチさんREV
そのアシナガバチ(の1種)は血縁の仲間を「顔」で見分けるのだそうです。体の他の部分や匂いなどでは判断できないよう、ハチの顔の写真をいくつか並べ、同じ女王の血縁一族(姉妹)の写真を選ばせると、複数女王の種はちゃんと見分けたそうです。複数のボスが支配する社会における知恵、一億年を生き抜いたアシナガバチのしたたかさでしょうか。出典②③

ハナバチとカリバチ(花蜂と狩蜂)
顔を見分けるアシナガバチ
蜂は、ミツバチのような蜜や花粉を集める草食系のハナバチ(花蜂bee)、と今回の話題の他の昆虫を狩る肉食系のアシナガバチ、スズメバチなどのカリバチ(狩蜂wasp)に大きく分けられます。出典①

ハチから羽を取ったらアリになる
複葉機と自転車がなんだか合う光景downsize
(タイガーモス複葉機と自転車、なんだか妙に似合う光景です)
ハチの仲間は、また、針を持つ有剣類と持たないものにも分けられます。そしてハチの仲間(ハチ目)にはアリもいます。アリは羽のないハチ、「ハチから羽を取ったらアリになる」。出典①


カリバチ、「モデル体型」のヒミツ
むき出し空冷エンジンと踏ん張った固定脚がマッチョdownsize
(むき出し空冷エンジンと踏ん張った固定脚がとってもマッチョ!)
アシナガバチやその名もハラボソバチなどカリバチたちが腰の極端に細い”モデル体型”なのは、お腹を折り曲げて餌や敵にお尻にある毒針を刺すためです。出典①


産みっぱなしの草食系から子育ての肉食系へ
カリバチの進化
菜の花の葉に卵を産むモンシロチョウのように普通虫は産みっぱなしですが、ハチやアリは巣作りをして育児をします。その中の進化が進んだものは
(1)共同で子育て
(2)二世代(母娘など)の集団(コロニー)
(3)階級制(カースト)と分業(繁殖、食糧調達、防衛など)
の3つの条件を満たす「真社会性昆虫」です。出典①


やがて「真社会性」に
レトロなバイクも演出REVdownsize
(レトロなバイクも古典機に合わせたエアショーの演出です)
カリバチの祖先は草食→やがて「肉の味」を覚え→餌の巣を利用する知恵がつき→自分で巣を作り→せっせと餌を運んで子育て(随時給餌)→そして「真社会性昆虫」としてコロニーを作るアシナガバチやスズメバチになったらしいのです。出典①


娘蜂、3つの進路: ベンチャー創業、会社乗っ取り、宮仕え
みんなで押すと楽しいREVdownsize
(みんなで押して移動させます、楽しそう)
アシナガバチ亜科の娘蜂は羽化してしばらくは母の巣で下働き(サラリーマン)、やがて3つの進路に分かれます。出典①
(1)独立して巣をつくる(ベンチャー創業)
(2)クーデターを起こして巣を乗っ取る(会社乗っ取り、戦国時代みたい)
(3)女王にはならず巣に残り働く(サラリーマンを続ける)


創業時は共同経営、複数女王で
下まで潜って念入りに整備downsize
(SE5の下まで潜って念入りに整備するボランティア)
ベンチャー創業時は経営が大変なのと同じで、アシナガバチ(の一部の種)は巣を創設したばかりのときは敵、特にアリに襲われやすいので、しばしば「共同経営者」として複数の女王で巣を守るようです。出典①


アリから巣を守る「集団安保」
ご機嫌で帰還downsize
(ご機嫌で帰還のパイロット)
え、あの獰猛なスズメバチなどカリバチがアリに喰われる?意外・・・いえいえ、アリが狙うのは成虫が餌取りで留守の巣にいる無防備な幼虫と卵。だから共同して交代で守る「集団安保」が必要になる。出典①


アシナガバチの「仁義なき戦い」
一番好きかもしれないコルセアのコックピットdownsize
(一番好きかもしれないコックピット(操縦席)周り、F4U-7 Frenchコルセア)
しかし、所詮は呉越同舟、ライバル同士。やがて女王たちの間でも力の優劣ができて、優位雌が劣位雌を攻撃したり、威嚇したりします。そうすると劣位雌は産卵を「遠慮」するようです(優位雌が弱って乗っ取れるまで待つ)。出典①


一族は顔で見分ける
整備中のムスタング後ろ姿も美しいdownsize
(整備中のP51Dムスタング、やっぱり後ろ姿でも美しい)
そして同じ女王の血縁一族で”結束“し、そのために互いの顔を見分けられるようになったのではないかと推測されるそうです。この顔認識が遺伝子に組み込まれた能力なのか、学習なのか、まだ分らないそうです。出典②③


顔の見分けは社会生活に大事
のんびりとパラソル機を駐機場まで押してゆきますREVdownsize
(のんびりとパラソル機を駐機場まで押してゆきます)
ヒトにとって顔=表情の見分けは社会生活にとても大事。発達したヒトの脳には顔認識に特化した「顔細胞」があるそうですが、アシナガバチはあの小さな体で同じようなことができるなんてスゴイ、複数ボスのフクザツな社会に暮らすからでしょうか?出典②③


出典①: 「アシナガバチ一億年のドラマ-カリバチの社会はいかに進化したか」2001年山根爽一氏著(北海道大学図書刊行会)
出典②: 日経サイエンス2012年3月号p.29「顔を見分けるハチ」/原典: ”Wasps clock faces like humans” Alla Katsnelson氏2011年12月1日nature on line
出典③: natureダイジェスト2012年2月号p.5「顔を見分けるハチ」/原典: ”Wasps clock faces like humans” Alla Katsnelson氏2011年12月1日nature on line


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: 超苦手

ポンセさま、苦手なものを登場させてすみません。イラストならマイルドかな・・と思ったのですが。
フランス滞在前は業務出張の合い間をサボって飛行機の博物館に必ず足を運びました。パリ在住中はわざわざエアショーや博物館を見に行きました。マニアにとってはやっぱりホンモノが一番なのです!あとさきですが、いつも訪問ありがとうございます。

> ありの話のところで、鳥肌が立ちました。
> 昆虫は好きですが「蜂」も「あり」もやられると痛い目に遭うので、どうも苦手です。
>
> それにしても、この写真を撮りに出かけるほど、飛行機が好きってことですよね?
> (確認するまでもないのですが、、、)

超苦手

ありの話のところで、鳥肌が立ちました。
昆虫は好きですが「蜂」も「あり」もやられると痛い目に遭うので、どうも苦手です。

それにしても、この写真を撮りに出かけるほど、飛行機が好きってことですよね?
(確認するまでもないのですが、、、)

Re: No title

エヌエフさま、いつもご訪問、コメントありがとうございます。エヌエフさんも大戦機ファンなんですね。コルセアはスピットと並んで小学のときに“好き“になったヒコーキ、だから何十年を経てエアショーで本物を目にした(しかも飛んでる!)ときは感激しました。P51のマーク、そう言えばフェラーリですよね、パイロットの愛車だったのでしょうか?これを励みにヒコーキネタもときどき書きます。

> 蜂のお話… 名機ジービーレーサーを思い出したりしながら興味深く拝見させて頂きました^^
> 大戦機ファンの私としては、Kenjiさん同様コルセアの一枚は気になりますねぇ。
> それとP51Dの尾翼のマーキング、最近ではクルマのことばかりやっているので、フェラーリか?と思いました^^;

No title

蜂のお話… 名機ジービーレーサーを思い出したりしながら興味深く拝見させて頂きました^^
大戦機ファンの私としては、Kenjiさん同様コルセアの一枚は気になりますねぇ。
それとP51Dの尾翼のマーキング、最近ではクルマのことばかりやっているので、フェラーリか?と思いました^^;
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