足元の雑草のいじらしい創意工夫-心を優しくする三冊の本(3)

足元の雑草のいじらしい創意工夫-心を優しくする三冊の本(3)
空き地の春Porte de Champerret downszie
(空き地の春、パリ17区、ポルトシャンペレ(Porte de Champerret))




心を優しくする本、三冊目は稲垣栄洋氏著「身近な雑草の愉快な生き方」。嫌われ、刈り取られ、駆除されても人の生活に寄り添い、人知れず創意工夫をして必死に生きている「雑草」のいじらしさに心惹かれました。今回「雑草」が話題なので、フランス各地で出会った花たちの写真を添えています。春の匂いを感じてもらえたらうれしいです。

小さな花たちからの贈り物
ピンクと紫のチューリップPlanchette downsize
(ピンクと紫のチューリップ、パリ郊外ルヴァロワのプランシェット(Planchette)公園)
このシリーズは有名らしいのでご存じに方も多いのでは。実は著者名をまったく意識せず買ったのですが、既に同じ著者の本を二冊も読んでいることに気づきました。研究者でありながら軽妙洒脱ながら優しく味わいのある著者の文章に知らずの惹かれていたようです。出典①


そっと雑草の声を聞く
噴水Levallois Hotel de Ville 06 downsize
(陽射しに跳ねる噴水、ルヴァロワ(Levallois)市庁舎(Hotel de Ville))
著者は普段見過ごしている足元の雑草のいじらしい生き方を紹介しています。ネタバラシにならない程度に少しご紹介します。出典①⑤


雑草って何でしょう??
Defenceのチューリップdownsize
(デファンス(Defence)の職場近くの広場に咲くチューリップ)
さて、雑草ってなんでしょう?農作物や園芸種ではないのは野草(そもそも植物はみんな野草)、そのうち、人の生活圏(庭や道路や公園など)や人の活動(農業とか)に入り込んでいるのが雑草??


本当は競争に弱いんです
道端のポピーMorlaix downsize
(水路沿い道端のポピー、北ブルターニュのモルレー(Morlaix)にて)
先に紹介した都会の鳥もそうですが、頼んでもいないのに人のそばに棲む彼らは厚かましく、たくましいと思いきや、意外にも植物同士の競争には弱いそうです。出典①②


人に寄り添うことで生きる道を得た小さな草花たち
赤いチューリップPlanchette REVdownsize
(赤いチューリップ、プランシェット(Planchette)公園)
そこで他の植物が嫌う人の生活近くの厳しい環境に出るのですが、「雑草」として嫌われ、駆除されます。それでも雑草たちはそれぞれの創意工夫で生きているいじらしい植物らしいのです。人の生活に寄り添いそれを自らのニッチ(Niche)としているのです。出典①②


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季節の香りと彩りをそっと運んでくれる雑草たち
初春のヒアシンスPlanchette downsize
(初春のヒアシンスと水仙、プランシェット(Planchette)公園)
木枯らしの中、花たちは人知れずもう春の準備を始めています。ツユクサは青、スミレの紫色、タンポポは黄色、ヒルガオの淡いピンクと、それぞれ美しくかわいい花を咲かせて都会に折々の季節の彩りを与えてくれます。出典①②⑦


雑草は遊び仲間でした
花の広場Dijon downsize
(雨に煙る花の広場、ブルゴーニュのディジョン(Dijon)にて)
子供の頃、雑草はもっと身近にあった気がします、道端や空き地など。ススキ、ぺんぺん草、エノコログサ(犬のしっぽみたいな草)などでよく遊びました。でも足元をよく見るとまた彼らに出会えます。出典⑦


そんなに邪見にしないで・・
銅像と桜草Dijon REVdownsize
(銅像を彩る桜草、ディジョン(Dijon)にて)
今、都会の雑草の棲む環境はアスファルトで覆われ土の乏しい場所で水や栄養も乏しく、道路の雑草は人や車に容赦なく踏みつけられ、畑や庭の雑草は作物や園芸種に害する邪魔者、厄介者として突然刈り取られます。出典①


逆境を生き抜く雑草の創意工夫
満開の八重桜Defence downsize
(満開の八重桜、デファンス(Defence)にて)
でもそんな逆境を味方につけて雑草は生えています。林野で繁茂できる優位な競争相手はそんな逆境に来ないからです。雑草はこのような逆境で生き抜くための“創意工夫”として多様な適応を遂げているそうです。ちょっと目を足元に落とせば身近に素晴らしい「生物多様性」が見つかります。出典①③


芝生の都合に合わせてます
水仙Dijon downsize
(水仙、ディジョン(Dijon)にて)
ゴルフ場ではフェアウェイ、ラフ、グリーンと芝の長さが違います。スズメノカタビラはそれぞれの場所の芝生の高さに合わせ同じ高さに穂をつけ、刈り取られるのを避けるそうです。出典①


甘いお菓子でアリをあやつる可憐なスミレ
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(桜草の花壇、ディジョン(Dijon)にて)
見た目は可憐なスミレですが、街中のいたるところで咲くそうです。種子をアリの好物の甘いゼリー(エライオソーム)で包むとアリは巣に持ち帰って食べ、食べられない種を「ゴミ」として巣の外に出します。仕掛けはこれだけ。アリが巣をつくる場所とは都会では貴重な土、水、栄養がある場所。だからスミレの種は確実に芽吹きます。出典①


ほんとうは環境保護に貢献してるのに・・・
紅白の桜草Dijon downsize
(紅白の桜草、ディジョン(Dijon)にて)
水草のアオイの類は水面を覆いつくし、取水口を塞いだり、と駆除が厄介な雑草(1億円かかるから「百万ドルの雑草」)ですが、実は(海にアサリと同じく)人が汚した水を浄化しているのだそうです。出典①


万葉びとの愛でた花はたくましい
3冊の本downsize
(心を優しくする三冊の本)
カオ、つまり容(美しいこと)、の名を持つ花は4つあります、アサガオ、ヒルガオ、ユウガオ、ヨルガオと。ヒルガオ以外は園芸種でヒトにかわいがられますが、ヒルガオだけは今では「雑草」、万葉集のときにはおおいに詠まれたのに。でも刈っても、切っても、その切はしから新しいヒルガオが芽生えるそうで、万葉歌人の愛でた花はさすがたくましい。出典①⑦
しかし、雑草にも今や「絶滅危惧種」があるそうで、ときにはちょっと迷惑だけど、人の生活に寄り添っていじらしく生きる雑草という友人を失いたくないですね。


今回の話題の出典とこれまで読んで印象に残った草花の本です。
出典①: 「身近な雑草の愉快な生き方」2003年、稲垣栄洋氏著(筑摩書房)
出典②: 「身近な雑草のふしぎ」2009年、森昭彦氏著(ソフトバンククリエイティブ㈱)
出典③: 「植物の生存戦略/『じっとしているという知恵』に学ぶ」2007年、「植物の軸と情報」特定領域研究班編(朝日新聞社)
出典④: 「植物のたどってきた道」1998年、西田治文氏著(日本放送出版協会)
出典⑤: 「蝶々はなぜ菜の葉にとまるのか」2006年、稲垣栄洋氏著(草思社)
出典⑥: 「植物と行事」1993年、湯浅浩史氏著(朝日新聞社)
出典⑦: 「花の日本語」2007年、山下景子氏著(幻冬舎)


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コメント

Re: なまものやさん(生物屋)

ポンセ様、お返事おそくなりました。コメントそしていつも訪問ありがとうございます。「なまものや」と呼んで頂き、光栄です。花、特に街中の花は好きです。パリは日常どこにでも花がありますが、育った大阪(当時の)は緑のない街だったので花にひかれるのかも知れません。

> お花の写真も撮るのですね!!空や海ばかりかと思っていました。寒い冬にこんなカラフルな花を見ると、元気がでます。ありがとう!!組み合わせで、こんなに素敵な庭が作れるのかも?って、やる気がでてきました。
>
> 「雑草」の言葉を見て、この綺麗な花の写真なのに、、、、って。
> おもわず「おい!おい!」って、つっこみを入れてしまいましたよ。
>
> 文章がなまものやさんらしくて、興味深かったです。またお邪魔しますね。

なまものやさん(生物屋)

お花の写真も撮るのですね!!空や海ばかりかと思っていました。寒い冬にこんなカラフルな花を見ると、元気がでます。ありがとう!!組み合わせで、こんなに素敵な庭が作れるのかも?って、やる気がでてきました。

「雑草」の言葉を見て、この綺麗な花の写真なのに、、、、って。
おもわず「おい!おい!」って、つっこみを入れてしまいましたよ。

文章がなまものやさんらしくて、興味深かったです。またお邪魔しますね。

Re: No title

エヌエフ様、コメントそしていつも訪問ありがとうございます。花は大好きです。育てる技術も撮る技術もないのですが、街を撮っていると必ず何枚か花を撮ってしまいます。タンポポなど雑草も好きなのでこんな話題になりました。

> 色々な花の写真の数々… ステキですねぇ。
> 私もブログ始めた当初、花の写真載せたくて仕方なかったのですが、いかんせん写真のセンスがない^^;
> これからもこうした癒しの記事お願いしますね~♪

No title

色々な花の写真の数々… ステキですねぇ。
私もブログ始めた当初、花の写真載せたくて仕方なかったのですが、いかんせん写真のセンスがない^^;
これからもこうした癒しの記事お願いしますね~♪
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