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大型魚の乱獲でエサの小魚が捕食者を圧倒する政権交代+フランスの漁港

大型魚の乱獲でエサの小魚が捕食者を圧倒する政権交代
+フランスの漁港

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バルト海の捕食者から被食者への政権交代
(バルト海の捕食者から被食者への政権交代)
3本の棘を持つイトヨ
イトヨ(three-spine stickleback)は、トゲウオ科のサカナで体調10㎝ほど、背中の3本の長い棘が特徴で、腹側にも棘を持ち、トゲウオ科の特徴として鱗板という装甲も持っています。これらは喰われないための防御です。イトヨはパイク(pike、汽水域の※1)やパーチ(perch※2)など大型魚のエサになる弱っちいサカナですが、甲殻類などを食べる捕食者でもあります。
イトヨの過去記事はこれです↓
無鉄砲と臆病者のチームで生き抜くイトヨ+パリ郊外モレ・シュル・ロワン




かわいい漁船多いコンカルノー漁港downsize
(かわいい漁船が多いコンカルノー漁港;フランス南ブルターニュ)
の~んびりしたフランスの漁港
おサカナ繋がりでフランスの港、漁港風景のフォトを添えます(使い回しですが)。
フランスの漁港と港の過去記事です↓
冬のコートダジュール、ヴィルフランシュシュルメールの朝
漁船も干上がる干満差、北ブルターニュの小さな港ロスコフ
春に向かってそして南ブルターニュの漁港コンカルノー
海賊砦サンマロ、パイレーツ・オブ・ブルターニュの”兵どもが夢の跡”
南ブルターニュのその名も「美しき島」ベルイル:フランス街歩き番外編
得も言われぬ狐の嫁入り;オンフルール再訪その1
かくれんぼの路地と隠れ家ホテル;オンフルール再訪≪後編≫


朝の船出の準備をする漁船ヴィルフランシュシュルメールdownsize
(朝の船出の準備をする漁船;南仏ヴィルフランシュシュルメール)
捕食圧のもとで暮らすイトヨ
でも通常は優勢なパイクやパーチの捕食圧でイトヨは数が抑えられています。(※1:淡水魚ですが、一部は汽水に棲みます。※2:ヨーロピアンパーチ(Perca fluviatilis)のことだと思います)

港に続く深い入り江に寄り添うような街並みベルイルdownsize
(港に続く深い入り江に寄り添うような街並み;南ブルターニュのベルイル島)
被食者と捕食者パイク、パーチの立場が逆転?
バルト海沿岸で40年間のうちにエサ(被食者)のイトヨと捕食者のパイク、パーチの関係が逆転し、イトヨが優勢(数が増えた)になっていました。

バルト海沿岸1200kmを40年間調べた
出典著者のJohan S. Eklöf氏らは、1979年から2017年まで40年間のバルト海西岸1200km()に亘る486の浅い湾で沿岸の生態系の変化を調べました。

浅海のバルト海
バルト海は平均水深55mと浅く、スウェーデン、フィンランド、ロシア、バルト3国、ポーランド、ドイツ、デンマークに囲まれた内海で西岸はほとんどがスウェーデン沿岸です。

かわいい漁船が係留されている入り江オンフルールdownsize
(かわいい漁船が係留されている入り江;北フランスのオンフルール港)
イトヨの「捕食圧」?イトヨはエサじゃなかったの?
捕食者である大型魚パイク、パーチは漁獲対象なのでバルト海沿岸ではこの40年間で乱獲で数が減り、加えてイトヨの「捕食圧」で、すっかり数を減らしたようです。

夏に「食べる/食べられる」の立場が逆転する
春はパイク、パーチの成魚がイトヨを食べますが、夏にパイクやパーチの幼魚が生まれると逆にイトヨに食べられてしまします。このためバランスの取れたフィードバックループになって両者の数を安定に保っています。2014年、バルト海の32か所の湾で調べたところイトヨによる幼魚の捕食によるこのフィードバックが確認されました。

干満差の激しいRoscoff漁港REVdownsize
(干満差の激しい、北ブルターニュのロスコフ漁港)
乱獲が引き金か?
ところが、漁獲で(アシカやウなどによる捕食もありますが)パイク、パーチが減るとイトヨによる幼魚が捕食されることとも相まってイトヨが逆転して優勢になったようです。

荒波の諸島地域から始まったイトヨの優勢
バルト海の波が荒い諸島地域から始まり、このイトヨ優勢の傾向は年を追うほど、また沿岸に近いほど顕著になり、1990年代を境に、今では勢力図が完全に逆転してしまっています。やっぱり人間の影響ですね。

沖から岸辺へとイトヨは勢力を広げる
もともと沖合ではイトヨが、沿岸では捕食者のパイク、パーチが優勢(数が多い)だったのですが、その境界線が年々岸辺へと迫り、イトヨ勢力圏は拡大していったようです。海の富栄養化や温暖化も後押ししたようです。

出航するヨットと巡視艇ベルイルdownsize
(出航するヨットと巡視艇;ベルイル島)
イトヨ優勢の正のフィードバックのアクセルは他にも
・・・あると出典著者Eklöf氏らは危惧しています。漁獲に加え、アザラシやウによる大型魚の捕食、温暖化などもイトヨ優勢を後押しし、甲殻類も減って海藻が繁茂し、海の生態系は、例えば、富栄養化などに対して脆弱になると考えられるそうです。

「進撃のイトヨ」はなぜ気づかれなかったのか?
出典著者Eklöf氏らは、海の生態系で被食者と捕食者の勢力が逆転したことを明らかにした研究は初めてだそうです。なぜ40年間も気づかれなかったのか?これまで海の生態系(の変化)の研究はパイク、やパーチなど大型魚(=漁業の対象)が注目され、イトヨのような小魚がゆっくり時間をかけて増減することには注目してこなかったからだろうと述べています。

「風が吹けば桶屋が儲かる」のが生態系
出典著者Eklöf氏らによれば、これはバルト海沿岸という局地の2,3種の魚種の関係にとどまらないそうです。イトヨが増えるとエサの甲殻類が減り、甲殻類が食べている海藻が増えます。生態系はつながっていますから、バルト海沿岸で起きていることは他の地域に広く影響を与えかねないと出典著者Eklöf氏らは危惧しています。

海も変えてしまう陸の生きもの、ヒト
微妙なバランスで成り立つ生態系では「風が吹けば桶屋が儲かる」ようなことが起こり得ます。ヒトと言う陸生の種が海の生態系にも大きな影響を与えている一例なのでしょうね。

出典:“A spatial regime shift from predator to prey dominance in a large coastal ecosystem” Johan S. Eklöf et al. COMMUNICATIONS BIOLOGY (2020) 3:459 https://doi.org/10.1038/s42003-020-01180-0 | www.nature.com/commsbio
出典:“An ecosystem goes topsy-turvy as a tiny fish takes over” Elizabeth Pennisi Science 04 Sep 2020: Vol. 369, Issue 6508, pp. 1154-1155 DOI: 10.1126/science.369.6508.1154
出典:ウィキペディア記事「イトヨ」「pike」「perch」「ヨーロピアンパーチ」「バルト海」


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報