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恐怖がもたらす玉突き絶滅をカリブのトカゲで実験してみた+スプリングエフェメラル

恐怖がもたらす玉突き絶滅をカリブのトカゲで実験してみた
+スプリングエフェメラル

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バハマへトカゲ導入実験
(バハマへトカゲ導入実験:ちゃんとした名前はブラウンアノール、グリーンアノール、ゼンマイトカゲ)
多くの島と岩礁とサンゴ礁、バハマ諸島
カリブ海の、フロリダ半島やキューバの東にバハマ諸島(国はバハマ)があります。ウィキペディアでは約700の島々と2,400の岩礁からなるサンゴ礁の群島でうち30の島々に人が住む、とあります。




ちっちゃな島に棲むちっちゃな王様、ブラウンアノール
そのうち、今回出典著者Robert M. Pringle氏らが「実験」した16の小さな島(岩?)には昆虫を食べるトカゲ、ブラウンアノール(Anolis sagrei)が棲んでいます。体長5-7cmのちっちゃなトカゲですが、ちっちゃな島では“王様”;頂点捕食者です。

ムラサキカタバミREVdowbsize
(ムラサキカタバミ;うちの庭に来た春の妖精、スプリングエフェメラル)
小さなスプリングエフェメラルたち
ちっちゃなトカゲのお話につき我が家の庭にそっと咲いている小さな野草の花、スプリングエフェメラルのフォトを添えます。

グリーンアノールは梢、枝先が棲み処
カリブにはたくさんの種類のトカゲが棲んでいて、ブラウンアノールは木の幹や地上の草むらが生活の場ですが、緑色のグリーンアノール(Bahamian green anole (Anolis smaragdinus)は低木の梢、枝の先に棲み同じく昆虫などを食べます。

ツタバウンランREVdownsize
(ツタバウンラン)
トカゲを食べるゼンマイトカゲ
カリブの島には、全長26cmと大型で地上に棲み昆虫だけでなくトカゲも食べるゼンマイトカゲ(Leiocephalus carinatus)が棲んでいます。逃げる時にしっぽをクルクルと巻くので和名“ゼンマイ“トカゲなんだそうです。

スノーフレークREVdownsize
(スノーフレーク)
ブラウンの島にグリーンとゼンマイを放すと・・
出典著者Pringle氏らはブラウンアノールが棲む16の島を2つに分けて、1)グリーンアノールだけ、2)グリーンアノールとゼンマイトカゲの両方を導入し、6年間観察しました。

ブラウンとグリーンとなら棲み分けてWin-Win
ブラウンのいるところにグリーンだけ導入した島では棲み分けが起こりブラウンは減らず、グリーンは8倍に増えました。ブラウンは地上と木の幹に、グリーンは木の上にと棲み分け餌の昆虫も違い、“Win-Win”関係でした。

コオニタビラコREVdownsize
(コオニタビラコ)
ゼンマイの導入でグリーンは絶滅
ところが、グリーンとゼンマイ両方を導入した島では1)グリーンは数が10分の1とほぼ全滅!、2)ブラウンはもはや地上には降りず樹上生活となりました。

恐怖がもたらす玉突き事故のような絶滅
何が起こったのか?ゼンマイによる捕食を「恐れた」ブラウンは、1)地上や木の幹からグリーンが棲む期の梢や枝先に「避難」し、2)結果、グリーンと棲み処と餌を競合するようになり、3)競争に負けたグリーンは数を減らしたという玉突き事故のような絶滅です。

ヒメオドリコソウREVdownsize
(ヒメオドリコソウ)
ブラウンアノールは高速進化
もともと地上暮らしで脚の長いブラウンアノールは樹上の新しい環境に急速に適応して(高速進化して)、脚が短く、脚パッドが大きくなった・・・らしいのです。そう結論するには、まだ研究が必要と出典著者Pringle氏らは述べていますが・・・。
高速進化の過去記事です↓
列車に乗って高速進化、300年で3つの新種を生んだ黄色い花+庭の花
高速進化する大都会の生き物たち+ヨコハマの港と運河
構造湖で高速進化したシクリッドたちの遺伝子のヒミツ
プロメテウスの贈り物-火がヒトの高速進化を生んだ?+フランスで出会った一皿たち


これまでの通説「キーストーン捕食者」
ある生態系に新たに頂点捕食者がやってくる(侵入種)、持ち込まれる(外来種)と、優越した(=数が多い)種を捕食するので、生物多様性は増加する(=環境は賑やかになる)、との理論「キーストーン捕食者(keystone-predation effect)」が通説だったそうですが・・・

いやむしろ「避難競争」
出典著者Pringle氏らは、バハマの島のトカゲに起こったことは、むしろ、「避難競争理論(refuge-competition theory)」で説明され、生物多様性は逆に低下していると述べています。つまりは天敵におびえて避難すると棲み処が限られ、似た種同士で餌や棲み処の競合が起こるようです。

外来種捕食者の影響は複雑です
外来種などによる新たな捕食のリスクは在来種の避難(=移動)につながり、他の種との共存関係が崩れることがあるようです。

先駆者Jonathan B. Losos氏
今回の出典論文のLast name(たいていは研究指導者)に、私、Levalloisbeeが最近読んで面白く」感銘を受けた本の1つの「生命の歴史は繰り返すのか?:進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む(Improbable Destinies: Fate, Chance, and the Future of Evolution」著者Jonathan B. Losos氏の名があります。この研究は数10年に亘るLosos氏の「実験進化学」のライフワークを継ぐものです。

Losos氏のカリブのトカゲ研究のYoutube
Losos氏のカリブのトカゲの反復収斂進化の研究を紹介した分かり易く楽しいYoutubeもあります↓
https://www.youtube.com/watch?v=rdZOwyDbyL0
(リンク貼ってませんので、コピペで訪問ください)

反復収斂進化ってなんだ?
Losos氏のライフワークはまた、次の記事でご紹介しますね。

出典:“Predator-induced collapse of niche structure and species coexistence” Robert M. Pringle et al. Nature volume 570, pages58–64(2019)
出典:「群集の危機:導入された捕食者への恐怖が島嶼生態系の種の共存を崩壊させる」 Nature Japan Nature ハイライト 2019年6月6日 Nature 570, 7759 (上記出典の日本語要約)

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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報