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氷河の盛衰を無言で語るザトウムシ+フランスアルプスの街ヴァルトランス

氷河の盛衰を無言で語るザトウムシ
+フランスアルプスの街ヴァルトランス

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LGM最前線を示すザトウムシREV
(LGM最前線を示すザトウムシ)
洞窟に棲む虫の分布で氷河の消長が分かる
洞窟に棲む生き物の生息地をたどると前進と後退を繰り返してきた氷河の消長が分かるのだそうです。出典著者のStefano Mammola氏らはアルプスの洞窟に棲むザトウムシの分布が氷河の最前線(氷河先端部)を示していることを明らかにしました。




ザトウムシは後退する氷河を追って前進した
(ザトウムシは後退する氷河を追って前進した)
冷涼な環境が好きな穴居性の虫
洞窟は冷涼で温湿度など環境条件が季節や年次を経てもあまり変わりません。そして洞窟に棲む穴居性の生き物はこのような変動の少ない環境条件を好む生き物です。
氷河や気候と生き物の関わりの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
雲を作って地球を冷やす小っちゃな藻Eハックスレイ南ブルターニュベルイル
絶えず姿を変え生き抜いてきた、たくましい落葉樹林+フランスの秋アヌシー
豊かな日本の自然を育む日本海は気候変動のカナリアです(+サイパン、ハワイの海辺)
気孔に気候の話を聞こう:葉っぱものがたりその3
1つのキノコが地球の歴史を変えた+北仏ノルマンディー再び
氷河が作ったアヌシー湖と氷河期を見つけたアガシ第2章アヌシー湖とルイアガシ


出典掲載のザトウムシ
(出典掲載のザトウムシ; 小さな胴体に長~い脚が8本)
アルプス氷河の足跡を教えるザトウムシ
アルプスの洞窟に棲むザトウムシと言う虫(節足動物)の分布がアルプス氷河の最前線(氷河先端部)の前進と後退を反映しているらしいのだそうです。

アルプス氷河の最大版図は長靴に迫る
現在(完新世)は氷河時代の間氷期ですが、一つ前の最後の氷期も終わりごろの約2万2千年前に地球上の氷河は最も発達しました。LGM (Last Glacial Maximum、最終氷期最盛期)と呼ばれます。LGMにはヨーロッパ大陸も広く氷河に覆われアルプスの氷河もイタリア半島に迫るほどの最大になっていました。

360度パノラマのようなアルプスの峰々downsize
(360度パノラマのようなアルプスの峰々:フランス・アルプスのスキー場ヴァルトランス)
アルプス氷河を滑った、昔々に
氷河つながりで昔々フランス・アルプス氷河を滑ったときのフォトを添えています。腰と背骨を傷めている今では到底ムリですけど。
フランス・アルプスの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
標高差1000mを滑るアルプスの空は青が深いヴァルトランス

空の青を背景にゴンドラの白が眩しいdownsize
(空の青を背景にゴンドラの白が眩しい)
クモもどきのあしながオジサン、ザトウムシ
長く細い脚にちょこんと乗ってるうずら豆みたいな胴体、とクモそっくりだけどクモじゃない別の一派、鋏角亜門、クモガタ綱のザトウムシ目(Opiliones)にザトウムシという節足動物(昆虫やエビ、カニの仲間)がいます。日本語ではその動きから“座頭市”なら座頭虫、英語ではその姿から、英国でHarvestman(刈り入れ人)、米国でDaddy Longlegs(あしながオジサン)と呼ばれます。雑食性だそうです。

冷涼な洞窟が好きな変わったザトウムシ
今回の主役、アゴザトウムシ科(Ischyropsalidae)のIschyropsalis属のザトウムシ(の一部)は1㎝足らずで冷涼な環境を好みます。だから一部のザトウムシはピレネー山脈、アルプス山脈、バルカン山地の氷河の先端の洞窟に棲みます。年間を通して涼しく気温変化が少ないからです。一方、温暖な気候は苦手で、結果、ザトウムシは氷河の最前線に沿って分布します。

ヴァルトランスの素朴な木造りの家並みdownsize
(ヴァルトランスの素朴な木造りの家並み)
ザトウムシの生息地が氷河の版図
つまりこのIschyropsalis属のザトウムシが棲む洞窟を結ぶラインが氷河の広がりの先端、フロントラインに一致するのだそうです。

でもなぜ“過去の氷河最前線”まで分かるのでしょう?
“現在のザトウムシ”の分布が“現在の氷河”の最前線を示すのは納得ですが、その分布が“過去の氷河”の最前線を教えてくれる理由は?ザトウムシは温暖な環境が苦手なはずでは?

雲が沸く稜線を滑るREVdownsize
(雲が沸く稜線を滑る)
空調条件にウルサイ虫もゆっくり慣れれば・・・
専門家のMammola氏は、1)限局された環境(冷涼な洞窟)にしか棲めない生物種でも環境変化(気温上昇)がゆっくりなら適応して生き残ること、と・・・

なんせ出不精なので
更には、2)ザトウムシは「出不精」で何代も同じ洞窟に棲む(洞窟環境に隔離されてしまう)、と言う生態に依るのだろうと説明しています。

山のホテルと白銀の峰downsize
(山のホテル越しにアルプスの白銀の峰)
生き物の老舗です、ザトウムシは
ザトウムシ類(ザトウムシ目)の最古の化石は4億1千万年前のデボン紀のものだそうです。だから、氷河の歴史は「ごく最近の思い出」なのかも?ザトウムシにとっては・・。

生き物に聞く気候変動
それぞれの動植物が棲むに適した気候条件はそれぞれ違います。現生種であれ化石種であれ、その分布域は現在の、あるいは過去の気候を反映します。どんな生き物がどこに棲むか、棲んでいたか、を調べれば気候変動が分かります。生き物は環境の鏡なんですね。

出典:”Tracking the Ice: Subterranean Harvestmen Distribution Matches Ancient Glacier Margins” Stefano Mammola et al. Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research, vol. 57, January 17, 2019
出典:”Cave Arachnids’ Modern Range Matches Ancient Glacier Outline” Joshua Rapp Learn Scientific American vol 322, No 1, 20 (January 2020) doi:10.1038/scientificamerican0120-20a
出典:「ザトウムシが明かす古代の氷河」 日経サイエンス2020年3月号21頁
出典:ウィキペディア記事 「ザトウムシ」、“Ischyropsalis


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過去の記事リストは下のイラストをクリック ↓ (日本国内と南の島の記事は「ヨーロッパの話題」にまとめています)
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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報