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サカナも顔で相手を見分ける、家族か、お隣さんか、見知らぬ者かを+ダイブで会ったスズメダイの仲間たち

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サンゴ礁のベラとシコクスズメダイREVdownsize
(サンゴ礁のベラとシコクスズメダイ:石垣島ダイビングより、再掲)
0,4秒で家族とよそ者を見分けるサカナ、プルチャー
シクリッドの仲間、プルチャー(Neolamprologus pulcher)(スズキ目カワスズメ科)は顔を見て家族か、縄張りのお隣さんか、見知らぬよそ者か瞬時に見分けます、たった0.4秒で。ちなみにヒトでは0.45秒だそうです。
シクリッドは面白いサカナです。シクリッドの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
オシッコのかけ合いで縄張り争いする魚シクリッド+北仏オンフルール
構造湖で高速進化したシクリッドたちの遺伝子のヒミツ
2つのアゴを持つ一芸に秀でた何でも屋シクリッド





プルチャーはこんなサカナです
(プルチャーはこんなサカナです)
相手を見分けて無駄な闘争を避けるプルチャー
プルチャーは体長10cmほどで縄張りを持ち、家族で群れを作って暮らす社会性の高いサカナです。縄張りを守るために親しい者とよそ者を見分けることは無駄な闘争を避ける(=無駄なエネルギーや時間を使わない)ために重要です。

好奇心旺盛ロクセンスズメダイ幼魚REVdownsize
(好奇心旺盛ロクセンスズメダイ幼魚)
ダイビングで出会ったスズメダイたちなど
サンゴ礁ダイビングで出会ったスズメダイ系などかわいいサカナたちのフォトを添えます(使いまわしですが)。スズメダイはプルチャーと同じスズキ目、親戚で縄張りを持つものは顔に個性があります。

一匹ずつ顔が違うので相手が分かるプルチャー
プルチャーは鰓の辺りの模様が1匹ずつ違う、つまり横顔に個性があります。これでプルチャーのパパやママは家族(パパ、ママ、子育てヘルパーの若者、我が子たち)、平和に近所づきあいをしている隣りの家族一同を「知っていて」見分けます。
だから「見たことがない顔」=よそ者や敵が近づいたときにだけ、パパは戦闘モードに入ります。


ハマクマノミに見つめられてしまったREVdownsize
(ハマクマノミに見つめられてしまった: クマノミもシクリッドと同じベラ亜目です)
正対する凝視が見分けて警戒している証拠
でもどうやってそんなことが分かるんでしょうか?出典著者の大阪市立大学教授幸田正典氏らはレーザーポインターを使ったエレガントな実験でプルチャーは興味のある=警戒すべき対象に正対して(真っ直ぐ向いて)しばらく凝視します。正対するのはサカナの狭い両眼視=相手との距離、つまりは間合いが測れる視角を確保するためです(防具を付けた剣道の試合をイメージしてみて下さい)。

ガラス越しにお隣さんに慣らす
そこで出典著者幸田氏らはこのプルチャーの行動パターンを使って「今、何を気にして凝視しているか?」を観察しました。
透明仕切り板で区切られた水槽で2匹をしばらく飼うと互いに「顔見知り」になります。このとき情報は視覚のみ。仕切り板をスクリーンに替えて隣りのプルチャーと会ったことのないプルチャーの写真を見せました。


スウェーデンカラーがおしゃれなニシキヤッコREVdownsize
(スウェーデンカラーがおしゃれなニシキヤッコ)
見知らぬ相手を見分けて警戒する
隣の水槽に居た顔見知りのお隣さんを見つめたのは平均で10秒だったのに、見知らぬ相手には警戒して平均で30秒も見つめました。明らかに視覚情報で相手が誰か認識しています。

相手のどこを見ているのか
ではプルチャーは相手のどこを見て見分けているのでしょうか?
出典著者幸田氏らは同種プルチャーと異種の魚トランス(J. transcriptus)の写真(側面図)を、1)顔を含む頭部、2)胴、3)尻尾を含む尾部に3分割してプルチャーがどれを凝視するか、ためしました。同種異種に拘わらず1)頭部=顔のみを凝視しました(=正対して動かない)。また、右向き左向きは差がありませんでした。


スカシテンジクダイの群れにかすむダイバーdownsize
(スカシテンジクダイの群れにかすむダイバー)
横顔入れ替え合成写真で試す
本当に「顔」で見分けているのか?を確かめるために、顔見知り隣人と見知らぬ相手の写真を用いて、プルチャーの個性が出る「横顔」、鰓蓋の上の模様を入れ替えてみました。すると「見知らぬ顔+顔見知りの体」では長く見つめたのに対して、「顔見知りの顔+顔見知りの体+見知らぬ体」を見つめた時間は短かったのです。明らかに鰓蓋上の模様=横顔で見分けていました。顔以外の体の部分は相手の認識に影響しないようです。

上下逆さにすると誰か分からない
人は他の人の顔を「○○さんの顔」として覚えていて正面でも横顔でもそれと分かります。ところが、上下ひっくり返して写真では「○○さん」とは認識出来ません。単なるパターン認識ではなく「顔」として認識している証拠だそうです。

上下逆さにして「顔」として分かるか試す
そこで出典著者幸田氏らはプルチャーにも上下逆転の顔写真を試しました。すると顔見知りも見知らぬ顔もさかさまでは凝視する時間が同じ、つまり区別がつきませんでした。プルチャーも「顔」として認識しているようです。

縄張りを持つサカナは顔に個性がある
サンゴ礁の海を彩る小さな美しいサカナたちの大きなグループの1つがスズメダイ科のサカナたちです。スズメダイ科には1)家族や群れで縄張りを作って暮らす、2)不特定多数の大勢=他人と巨大な群れを作って遊泳する。種に分かれます。

家族、隣人の個性か、通勤電車の乗客の没個性か
プルチャーと同じく社会性の高い1)のグループでは体の色模様に個性があるのに対して、社会性の薄い2)のグループでは個性がなくどの個体も同じ姿です。大勢で群れると隣がランダムに入れ替わり個体を識別するメリットがないからだと推測されます、通勤電車のとなりの人のようなもの、と出典著者幸田氏らは述べています。

サカナの顔認識は生得=本能ではなく学習
例えば、捕食者を見たことがない幼魚でも捕食者の目口の位置に似せたイラストを見ると逃げるなどの行動から、サカナの顔認識は言わば本能、生まれながらの生得的なものと言うのが通説だったそうですが、今回の出典著者幸田氏らの研究でサカナも顔認識を学習してゆくことが分かりました。

サカナは馬鹿じゃありません!
そもそもサカナは視覚で(見て)自他を区別できるものなのか?ちょっと前のジョウシキでは「ムリでしょ、サカナはアホやから」だったのですが、出典著者の幸田氏らはサカナの自己認識=「自分が誰であるかを知っている」をホンソメワケベラ(大きなサカナの体をきれいにする掃除魚として有名ですね)を使って立証しました。

鏡に映った自分が分かるホンソメワケベラ
ホンソメワケベラの顔の一部、喉に色素で印をつけて、前に鏡を置いて自分の姿が見られるようにすると、石に喉をこすりつけて色素を取ろうとしました。無色の印、あるいは、鏡なしではこの行動は見られませんでした。明らかにホンソメワケベラは「鏡に映ったサカナが自分である」と認識しています。

ハチだって家族の顔が分かる
サカナだけでしょうか?進化の道筋で5億年くらい前に分かれた節足動物、昆虫類のアシナバチもちゃんと家族の顔を認識できます。
アシナガバチが仲間の顔を見分ける過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
仲間の顔を見分けるアシナガバチ一億年進化の知恵

なぜ「顔」なのか?
敵や仲間など他個体を見分けるとき、このプルチャーの例に限らず、なぜ「顔」なのでしょうか?出典著者幸田氏らは、進化の過程で頭部に口が発達し積極的に捕食するようになったとき、視覚、嗅覚・味覚(化学刺激受容)、聴覚(圧力、振動)、触覚など餌探しや捕食回避のためのセンサー類は口の周り、つまり頭部に集中配置されるようになった、やがてこれらのカタチや配置が種の特徴、更には個性になった、だから「顔」で相手を識別するようになったのだろう、と推察しています。

出典:特集「顔 その役割と進化」「認識能力の起源を探る」出村政彬氏執筆、日経サイエンス2019年7月号P.46
出典:”Does a cichlid fish process face holistically? Evidence of the face inversion effect” Kento Kawasaka Takashi Hotta Masanori Kohda Animal Cognition March 2019, Volume 22, Issue 2, pp 153–162
出典: Fish focus primarily on the faces of other fish, Hotta Takashi, Kawasaka Kento , Satoh Shun, Kohda Masanori Scientific Reports 9; 8377 Issue 2019-06-10 DOI: 10.1038/s41598-019-44715-0
出典:「まずは顔!その後も・・・やっぱり相手の顔が気になる魚類もヒトやチンパンジーと同様、顔重視 であることを確認」大阪市立大学プレスリリース2019年6月10日(研究者:大阪市立大学幸田正典教授ら)
出典:「鏡に映る自分」がわかる魚を初めて確認~世界の常識を覆す大発見〜」大阪市立大学、マックスプランク研究所(独)、コンスタンツ大学(独)プレスリリース2019年2月4日(研究者:大阪市立大学幸田正典教授ら)


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