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誰も覚えてない英海軍初の後退翼戦闘機シミター

誰も覚えてない英海軍初の後退翼戦闘機シミター
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シミター二面図色付きdownsize
(アラビアの偃月刀ことシミター(Scimitar)、曲線が美しいでしょ)
ひたすら地味な英海軍初の後退翼機シミター
狭い英空母に載せる後退翼亜音速機とするため新技術、パクリ技術、創意工夫とえらい苦労で生まれたスーパーマリン社のシミター艦戦(Supermarine Scimitar)なのに単なる繋ぎの艦攻になり、76機作られただけでとっとと退役。そりゃ、誰も思い出さないよなぁ。




シミター・イン・NY
ニューヨークのど真ん中になぜかシミターが・・。シーサイド、ピア17にエセックス級空母イントレピッドが航空博物館になっています。うん10年前訪れたとき、その甲板で「え、なぜここにイギリス機?」が、シミターとLevalloisbeeとの出会いです(今は展示されていないようです)。エンジンは抜いてありましたが、結構デカイ機体で、なるほど英海軍初の原爆搭載機になれたわけです。

Tangmere Military Aviation Museumのシミターdownsize
(Tangmere Military Aviation Museumのシミター)
柔らかな曲線にペンギン塗装が美しい「偃月(えんげつ)刀」
シミター(Scimitar)とはアラビアなどの偃月刀、三日月刀のこと、803飛行隊の部隊マークにもなりました。柔らかくて美しい曲線のシルエットがステキなヒコーキです。

シミター正面図エンジンがデカイdownsize
(シミターを正面から見るとエイヴォン・エンジンがデカイ)
シミターの地味~で何もない短い生涯
シミターの原型Type 544は1956年初飛行、翌1957年には就役し運用開始。でも1969年に退役し生産機数は76機に留まりました。運用したのも英海軍だけ、5個飛行隊(第736、第800、第803、第804、第807海軍飛行隊)のみ。シミターの任務は事変も戦闘も戦績もないうちに地味に終わりました。

前脚上げてフックをかけてシミターさぁ発艦downsize
(前脚上げてフックをかけてシミターさぁ発艦(「イギリス軍用機1945~1995」より))
前脚を宙に浮かせ尾ソリで発艦って変だろ!
それにしてはシミターは色々とヘンなんです(だから好き♡かも?)。蒸気カタパルトと言う大発明のおかげで狭い英空母からも重いジェット機も発艦できるようになりましたが、シミターたら更に大きく重いので「前脚を上げ尾ソリで尻餅ついてカタパルト射出」と言うとっても変!な運用となりました。

ゴムの上に胴体着陸!トンデモな試作ジェット艦戦
革新的音速ジェット艦戦を目指した仕様N9/47に呼応してスーパーマリン社は脚なしでゴムマットに着地するトンデモなメカのType508を構想しましたが、さすがにそれはムリ。1948年ちゃんと脚のあるType508に設計変更、でもV字尾翼のキワモノ(マジステールの例はあるけど)。

ヴィクトリアス艦上のシミターREVdownsize
(空母ヴィクトリアス艦上に整列したシミター(「イギリス航空母艦史」より))
スッタモンダでパンサー後退翼化クーガーに遅れること5年
ミグ15ショックもありF9Fパンサーを急遽後退翼化したF9F-5クーガーと同じ1951年に直線翼のType 508は初飛行したもののすったもんだの末、後退翼化実用型Type 544(後のシミター)初飛行はクーガーに遅れること5年の1956年になりました。それでも英海軍初の後退翼艦載機です。

後退翼とエリアルールで一挙近代化
音速機を目指すんで、①パワフルなターボジェットエンジン(Rolls-Royce Avon 202)双発に、②遅まきながら後退翼にして、③胴体設計には当時先端技術のエリアルールを採用(腰がくびれたコカコーラあの瓶型)、④翼には境界板とドッグツース。それでも音速には届きませんでした。

狭い空母に大型後退翼機を載せるのにエライ苦労が・・
シミターにはもう一つ大きな課題が。それはとても狭く短い英空母甲板で運用すること。そのため翼の前・後縁ほぼ全体に亘る吹き出しフラップで着艦速度を落とし、発艦時も前脚上げのヘンな恰好になりました。

背中に長~いひれ、実は補助空気取入口
シミターの小さなチャームポイント?の1つが背中の細長~いひれ。実はその先端がエンジンへの補助空気取入口、やっぱりちょっとヘンなヒコーキですね。

Scimitarのプラモdownsize
(ScimitarのXrrakit社1/72プラモ:仮組しかしてません)
戦闘機のはずが攻撃機に、原爆が積めるから
そんな色々と無理したシミターですが、開発してみると「戦闘機としては要らないや」となり、「でもパワフルで重い原爆も積めるから艦攻にしよう」とジェット艦攻になってしまいました。

所詮、傑作バッカニアまでの繋ぎ、少数で短い現役
ところが、ほぼ同時期に低空侵攻能力を持つ革命的艦攻バッカニアが開発されていて、シミターはそれまでの繋ぎ(あるいは保険?)の扱いとなり少数生産で短い期間で現役を終えました。

無理して載せて事故多発、作った半分が失われた
サレルノ上陸作戦でのシーファイアの事故損耗率もスゴイのですが、平時にも拘わらずシミターの事故率もものすごいのです。なんせ生産機数76機の半分39機が事故で失われてしまいました。これはシミターの罪ではなく狭い英空母に後退翼亜音速戦闘機をムリムリに載せた結果です。

シミターの諸元です
乗員:1名、全幅:11.3 m、全長:16.8 m、全高:5.28 m、翼面積:45.06平方m、総重量:15,500 kg
エンジン:Rolls-Royce Avon 202(ロールス・ロイス エイヴォン 202)ターボジェットエンジン2基、11,250 lbf (50.1 kN)
最大速度:毎時1,185km、航続距離:2,289 km、上昇限度:14,000 m、上昇力:13,700 mまで6.65 分
武装:機首固定30mmADEN(アデン)機関砲4門、ハードポイント(4カ所):AGM-12ブルパップ4発、AIM-9サイドワインダー4発、爆弾:454kg4発、3インチロケット16基、または、核爆弾Red Beard(:レッドベアード)1発


シミターの1/72プラモ、シーホークに比べバカデカイ
だいぶ前に買ったXtrakit社1/72シミターがプラモ在庫棚に眠っています。これまた組んでいないシーホーク1/72と比べるとバカでかい!シミターってFFAでは破格の大型機だったんです。

世界で一番美しいプロペラ戦闘機Spit!
2万機以上も作られ先の大戦全期間と朝鮮戦争でも活躍するほど長命で史上最も美しいシルエットのプロペラ戦闘機、スピット(Spitfire)と言えば、設計者レジナルド・ミッチェルとそのメーカー、スーパーマリン社です。


シュナイダー・トロフィー3連覇の栄光
ストランレアやウォーラスなど傑作飛行艇を作り、飛行艇や水上機の老舗だったスーパーマリン社。当時高速機と言えば滑走路の長さに制限がない水上機だった1920-30年代のシュナイダー・トロフィー・レース (The Schneider Trophy)にもS社は熱心に参戦。後のスピットに繋がるS.5、S.6、S.6Bで3連覇しトロフィーを永久に英国のものにしました。
ウォーラスの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
名機スピットの地味な兄弟は海のレスキュー隊; ウォーラス小型飛行艇

渾身のリベンジもS社最後の戦闘機となったシミター
そんなS社ですが、スピット以降の戦闘機では、スパイトフル、シーファング、アタッカー、スイフトと見事な駄っ作機シリーズになっちゃいました。その渾身のリベンジがシミターだったのですが、バッカニアと言う革命的傑作機の前に早期引退となり、ヴィッカース社にM&Aされたスーパーマリン社最後の戦闘機になりました。

出典:Military Aircraft 1995年3月号「イギリス軍用機1945~1995」(デルタ出版)
出典:世界の艦船2005年10月号増刊No.649「イギリス航空母艦史」(海人社)
出典:ウィキペディア記事「スーパーマリン シミター」/”Supermarine Scimitar“
出典:Tangmere Military Aviation Museum.ホームページ
https://www.tangmere-museum.org.uk/aircraft-month/supermarine-scimitar


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