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武力中立事始めの戦闘機J22;北欧田舎空軍の翼(後編)

武力中立事始めの戦闘機J22;北欧田舎空軍の翼(後編)
~ トンでもデザインのJ21の安全策J22も手堅く傑作機に ~

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J22三面図REVdownsize
(安全策のくせに傑作機、「小ぶりなフォッケ」J22)
スウェーデンの「突然の傑作機」には伏線があった
前編でご紹介した通りSAAB社はトンでもデザインながら傑作機J21を作ったのですが、なぜ突然こんな傑作一流機を作れたのか?それには伏線があったのです。
北欧田舎空軍の翼【前編】はここをクリックください↓
北欧田舎空軍の翼前編 エイプリルフールがホンものになったSAAB21





スウェーデン航空機産業の礎は名機テキサンdownsize
(スウェーデン航空機産業の礎、名機テキサン:パリ郊外Ferte Alaisエアショーにて)
国産航空機の事始めはAT-6テキサン前身NA-16
スウェーデンのヒコーキ生産事始めにしてJ21、J22開発の基礎を作ったのは、後に名機AT-6テキサンに発展するNA-16練習機のライセンス生産でした。そのつながりでパリ郊外Ferte Alaisエアショー出演のテキサンたちのフォトを添えます。

B-17も領空侵犯でタイホされていますdownsize
(B-17フォートレス(Fortress)も領空侵犯でタイホされています(Duxford IWM博物館のデモ飛行))
領空侵犯はタイホだ、タイホ!!
スウェーデンは第二次世界大戦には参戦せず中立、でも空軍を自前で整備して領空侵犯すればどこの空軍機かを問わず、B-17であれ、ランカスターであれ強制着陸、拿捕。忠告を聞かなければ容赦なく撃ち落としました。でもどんな戦闘機で?それが今回記事のJ22なんです。

複葉グラディエーターも北欧空軍では第一線戦闘機downsize
(複葉グラディエーター(Gloster Gladiator)も北欧空軍では第一線戦闘機(RAF博物館))
貧しい北欧の田舎空軍事情
そもそも第二次世界大戦前夜の小さく貧乏な北欧の国々の航空機産業は微々たるもの、欧州列強とは比肩すべくもなく、空軍は数でも質でも「田舎空軍」でした。それはスウェーデンも同じ。

戦雲に囲まれた19941年のスウェーデン downsize
(1941年頃の北欧情勢)
気が付けば国の周りがエライコッチャ!
ところが一旦戦争がはじまると、たちまちバルト三国はソ連に併合、デンマーク、次いでノルウェーもナチが占領、フィンランドはソ連との戦いで大善戦し祖国を守り抜きましたが、当初は孤立無援でした。
これらの国々のド真ん中に位置するスウェーデン、「我々は中立で~す」と叫んでも独ソはルールが通じるような相手じゃなさそう・・。


フィヨルドの艦船攻撃も有名モスキトーdownsize
(フィヨルドの艦船攻撃も有名なモスキート(de Havilland DH.98 Mosquito)(RAF博物館のB35)
ドロナワで揃えたら二流機ばかり
こりゃ大変、急いで軍備を整えようとスウェーデン政府はアメリカなどから急きょヒコーキを輸入しましたが、独ソの手に落ちることを懸念したアメリカは途中で売ってくれなくなりました。しかも買えたものも二流機が少々。スウェーデン、さぁ、困った。

ティルピッツ攻撃にも参加FAAのコルセアdownsize
(ティルピッツ攻撃にも参加FAAのコルセア(F4U Corsair)(Duxford IWM博物館で出演後))
「こうなったら自前でヒコーキを作るんだ!」
独ソのいずれかが攻めてくるのに間に合うかどうかは分からないけど、ともかく大急ぎで自前でヒコーキを作ることにしたのです。その救国のヒコーキがJ21とJ22なんです。

手堅い安全策のJ22も並行開発
俊英ウェンストローム技師には思い切ったデザインで一流を狙う重戦闘機J21を任せます。
しかし安全策も要るのでFFVS(航空庁国立工場)が担うルンドベリー技師には手堅い設計で、かつ原料に困らない(北欧は森と湖の国々だから)木製軽戦闘機J22を頼むヨと、2機種を1941年から同時開発することになりました。田舎空軍にとって大英断です。


黒衣のランカスターもタイホされたdownsize
(黒衣のランカスター(Avro Lancaster)もタイホされた(RAF博物館))
さすがアメリカ、エンジン(だけ)は素晴らしい
J21の兄弟、常識的デザインの木製機J22の方には空冷エンジンを使いたい、出来ればパワーがあって信頼性が高いものは?国産じゃ無理。輸入した二流米国機のエンジンの方、プラット&ホイットニー(P&W)社製ツインワスプは素晴らしいから使えそう。

必死の「丸暗記」で無断コピー品エンジンを作る
でもエンジンの設計図なんて手元にないゾ。そこでFFVS技術者は米国出張中に見せてもらったエンジン設計図を頭の中で“丸暗記”してコピー品を作っちゃたんです。必死とは言えものすごい記憶力ですね。

「デビュー初打席、第二打席連続ヒットの傑作機」ってスゴイのです!
実は同じような危機感でフィンランドはミルスキを、オーストラリアはブーメランを自主開発、でも二流機どまり。だからスウェーデン自主開発のJ21とJ22は「プロデビュー第一、第二打席連続ヒット」のスゴイ快挙なのです。

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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報