石器時代人の歯石除去で食生活や暮らしを探る+ハマの都鳥ユリカモメ

石器時代人の歯石除去で食生活や暮らしを探る+ハマの都鳥ユリカモメ


川面に映る喧騒を気にもかけないユリカモメdownsize
(川面に映る喧騒を気にもかけないユリカモメ)
『いざ言問はむハマの鳥』、ユリカモメさん
「いざ言問はむ都鳥」ことユリカモメさん(百合鴎、Larus ridibundus)は東京のモノレール「ゆりかもめ」のシンボルですが、港町ヨコハマにもたくさんいます。横浜駅そばの運河、幸川は都会のど真ん中ながら、潮の干満に応じて流れが行き来するほど海に近く、ユリカモメさんたちが人目も雑踏も気にせず群れています。





クローズアップを撮らせてくれた人懐っこいユリカモメdownsize
(クローズアップを撮らせてくれた人懐っこいユリカモメさん)
悪食つながりで”Yurikamome MR Mk5A”
優雅で美しい鳥ながら何でも喰らうユリカモメさん、何でも閉じ込める歯垢の記事なので「悪食」つながりのフォトです。水かきで器用に止まったり、一列に並んだり、川面に浮かんだかと思うと一斉に飛び立ったり見ていて飽きません。ガルグレイとホワイトの水陸両用マリタイム機”Yurikamome MR Mk5A”って感じです。(カタリナ水陸両用飛行艇のパクリです)
カタリナ過去記事はこれ→ 空飛ぶネコか いえカタリナは両生類


橋の欄干をお散歩中のユリカモメREVdownsize
(橋の欄干をお散歩中のユリカモメさん)
古代人の歯石除去を行う女性古生物学者、なぜ?
さて本題。Christina Warinner氏は化石になった古代の人々の歯垢を調べて当時の人々の食生活、感染症、健康などを調べているそうです。なぜって?歯垢は化石骨よりも保存性に優れた当時の生活、環境などの情報が詰まったタイムカプセルだからだそうです。

向きが逆空気が読めないユリカモメdownsize
(向きが逆です、空気が読めないユリカモメくん)
「痛~い!」歯石除去の正体、歯垢って何だ?
放っておくと歯周病の原因となる歯垢。でも歯医者さんにお願いする歯石除去はときに結構痛いですね。そもそも歯垢って何だ?

琥珀のように口の中のものを閉じ込める歯垢
歯垢は口の中の微生物が作り出す粘液に口の中の微生物そのもの、食べかす、唾液、口の中に入ってくる花粉やPM2.5などの汚染物質、更には宿主(ヒト)のDNAまで、およそ口の中にある、居るすべてのモノを、まるで琥珀が虫を閉じ込めるように、リン酸カルシウム結晶が封じ込めたもの(石灰化)です。

川面を眺めて思案中ですかdownsize
(川面を眺めて思案中ですか?)
硬い歯垢はDNAをしっかり守るカプセル
歯医者さんでギリギリ削らないと取れない堅牢な歯垢は生き物の生活や環境のタイムカプセルとなるそうです。生物種によらずDNAは進化や暮らしを解く優れた「古文書」ですが、とっても壊れやすいのが難点です。ところが歯垢の中に封印された微生物や宿主(ヒト属)のDNAは、他の化石サンプルより、豊富で安定しているのだそうです。

橋の欄間デザインのモデルユリカモメの生出演downsize
(橋の欄間デザインのモデルユリカモメの生出演)
口に飛び込むものなら何でも閉じ込める歯垢
Warinner氏たちがバイキング、石器時代人などの歯のクリーニング(歯石除去)を行って何が含まれているかを調べてみると、細菌、食べ物のカス、肉やデンプン、食物繊維、更には花粉まで見つかりました。ちなみに使うのは歯医者さんと同じ“キィーン”、あのヤな道具みたいです。

護岸にユリカモメの一列縦隊downsize
(護岸にユリカモメの一列縦隊)
「歯磨きしなさい!」と叱られないもんで・・・
なんせ石器時代は歯医者さんもいないしお母さんから「歯磨きして寝なさい!」と叱られることもなかったので、中には豆くらいの大きな歯垢を持っていた強者もいたそうです。

水かきで止まって毛づくろい器用ですdownsize
(水かきで止まって毛づくろい、結構器用です)
1000倍以上のDNA情報を持つ歯垢
例えば、歯そのものの化石からは1mg(ミリグラム)あたりわずか0.6ng(ナノグラム)のDNAしか取れないのに対して、その歯に付着している歯垢からは1mgあたり437ngもDNAが回収できたそうです。

海から1km半の幸川は潮の香りREVdownsize
(海から1km半の幸川は潮の香り・・・「さいわい川」いい名前ですね)
乳製品の事始めまで分かる
実際、歯垢を最新の分析技術・機器で調べると、歯垢に付着していたラクトグロブリンによってヒトが畜乳を飲み始めた時期も特定できそうで、どうやら青銅器時代からのようです。それも牛、馬、羊・・どの動物の乳を飲んでいたか=「何を飼っていたか」まで分かるのだそうです(答えはこれから)。

歯垢にみる先史時代の環境汚染や職人仕事
歯垢中の炭素微粒子は火山噴火による環境汚染を、微細な粉塵は食生活だけでなく石器時代の職人が何を作っていたか(加工中に出る材料の粉塵で)まで教えてくれるそうです。

泳ぐユリカモメ割と小さな水かきdownsize
(泳ぐユリカモメ割と小さな水かき)
歯垢が教える中世の歯周病
歯垢に閉じ込められているのは歯垢を作る微生物だけでなくその人の体内にいる他の微生物、病原菌も巻き込まれていたそうです。すると昔のヒトがどんな感染症に罹っていたのかまで推測できますね。
実際、中世の人々も歯周病を患っていたようです(歯周病菌DNAが検出されたから)。


ユリカモメと別れて行き付けのBarへdownsize
(ユリカモメと別れて行き付けのBarへ・・)
→関連過去記事:「行きつけ」の至福; そのバーはハマの運河沿いにあります
サンプルには事欠かない、新発見のお楽しみ
このような研究がようやく可能になったのにはDNA、たんぱく質など生体分子の微量高感度の最新分析技術に依るところが大きいそうです。
世界中の博物館には化石となった先史時代の人類や古代、中世の頭蓋骨がたくさんあります。当然歯も歯垢も豊富にサンプルがあります。
これらはご先祖様たちの健康、食生活、植生などの環境、更には気候や暮らしぶりまで過去を覗き見る格好のタイムカプセルだそうで、まだ化石歯垢の研究者は多くないようですが、今後面白い発見もありそうですね。


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出典: 日経サイエンス2015年12月号 P.36 「歯垢で探る古代人の健康と暮らし」
出典: “A new era in palaeomicrobiology: prospects for ancient dental calculus as a long-term record of the human oral microbiome” Christina Warinner, Camilla Speller, Matthew J. Collins Philosophical Transactions B (2014) (DOI: 10.1098/rstb.2013.0376)
出典: “Ancient human microbiomes” Christina Warinnera, Camilla Spellerb, Matthew J. Collinsb, Cecil M. Lewis Jr. Journal of Human Evolution Vol. 79 P.125 (2015)


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報