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予測可能な資源が競争と協力を生みヒト社会を繁栄に導いた+フランスのシーフードグルメ

予測可能な資源が競争と協力を生みヒト社会を繁栄に導いた+フランスのシーフードグルメ
~ そして私たちヒトがダークサイドに堕ちないためには・・ ~


シーフード豊かなアフリカ南端Pinnacle Point避難地
(シーフード豊かなアフリカ南端の避難地Pinnacle Point)
27分の1の幸運、ひとり生き残ったホモ・サピエンス
ヒト、ホモ・サピエンス(Homo sapience)だけが、26のヒト科の親類たちが絶滅しても、ひとり生き残り、“グレートジャーニー”を果たし「地球制覇」を成し遂げました。
なぜ私たちだけが生き残ったのか?の過去記事はこれ↓
『群れたがり人目気にする遊び好き』“ガキっぽさ”でヒトは生き延びた+ストラスブール~「心のネオテニー」は気まぐれ進化のステキな贈り物~





ヒト成功のカギ、2つの魅力的な説
ヒトの生き残りと繁栄の鍵と思われる2つの特質について魅力的な説があります。部分的であっても実証できる科学的証拠があり、分子遺伝学など最近の知見も含めて包括的に納得のゆく説明になっていると思います。
そして今回出典の著者Marean氏の「ヒトがダークサイドに堕ちないための警句(文末です)」には耳を傾けたいですね。


絶品のムール貝のパスタArt29 downsize
(絶品のムール貝のパスタ(南仏マントン)、過去記事はここをクリック↓)
ピンクに染まるマントンの街はアラビアの香り: コートダジュール旅行紀
予測可能資源が競争と協力を生みヒトの社会性を育んだ
その1つが以前ご紹介したネオテニー(neoteny)です。もう一つは予測可能な資源が豊かにあると競争と協力が生まれヒトの社会性を育てたという、今回のサイエンス小ネタです。

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(青いさかなの看板(南ブルターニュのキブロン))
フランスのシーフード・グルメ
シーフードつながりで過去記事でご紹介したフランス各地で出会ったシーフードなグルメフォトを添えます。

「豊富」×「予測できる」資源が“懲りない“縄張り意識を生む
資源(餌など)を独占するメリットが、ライバルからこれを守るコストやリスクを上回るとき、つまり「守る価値ある資源」があるとき、動物には縄張り行動がみられるそうです。
有史以来今に至るまで、ヒトは水、石油、レアメタル、海洋資源など巡って「縄張り」を争ってますよね、懲りてないのか。


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(プリプリでおいしいあんこうのポワレ(北仏オンフルール)、過去記事はここをクリック↓)
かくれんぼの路地と隠れ家ホテル;オンフルール再訪[後編]
氷期は乾燥と飢えを連れてくる
現在も続く氷河期の今は間氷期ですが、ヒト属たちの歴史の中で何回も氷期と間氷期が繰り返されたようです。氷期Ice Ageとは高緯度は厚い氷河の下に、中~低緯度はカラカラに乾燥し砂漠が広がる寒く乾いた気候です。草木は乏しくなり動物も飢え、数が減りました。当然ヒト属も飢えたはずです。

アフリカ最南端、海辺にたどり着いたヒトの避難地
それでもヒトは生き延びました。その証拠にあなたや私が居ますもんね。ヒトはシーフードで生き延びたようです。知恵と助け合いで・・・。

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(ホタテの一皿(北仏サンマロ)、過去記事はここをクリック↓)
海賊砦サンマロ、パイレーツ・オブ・ブルターニュの”兵どもが夢の跡”
貝塚が教えるヒトを救った豊かな海の貝礁
アフリカ最南端、喜望峰沖で出会う寒暖2つの海流が豊かな海の幸を育みます。アフリカ最南端の海辺にはヒトの化石や洞窟生活の遺構とともに多くの貝塚が見つかっているそうです(著者Marean氏発見のピナクルポイント(Pinnacle Point)など)。
潮間帯辺りの岩場に貝類が密生し貝礁を形成し南の端まで逃れてきたヒトにとって貴重で豊かな蛋白源となったようです。ムール貝や巻貝を食べていたようですよ、グルメだな。


「予測可能で豊かな」蛋白源、貝礁
貝礁からは1時間の採取で最大4500キロカロリーの食糧が摂れるそうでヒトにとって「予測可能な豊かな食料資源」であったようです。縄文人だけでなく昔からヒトはシーフード・グルメであったようです
縄文人のシーフードの過去記事はこれ↓
縄文人は海鮮グルメ、おこげが語る世界最古+北フランス、ドーヴィルの雨

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(レストランの朝(北仏サンマロ))
協調と競争がコミュニケーションと道具を磨いた
ヒトは貝礁のような「予測可能で豊かな食糧資源」を手に入れ、これを守るために協調と競争が生まれ、「空気を読む」豊かなコミュニケーションと優れた飛び道具を駆使したことで私たちヒト Homo Sapienceは他の動物はもとより26のヒト科親類をも凌ぐTop Predator(最上位捕食者)になったようです。
Top Predatorとしてのヒトの役割の過去記事はこれ↓
Top Predator頂点捕食者としてのヒトの役割

氷期の贈り物、大陸にかかる橋をヒトは渡った
氷期は寒さと乾燥のほかに海退(海面の低下)ももたらし、今では海が隔てている大陸に挟まれた海峡も当時は陸橋あるいは、小島連なる浅瀬だったので、好奇心、冒険心旺盛なヒトはアフリカ大陸からユーラシア、オーストラリア、南北アメリカへの「グレートジャーニー」に旅立ったようです。

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(レストランLe Surcoufのオマール(北ブルターニュのロスコフ)、過去記事はここをクリック↓)
漁船も干上がる干満差、北ブルターニュの小さな港ロスコフ

2度目の氷期襲来(7万年前頃)で領土拡大
ヒトが遭遇した2度目の氷期は約7万年前頃ですが、このときまでにヒトは、非血縁者でも協力する高度な社会、多分、言葉(発話)による高度なコミュニケーション力、細石刃など優れた道具と武器などを手に入れていたようです。

ヒトの領土拡大は多くの絶滅を伴った
7万年前頃のヒトの出アフリカとこれに続く世界に拡散したディアスポラ(グレートジャーニー)ではヒトの行く先々で先住の親類、他のヒト属の絶滅、大型動物たちの一斉絶滅が起きています。有名なところではネアンデルタール人(ヨーロッパ)、デニソワ人(アジア)、ほとんどの大型有袋類(オーストラリア)、ほとんどの大型動物(南北アメリカ)などが絶滅しています。

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(ムール貝クリームソース(ビスケー湾岸アルカション)、過去記事はここをクリック↓)
真冬のアルカションは大西洋の嵐の中
好奇心、チームプレー、最先端技術
盛衰を分けたものとして、気候変動への適応力もあったでしょうが、ネオテニーによる好奇心が新天地を目指す冒険を衝き動かし、血縁以外でも子育てや狩で協力するチームプレーで難局も乗り越え、最先端兵器の細石刃と手持ちの投槍器(アトラトル、atlatl)でヒトはTop Predatorに上りつめたようです。

ヒト繁栄最初の技術ブレークスルー、細石刃と投槍器
20万年弱に及ぶ私たち、ヒト(Homo Sapience)の歴史(進化史)の最初の技術革新は小さく鋭利な細石刃で、これを装着した軽い槍、さらに槍を遠く正確に飛ばす投槍器の組合せは革新的な飛び道具となったようです(石器や火の使用は先輩のヒト属の頃からあるらしいのですが)。

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(46Le Grill du Chateauスズキの一皿(プロヴァンスの鷹の巣村エズ)、過去記事はここをクリック↓)
オークルの小路に陽射しがやさしいエズ: コートダジュール旅行紀続編
16万年前の“町工場ものづくり”
16万年前頃にはヒトはアフリカ南端の洞窟で石を加熱処理、焼きなまし処理して小さく軽くても硬く鋭利な刃の細石刃を作っていたらしい証拠が得られているそうです。まるで町工場です。
火の利用は古く79万年前頃、親戚のヒト属(ホモ・エレクトス、Homo erectus)がかまどや石器の加熱加工の痕跡をイスラエルに遺跡に残しています。

火の利用とヒト高速進化の過去記事はこれ↓
プロメテウスの贈り物-火がヒトの高速進化を生んだ?+フランスで出会った一皿たち

「我らと彼ら」と言う線引きがダークサイドに誘う
出典著者Marean氏は、ヒトの血縁を超えた協力と縄張り競争では、「我ら」とは協力するが、競合、対立する「彼ら」は冷酷に排除すると。ヒトは先史時代には他のヒト属である「彼ら」を絶滅させ、有史以来資源を争い多くの「彼ら」の殺戮が行われてきた、と。

シーフードの舟盛Art8 downsize
(シーフードの舟盛(南ブルターニュのキブロン)、過去記事はここをクリック↓)
ママチャリで行くキブロン半島とフランス温泉旅館
知恵と文化でヒトのダークサイドを抑える
それでもMarean氏は、私たちは文化と知恵で“ヒトが生来持つこのダークサイド”を正しく理解し、これをちゃんとコントロールすることができるはず、と訴えています。

我に邪悪を排するフォースのあらんことを・・・
「我らと彼ら」と言う見方、とらえ方は古今東西、差別と迫害と闘争を生み続け、ヒトがダークサイドに堕ちてゆく近道です。改めて襟を正したいと思います、「願わくば我にフォースのあらんことを・・・」。

出典: 「史上最強の侵略種 ホモ・サピエンス」 “The Most Invasive Species of All” Curtis W. Marean氏執筆 日経サイエンス2016年1月号 P.58
出典: 「祖先はアフリカ南端で生き延びた」 “When the Sea Saved Humanity” Curtis W. Marean氏執筆 日経サイエンス2010年11月号 P.40
今回の出典: 「人類進化700万年の物語;私たちだけがなぜ生き残れたのか」 ”Last Ape Standing; The Seven-Million Year Story of How and Why WE Survived” 2013年 Chip Walter氏著、長野敬氏、赤松眞紀氏共訳(2014年、青土社)
出典: “Out of Eden: the Peopling of the World” 「人類の足跡10万年全史」 2003年 Stephen Oppenheimer氏著、仲村明子氏訳(2007年、草思社)
出典: “Animal Connection” 「アニマル・コネクション」2011年 Pat Shipman氏著、河合信和氏訳(2013年、同成社)
出典: ウキペディア記事「アトラトル(atlatl、手持ちの投槍器)」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%88%E3%83%AB

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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報