ナビには欠かせません、脳の中のスピードメーター+プロペラ四発機B17やB24

ナビには欠かせません、脳の中のスピードメーター+プロペラ四発機B17やB24

おめでとうございます。
遅ればせながら、大村先生ノーベル賞受賞おめでとうございます。
私は生物屋の“きれっぱし”(端くれにもならない)ですが、とてもうれしいです。
生(なま)の生き物の観察からスタートして人に役立つものを創りだす大村先生のご研究はやっぱり王道だなぁと感じ入った次第です。


トレッドミルで速度計を探る
(トレッドミルで速度計を探る)
動物たちのナビは脳の中
私たちならカーナビやスマホのGPS機能など便利な道具がありますが、そんなものを持たない野生の動物たちのナビ機能(ナビゲーション機構)は脳のなかにあります。





デモ飛行から帰ってきたB17Fortress背景はSpitたちdownsize
(デモ飛行から帰ってきたB17Fortress;英国ケンブリッジ郊外DuxfordのIWM博物館)
7年がかりで“脳内速度計”を見つけた
今年7月に発表された研究成果によれば、そのナビ機能には欠かせないため存在が予測されていた“脳内速度計”、「スピード細胞(speed cell)」が発見されたそうです。ノーベル賞受賞者May-Britt Moser,Edvard I. Moser夫妻らの7年に及び研究の成果です。

リベレーターのシルエット(IWM)downsize
(B24Liberatorのシルエット(IWM博物館))
むかし“四発”の航法士はコンパス片手に・・
添えるフォト?そりゃもう大好きなヒコーキたち。今回はB-17など“プロペラ四発”や長距離大型機。その航法士席ではコンパス片手に航法士がナビやってましたし・・。
こんな過去記事あります↓
規制を守って翼を切られた怪鳥の悲喜劇、スターリング物がたり
空飛ぶ船サンダーランド飛行艇の洞内巡り


ヒコーキの過去記事のリスト↓
ヒコーキの話minisizeREV
二重反転プロペラが逞しいシャックルトン哨戒機downsize
(二重反転プロペラが逞しいAvro Shackleton哨戒機;IWM博物館)
チョコをご褒美にトレッドミル訓練
ネズミ君(ラット)はトレッドミルの上を走るように訓練を受けます。ご褒美はチョコだそうです。
トレッドミルのスピードをさまざまに変えて同時に脳の嗅内皮質 (entorhinal cortex)と言う場所の神経の活動を記録します。

(嗅内皮質は海馬傍回(Parahippocampal gyrus)の前の部分で私たち、ヒトでは脳の一番奥、底のまん中あたりに、ネズミ君は首が横向きなので脳の一番後ろのまん中にあります)

戦後も広く使われた信頼のJu52輸送機REVdownsize
(戦後も広く使われた信頼のJu52輸送機;パリ郊外Ferte Alaisエアショー)
「スピード細胞」が見つかった!
すると走るスピードに応じて活動の強さ(発火頻度)も変わる神経細胞、つまり「スピード細胞」が見つかったそうです。

パワフルなセントーラス装備のヘイスティングスdownsize
(パワフルなハーキュリーズ装備のHandley Page Hastings輸送機;IWM博物館)
脳の中の航法士(ナビゲーター)席
こんな実験を2000回以上繰り返し、嗅内皮質にある約2500個の神経細胞を調べたところ15%がスピード細胞だったそうです。この嗅内皮質からはGPSのような働きの「グリッド細胞」も見つかっていて、ナビ機能に大切な働きをしているようです。ヒコーキで言えば航法士ですね。

飛行可能なCatalina Duxford IWM REVdownsize
(飛行可能なConsolidated PBY Catalina飛行艇、水陸両用のアンフィビアン(両生類);IWM博物館)
脳が空間位置を認識するメカニズムでノーベル賞
脳内ナビ機能を担っている神経細胞として、特定の場所に来ると発火するランドマークの記憶のような「場所細胞(Place cell)」が最初に発見され(1971年John O'Keefe氏)、そして空間の格子点で発火し自分の位置を知るGPSのような「グリッド細胞」が発見されて(2005年May-Britt Moser,Edvard I. Moser夫妻)、いずれもノーベル賞受賞(2014年ノーベル生理学・医学賞)となりました。
このほかにも障害物までの距離、角や壁など境界を認識する神経細胞もあります


航法練習機型のAnson downsize
(航法練習機型のAvro Anson練習機;カナダ、オタワのCanadian Aviation Museum)
移動中はカーナビ機能が必需品
これがナビ機能として働くためには、ちょうどカーナビが自車の位置を逐次更新するように、動物が移動中はリアルタイムに脳内地図上にその位置を更新する必要があります。

正確無比の高速パスファインダーMosquitoこれはB35downsize
(正確無比の高速パスファインダーde Havilland Mosquito、これはB35; ロンドンのRAF博物館)
動物は脳の中に地図を持ってる
動物、特に哺乳類では周りの環境を把握する「脳内地図」を持っていると考えられています。動物が移動すればこの脳内地図の中での自分の位置も動きます。

ジェット時代のHeavyの3V一員Vulcan(IWM)downsize
(ジェット時代のHeavyの3Vボマーの一員Avro Vulcan; IWM博物館)
リアルタイムナビに速度計は欠かせない
移動中のリアルタイム・ナビ(場所の更新)には速度計が欠かせません。位置、場所を認識する場所細胞、グリッド細胞などのほかに「速度計」と「時計」が必要なのです。

ちょっとユーモラスなヨーク輸送機の「顔」downsize
(ちょっとユーモラスな顔のAvro York輸送機、名機Lancasterがベース; IWM)博物館)
時計と速度計をセットで使う
生物はすべからずその体内(脳内、臓器内、細胞内など)にそれぞれ「体内時計」を持っています。しかし、“速度計”、「スピード細胞」はこれまで見つかっていなかったわけです。
体内時計の過去記事はこれ↓
からだのスケジュール管理をする小さな時計たち+フランス街角の時計

等身大のフィギュアが演技downsize
(等身大のフィギュアが演技してますShort Sunderland飛行艇; RAF博物館)
「距離 = 速度 × 時間」なので・・・
GPSなどなく、GEE、LORANなど電波航法もまだ普及しない頃、船やヒコーキは地形、太陽、星などを観測し、地図、海図と照らし合わせ、コンパス(方位磁針)、時計を駆使して航行しました。
大海原や砂漠上空など目印が乏しいとき、現在位置や目的地までの距離をリアルタイムに把握するには速度計が必須でした(それと風向き、風速も知ることが)。


ダッチスコードロンのMitchell II (IWM)downsize
(ダッチスコードロンのB25 Mitchell II ; IWM博物館)
歩いて測る「宝探しの地図」
「北へ30歩、大きな岩の右を更に50歩・・」、“宝の隠し場所”の伝え方では歩幅を距離計に使っています。でも移動距離が数㎞、数10kmともなると「半日ほど歩けば滝につく」など時間で測ります。これは歩く速さが分かっている(変わらない)からです。

近代輸送機のさきがけDakotaことDC3REVdownsize
(近代輸送機のさきがけDakotaことDouglas DC-3輸送機; Ferte Alaisエアショー)
臨機応変の移動には速度計が欠かせない
でも天候、餌、天敵など環境が刻々と変わる動物たちの野生の暮らしでは移動速度は臨機応変に変わります。そんなわけで動物がナビを行うとき速度計が欠かせないと言うことのようです。
ちなみに動物たちはコンパス(方位磁針)の代わりに地磁気感覚を持っています。

磁気感覚の過去記事です↓
光で方角を知るフシギな磁気感覚 ナビで飛んだ古典機

脳内地図の仕組みを解明したい
今回の「スピード細胞」の発見者、Moser氏は「(この発見で)ナビゲーション機構の全体像が得られたわけではない。次の一歩はさまざまな種類の(神経)細胞が共同で位置感覚を作り出す仕組みを解明し、(それによって作られる)脳内地図がどのようにナビゲーションに使われるのか、を明らかにすること」だそうです。

私たちも持ってる?スマホの要らないナビ機構
まだまだ面白い発見がありそうですね。今回「スピード細胞」が見つかったラットたちは私たち、ヒトと同じ哺乳類です。私たちの脳にも、スマホに頼らないナビ機能があるのかも?

出典:natureダイジェスト2015年9月号P.6「『速度計』ニューロンがラットの脳で見つかった」 “Speedometer neurons discovered in rat brains” Alison Abbott氏執筆
出典: 
「きょうの日経サイエンス」2014年10月7日「2014年ノーベル生理学・医学賞:空間を把握する脳のメカニズムを解明した3氏に」(リンク貼ってます)

過去の記事リストは下のイラストをクリック ↓ (日本国内と南の島の記事は「ヨーロッパの話題」にまとめています)
パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
ヨーロッパの話題minisizeREV生き物とちきゅうのお話minisizeREV
ヒコーキの話minisizeREVグルメ話minisizeREV

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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報