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高速進化する大都会の生き物たち+ヨコハマの港と運河

高速進化する大都会の生き物たち+ヨコハマの港と運河
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横浜のジャックの塔開港記念会館downsize
(横浜のジャックの塔、開港記念会館)
都会っ子生物が暮らすハマの運河とみなと
高速進化のお話第2弾、都会っ子生物の高速進化のサイエンス小ネタです。都会の真ん中の水辺、ヨコハマの港と運河のフォトを添えています。
1つ前の高速進化する花の記事はこれです↓クリックで飛びます
列車に乗って高速進化300年で3つの新種を生んだ黄色い花




幸川のフェンスに水かきで止まって毛づくろい器用ですdownsize
(横浜駅そば幸川のフェンスに水かきで止まって羽づくろいのユリカモメ、器用です)
ハマの都会っ子動物、コイ、ユリカモメ
大勢が行き交う横浜駅そばの繁華街五番街沿いの運河幸川(さいわいがわ)では黒や赤の悪食の鯉が1m以上に丸々育っていて、観光客がさかんにスマホをかざしています。ユリカモメが川に舞ったりパネルの縁に整列したりしています。いずれも「都会っ子」たちです。
幸い川のユリカモメの過去記事はこれです↓クリックで飛びます
石器時代人の歯石除去で食生活や暮らしを探る ハマの都鳥ユリカモメ

木目が手に優しい幸川沿いStovesのバーカウンターdownsize
(木目が手に優しい、行きつけの幸川沿いのバーStove’sのカウンター)
このバー・レストランのホームページはここをクリック↓
「STOVES(ストーブス)」
お菓子を求めてダツが群れるリゾートの桟橋
南の海のリゾート、サイパン島の桟橋ではたくさんの細長い青い影が群れていました。子供がこぼすお菓子目当てに桟橋にダツが群れるのだそうです。
ハマの過去記事はこれです↓クリックで飛びます
「行きつけ」の至福; そのバーはハマの運河沿いにあります
みなとみらい
ハマの新開地朝の散歩で見つけたもの司馬さんを辿って
ヨコハマたそがれ青い回廊といずもと飛鳥
ハイカラな不死鳥ハマの港の歴史に触れる博物館+ハマの寸景


ヨコハマロックREVdownsize
(ヨコハマロック! クイーンズスクエア横浜の一角)
地球じゅうにヒトが繁茂し環境を変えてきた
ヒトと言う種が地球上いたるところで繁茂するようになり、ヒトが食べ、住み、活動することで地球の大部分の環境を変えてきました(深海などは別として)、今や「手つかずの自然」はほとんどありません(南極くらいか)。

やがて100万都市は600都市に・・
人口100万都市は今や世界に600もあるそうで、生き物たちは都会や住宅地に新しく生きる場所を求めざるを得ません。
ヒトを用心棒にする都会鳥の過去記事はこれです↓クリックで飛びます
人が好きなんです けなげな都会鳥 RAFの飛行機 心が優しくなる三冊の本(2)

まだ眠っている遊園地と朝から働く曳き船REVdownsize
(まだ眠っている遊園地と朝から働く曳き船;みなとみらいの運河にて)
ヒートアイランド現象で進化したカタツムリ
世界のどの大都市でも数度から10度近く周囲より気温が高くなるヒートアイランド現象は深刻な問題です。人にとっても問題ですが、ノロノロとしか動けないカタツムリにとってはもっと大問題です。すると都会のカタツムリの殻が色白(濃い茶色から薄い黄色に)になっているそうです。
ヒートアイランドの灼熱を凌ぐ適応です。殻を作る外套膜の組織で色素合成の調節遺伝子が変異したのでしょう。

ヒートアイランド現象で育つ都会の並木の過去記事はこれです↓クリックで飛びます
都会の並木が早く育つのは人為的地球温暖化の仇花なの?+パリの並木

白たえの女王日本丸REVdownsize
(白たえの女王日本丸;ランドマークタワー真下のドックに係留)
飛ばない綿毛で子孫を残すコンクリートに咲くタンポポ
タンポポの種に付いている綿毛は風に乗って出来るだけ種を遠くへ飛ばすための仕掛けです。ところが、都会の道路舗装の隙間に咲くタンポポは綿毛の軸が長くなって親株のすぐ近くに種が落ちるようになったそうです。遠くへ飛んでもコンクリートばかりで芽吹けないから、代わりに少しは土のある親株の場所を引継ぐ戦略です。

島のブタナも綿毛を飛ばさない、海に落ちるから
小さな島ではタンポポの親戚、ブタナの綿毛も同じく軸が長くて遠くへは飛ばないそうです。遠くまで飛ぶとそこは海の上だから。

ステージをよぎって飛鳥が出港downsize
(大さん橋のステージをよぎって飛鳥が出港)
ダーウィンさん、進化ってムチャ高速なんですけど・・
進化はダーウィンが思っていたよりはるかに高速で進みます、近年のエボデボ(発生進化学)の研究成果によればたった1つの調節遺伝子が変わるだけでも生き物は、外見、代謝、行動が劇的に変わり得るからです。
動物(魚)の高速進化の過去記事はこれです↓クリックで飛びます
構造湖で高速進化したシクリッドたちの遺伝子のヒミツ

橋の欄干をお散歩中のユリカモメREVdownsize
(繁華街の橋の欄干をお散歩中のユリカモメ)
多彩な環境を作り出すビーバーのダム湖
ビーバーがダムを作ることで新たに様々な環境が生まれ、多様な魚や鳥や昆虫たちが「ビーバー湖」に棲むようになります。小さなシロアリは巨大な塚を作って景観や風の流れなど環境を変えます。
動物の巣は大なり小なり「体外構造=からだの延長」(トビケラ幼虫の巣、クモの巣、ハチの巣、アリの巣・・)として環境を変え、新たな環境を作り出します(新しい生態的地位、Nicheも)。

温暖化を進めてしまうビーバーのダムの過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
温暖化で北上のビーバーが凍土を融かして温暖化を加速+カナダ首都オタワ

ランドマークタワーと背比べの日本丸downsize
(ランドマークタワーと背比べの日本丸)
ヒトは世界中に新しい多彩な環境を作り出した
それでは私たち、ヒトは?同じように、でももっと大規模に、自然、地形、景観を変え、農地や都市など人工物を作って地球環境を大きく変えてきました。結果、ヒトの暮らしの中とその周りに、多彩で多様な新しい(小)環境をたくさん作りだしました。これを他の生き物が利用しないわけがありません。

たそがれ大観覧車みなとみらいの寸景
(たそがれ大観覧車;みなとみらいの寸景)
断崖のハヤブサは今や高層ビルでドバトを追う
もともと断崖絶壁で海鳥ななどを狩っていたハヤブサにとって高層ビル群は新しい狩り場、同じく都会に棲むドバトなどを狩って暮らし始めています。
人工物(煙突)に棲むその名もエントツアマツバメの過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
煙突に集団で高速ダイブするエントツアマツバメ驚異の飛行術+パリの煙突

光嫌いのクモが街灯に網を張る、灯に群れる蛾がねらい
クモは影のハンター、日陰に網を張って知らずに通り過ぎようとする虫を捕らえます。ところが、都会のくクモは敢えて明るい街灯の柱に巣を張ります。夜の光が虫たちを誘うからです。

レインボーブリッジと曳き船downsize
(レインボーブリッジと曳き船)
危険だけど餌も棲みかもあるニューフロンティア大都会
カタツムリ、タンポポ、ツメクサ、クモ、ガ、ドバト、カラス、ムクドリ、ドブネズミ・・などなど、都会の生き物にとって人が暮らす人工物で出来た人混み、車、騒音、人工光が溢れる大都会は本来の自然環境とはまったく異なる厳しい環境だけど、豊富な餌(大部分は人が出すゴミ)と雨露を凌げる新しい棲みかもあります。

都会っ子生物のアメリカンドリーム
アメリカンドリームのように一旗揚げようと果敢に大都会の環境に挑む外来種や移入種には成功のチャンスでもあり、彼らは大都会のニューフロンティアで逞しく生きるパイオニアです。

新たな都市生態系、都会っ子生物の未来は?
出典著者Menno Schilthuizen氏のお話をかいつまんでご紹介すると、
『世界に広がりつつある新しい都市生態系は生物史にない新たな段階だが、動植物は適応してゆくだろう。しかし、すべてが都会環境で生きられるわけではなく生息地を保護区などで残すことも重要である。人の影響による都市型進化は前例がない生態系なので未来は推測の域を出ない』
なるほど、これからも「都会っ子生物たち」と上手に一緒に暮らして行く道を考えたいですね。

出典:日経サイエンス2018年12月号P.82「都市が変える生物進化」 “Darwin in the City” Menno Schilthuizen氏著
関連著書:”Darwin Comes to Town” Menno Schilthuizen氏著(著者はTV出演もしています)


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

列車に乗って高速進化、300年で3つの新種を生んだ黄色い花+庭の花

列車に乗って高速進化、300年で3つの新種を生んだ黄色い花
+庭の花

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300年で3つの新種
(300年で3つの新種)
火山の荒れ地の珍しい黄色い花
18世紀、珍しいセネシオ類の植物を探していた英国の植物学者ウィリアム・シェラード(William Sherard)氏がイタリアのエトナ火山の中腹の斜面で黄色い花のセネシオを見つけ英国に持ち帰りました。




プリムラdownsize
(プリムラの花冠:我が家の庭の花)
あれ!雑種だったの、高地種と低地種との
この黄色い花は2種のキク亜科(Asteroideae)キオン属(Senecio)、高山に自生するSenecio aethnensisと低地斜面に生えるSenecio chrysanthemifoliusの雑種と分かりました。
高山では高度により棲み分けが起こりますが、その境界線では雑種が生まれやすいのでしょう(霧島山系のミヤマキリシマ(高山)×ヤマツツジ(低地)=キリシマツツジの例など)


クンシランdownsize
(クンシラン:我が家の庭の花)
故郷の土を求めて植物園から脱走
英国オックスフォードの植物園に植えられていたこの雑種はご多聞にもれず脱走し、より快適な環境を見つけました。植物園より快適?そう、花壇の肥沃な土よりエトナ火山の荒涼とした山地に似た建物の壁や砂利の方が合っていたようです。

英国オックスフォードの花になった雑種
やがてこの黄色い花はオックスフォードの市街に広がり(多分街の人々にも受け入れられ)、また、両親種と交雑しても種子が出来ませんので新種と分かりました。

オックスフォードラグワートの黄色い花Wikipediaより
(オックスフォードラグワートの黄色い花)
新種として新しい名前をもらった黄色い花
遂にエトナ山の黄色い花は後に新種としてSenecio squalidusと言う学名をもらい、オックスフォードラグワート(Oxford ragwort)と呼ばれるようになりました。サワギク(ボロギク)と同じ仲間なので野菊を黄色くしたようなかわいい花です。

キク科野草の綿毛REVdownsize
(キク科野草の綿毛:我が家の庭の花)
火山に似た鉄道線路の砂利が分布を広げる
ここでタイミング良くオックスフォードラグワートを広める助っ人が現れます。産業革命で19世紀に鉄道網が敷かれ、火山地に似た線路の砂利を好んでオックスフォードラグワートが繁茂しました、しかも他の植物との競争も少ないので。


ニワゼキショウREVdownsize
(ニワゼキショウ:我が家の庭の花)
列車で旅する小さな種のパラシュート
キクの仲間のオックスフォードラグワートの種はタンポポのような綿毛です。汽車が起こす風で綿毛の小さなパラシュートは更に遠くまで旅をしました。やがて英国のどこでも見られるポピュラーな花になりました。

シュウメイギクdownsize
(シュウメイギク:我が家の庭の花)
手入れの悪い空き地に咲くノボロギク
一方、イングランド中部のオックスフォードより北の北部のヨーク(York)にはオックスフォードラグワートの近縁のノボロギク(Senecio vulgaris)が手入れの悪い敷地、道路、駐車場などに生える雑草として自生していました。


旅先ヨークで地元のノボロギクと結婚、相性はいいみたい
オックスフォードラグワートが列車でヨークまでやってきた1979年頃、2種の間で新たに雑種が生まれました(雑種の雑種)。雑種はヨークワート(Senecia eboracensis)と言う名前をもらいました。
ちなみにノボロギクの染色体は40本、オックスフォードラグワートの染色体は20本、ヨークワートは40本で相性は悪くありません(倍数体)。


ウェールズでも地元種と雑種形成
それより早く1943年発見の雑種は北ウェールズに旅したオックスフォードラグワートが地元のノボロギクと交雑して生まれた染色体60本を持つ新種の雑種ウェールズノボロギク(Welsh ragwort、Senecio cambrensis)です。

たった300年で新種3種を生んだ高速進化
以上の3つの雑種の新種はたった300年ほどで誕生しています。そう私たちはヒトが急速に変えていった環境やヒトが生物種を「世界旅行」させたことに呼応して「高速進化」しています。
アフリカの魚の高速進化の過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
構造湖で高速進化したシクリッドたちの遺伝子のヒミツ
ヒトの高速進化の過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
ヒト進化はマーブルチョコレート 人はヒトをどのように改造してきたのか その3 ブルターニュ寸景続々
人口爆発がヒト進化を加速 人はヒトをどのように改造してきたのか その2 ブルターニュ寸景 続
人はヒトをどのように改造してきたのか その1移動も進化も250倍に ブルターニュ寸景
プロメテウスの贈り物-火がヒトの高速進化を生んだ?+フランスで出会った一皿たち


生き物は、自然は、環境は常に変化し続ける
出典著者のヨーク大学Chris D. Thomas氏は著書の中で以下のように述べています(Levalloisbeeが若干は端折っていますが)
生き物自然環境は常に変化し続ける

絶えず姿を変えて生き抜いた落葉樹の過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
絶えず姿を変え生き抜いてきた、たくましい落葉樹林+フランスの秋アヌシー

新たな隣人とかしこく向き合うには?
下記の今回の出典①は、今世界中で急速に起こっている環境の激変と「外来種」と一括りに切り捨てしまいがちなその新しい環境の構成員の生き物たちと真摯に向き合う必要があることに気付かせてくれていると思います(その答えが何であるかは措いて)。

出典なぜわれわれは外来生物を受け入れる必要があるのかdownsize
(出典著書「なぜわれわれは外来生物を受け入れる必要があるのか」)
いつかまたご紹介を・・・
今回はこの出典①の内、第9章のエピソードだけを取り上げましたが、近いうちにこの本のメッセージを改めてご紹介出来ればと思います。なお、出典②~⑤は出典①第9章の引用文献です。
今回添えたフォトは我が家の庭の花たちです。


出典①:「なぜわれわれは外来生物を受け入れる必要があるのか」 “Inheritors of the Earth” 2017年 Chris D. Thomas氏著、上原ゆうこ氏訳 (2018年、原書房) 第9章 「雑種の形成」
出典②:”Introduction of Oxford ragwort, Senecia aqualidus L. (Asteraceae). to the United Kingdom” Harris, S. A. Wastonia vol.24, P31 2002
出典③:”Recent hybrid origin and invation of the British Isles by a self-incompatible species, Oxford ragwort (Senecia aqualidus L., Asteraceae)” Abbott, R. J. et al. Biological Invasions vol.11, P1145 2009
出典④:”Reproductive isolation of a new hybrid species, Senecia eboracensis (Asteraceae)” Lowe A. & Abbott, R. J. Heredity vol.92, P386 2004
出典⑤:”Origins, establishment and evolution of new polyploid species: Senecia cambrensis and S. eboracensis in the British Isles” Abbott, R. J. & Lowe A. J. Biological Journal of the Linnean Society vol.82, P467 2004


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大西洋のU-ボートを制した白衣のアトランティック・アヴェンジャー(TBF/TBM)

大西洋のU-ボートを制した白衣のアトランティック・アヴェンジャー
(TBF/TBM)

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対Uボート戦の白いアヴェンジャー
(大西洋の対Uボート戦での白い衣装のアヴェンジャー)
白衣のアヴェンジャーが大西洋の狼を制した
グラマンTBF/TBMアヴェンジャー(Avenger)の隠れた功績として大西洋の対Uボート戦があります。アヴェンジャーと言えば旧日本海軍の仇敵ですが、大西洋でも戦局を左右する功績を挙げています。対U-ボート戦で地味ながら、ジープ空母(商船改造護衛空母)と共に決定的な貢献をした、真っ白な衣装、大西洋スキームのアヴェンジャーのお話です。マニアックな上にムダに長い記事ですみません。




Duxford IWMのアヴェンジャーその4downsize
(英国ケンブリッジ郊外DuxfordのIWMに展示のアヴェンジャー:斜め下から)
1匹のオオカミが森のシカの食害を抑える・・
・・・ように、アヴェンジャーの機影はUボート船団襲撃の抑止力となりました。
第二次大戦で戦没したUボートは200隻近く、その内、アヴェンジャーによるものは米空母で30隻、英空母で数隻、英空母のソードフィッシュによるものは18隻でしかありません。


初飛行とエンジン馬力
(初飛行とエンジン馬力の比較;アヴェンジャーはエンジンに恵まれた)
飛行機の影だけでも商船隊を守れる!
しかし、フネの中でも対空火器が限られるUボートは航空攻撃には極めて脆弱で遠くの空に機影を見ただけでも潜航を余儀なくされ、船団攻撃もままならなくなります(潜ると遅い上によく見えないから)。大西洋のアヴェンジャーの大きな功績は、実は、Uボートを潜航させ船団攻撃を未然に防いだことにあるそうです(ソードフィッシュも同じ)
対U-ボート戦で活躍したF4F、ソードフィッシュ、サンダーランドの過去記事です↓クリックで飛びます)
狼を追うイワツバメ大西洋のマートレット
買い物カゴを下げたラム海軍少佐のインディー・ジョーンズのような冒険
空飛ぶ船サンダーランド飛行艇の洞内巡り


Duxford IWMのアヴェンジャーその1downsize
(Duxford IWMのアヴェンジャー;二階建て構造が分かる)
およそ役立たなかった下腹(後下方)の銃座
第二次大戦前には多くの爆撃機がその下腹、つまり胴体後下方の狭い窓やペリスコープ越しに撃つ防御銃座を付けましたが(バトル、ハムデン、ブレニムIV、初期のB-24、九九式双軽などなど)、およそ役立った話がありません。

最大速度
(最大速度の比較;毎時500km越えはない。艦攻の限界かも?)
広い海でもU-ボートを探せる下腹の通信員席
それはアヴェンジャーも同じこと。ところが、これが「瓢箪から駒」。茫漠たる大西洋でU-ボートを見つける格好の観測席であり、攻撃離脱時の対空砲火制圧にも後下方機銃は有効に働きました。出典「シーハンター」にも通信員がいち早くU-ボートを見つけたエピソードがいくつか載っています。

搭載量
(搭載量の比較;米海軍の次世代艦攻開発は喫緊の課題だった)
近代化が遅れた米国空母雷撃機隊
世界の東西で戦争や侵略が起こった1939年10月、近代化未だ途上で危機感を感じていた米国海軍。その空母航空隊近代化は、戦闘機はF4Fワイルドキャット、艦爆はSBDドーントレスで一応達成。でも艦上雷撃機(艦攻)は不出来なデヴァステイターだけ。こりゃマズイかも?と米国海軍はトンでもなハイスペックの艦上雷撃機仕様をメーカーに出しました。
デヴァステイターの過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
ミッドウェーの斬られ役、悲劇の駄作っ機TBDデヴァステイター

Duxford IWMのアヴェンジャーその2クローズアップdownsize
(Duxford IWMのアヴェンジャーのクローズアップ)
時代を先取りしたトンデモな過激仕様
求めるのは思い切って時代を追い抜く性能;A)胴体内爆弾倉で、B)前方と後下方に防御武装を、C)さらに背部には動力旋回砲塔を装備し、D)時速480kmで飛んで、E)航続距離は戦艦の主砲の遥か彼方、4830kmまで飛んでね、と言うものでした。

航続距離
(航続距離:日本海軍機は非爆装の偵察任務時らしいが、それでも群を抜く)
艦載機に動力砲塔は「無理でしょ!」
狭い空母の甲板に離着艦する当時の単発艦載機にとって「む、無理!ムシ良すぎるでしょ」の分不相応な装備と性能要求で、特に動力砲塔は難題でした。

初めてでもグラマンがん頑張りま~す!
そんなムチャな要求に応えたグラマン社はこれが初めての艦上雷撃機。でも直前の成功作F4F艦戦の中翼配置などノウハウを踏襲し当時最強のライㇳ・ツインサイクロ・エンジンを組み合わせました。

翼を畳んだアヴェンジャーとエレベーター
(翼を畳んだアヴェンジャーとエレベーターのサイズを比べてみて・・)
1/3に畳める翼で空母のエレベーターもOK
グラマン社の設計チームは、A)前作F4Fの単葉中翼の構造を踏襲、B)幸いエンジンは強力な2000馬力級ライト・ツインサイクロンを使う、C)内装爆弾倉を付けると二階建構造の大型機になるけど主翼折り畳みメカの工夫で全幅16.5mを畳むと1/3の5.6m になりエレベーターに載せられる、と言うコンセプト。
F4Fとグラマンの折り畳み翼の過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
究極の折り畳み技グラマンF4Fの1回ひねり後方閉じ

Duxford IWMのアヴェンジャーその3B17と比べても大きいdownsize
(Duxford IWMのアヴェンジャー、B17並んで遜色ない大型と分かる)
二階建て胴体の通信員席が後々役立つ
D)結果、後下方に海面を捜索出来る通信員席と武装を設けました。これらが後々大西洋の戦いで真価を発揮します。

英国艦隊航空隊FAAのターポン I downsize
(英国艦隊航空隊FAAのターポン(Tarpon) I ;通信員席のバブルキャノピーから索敵重視が分かる)
艦載単発機に動力砲塔は無理なの?
E)そして最大の難題、動力砲塔については、なんと、グラマン社は自主開発しちゃったんです!
当時(1930年末)動力砲塔は大型陸上爆撃機向けの油圧式で重くて鈍重なものでとても艦載単発機向きではありませんでした。


じゃ、電動小型を自社開発しよう
そこでグラマン社のOscar Olsenz氏らは、当時アメリカの工場で多用されていた電動モーターに注目、これを小型軽量化して組み合わせることでコンパクトで軽量、自動車のハンドル操作を3D化したような俊敏な動力砲塔Grumman150SE Turretを独自開発しちゃったんです!(いかにもアメリカですね)

マニアックな記事ですが、ご興味あれば「続きを読む」をクリックください↓

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パパのエクササイズが子供のメタボを防ぐ、ネズミ君のお話しですが+パリのカフェ

パパのエクササイズが子供のメタボを防ぐ、ネズミ君のお話しですが+パリのカフェ
~ママだけじゃない、カウチポテトのパパの子や孫はメタボになりやすい~

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パパの生活習慣は仔に伝わるエクササイズが防ぐ
(パパの生活習慣は仔に伝わる、これをエクササイズが防ぐ)
スマートに飲んで食べるパリのカフェ
美味しく食べて楽しく飲んでスマートなパリジャンが愛するパリのカフェやビストロのフォトを添えます
パリのカフェの過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
ヴァンドームからヴィラージュへ;晩秋パリ散歩その1
カフェは街角の薫りと空気を醸す空間-カフェ話再びその3
心が背伸びするいつものカフェ - カフェ話再びその2
日々の暮らしとカフェ、旅で出会うカフェ、パリのカフェ話しを再び・・・
小粋なパリの小さな村Village Royal
パリのカフェではワンちゃんもお客さま





赤と白のコントラストが美しいヴィラージュの路地downsize
(赤と白のコントラストが美しいヴィラージュの路地)
メタボのリスクが子に伝わるかも?
妊娠中のママが肥満だと生まれた子供は大人になってから肥満や心臓病になりやすい、ことは出典著者Keith M Godfrey氏らがヒトの臨床研究として報告しています。ママの体の成分や代謝に関係するシグナルの一部が胎盤を介して胎児にも伝わるだろうことは想像できますよね。

「パパは関係ない」のか?
じゃ、パパの場合はどうか?パパがカウチポテトな生活習慣でも、子供に伝わるのは精子の遺伝子DNAだけなんだから関係ないんじゃないの?と思いますよね。

噴水が借景のサンジェルマンのカフェdownsize
(噴水が借景、サンジェルマンのカフェ)
メタボ食のパパの仔はメタボリックシンドロームに
ところが、別の出典著者、カロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)のThaisde Castro Barbosa氏らのネズミ君(ラット)の研究では、雄に高脂肪食を食べさせると雌が普通の食餌であっても、この雄雌から生まれてくる仔や孫(F1、F2)は成獣になったときにメタボリックシンドロームのⅡ型糖尿病のリスクが高まっていました(耐糖能が悪い、インスリン抵抗性になるなど)。
ネズミ君の話とはいえパパも食生活に注意しなければならないのでしょうか?


静かに時が過ぎる午後のカフェ(サンジェルマン大通り)REVdownsize
(静かに時が過ぎる午後のサンジェルマン大通りのカフェ)
じゃ、既にメタボなんだけどどうすんの?
大丈夫!パパがエクササイズに励めば悪い影響をキャンセル出来そうだとのこと、さらに別の出典著者、Kristin I. Stanford氏らの最新の研究結果です、但し、ネズミ君のお話。

メタボ食とエクササイズ遊具を与えてみると
出典著者のStanford氏らは、パパになる雄のネズミ君(マウス)にメタボな高脂肪食と一緒に回し車(ネズミ君が喜んでクルクル回して遊ぶ遊具です)を与えました。

カウチポテトなパパの仔はメタボに
高脂肪食だけのカウチポテトな生活の雄では、雌が普通の食事でも、生まれた仔が成獣になるとメタボに、➀肥満になる、②耐糖能が悪くインスリン抵抗性になるなどのメタボリックシンドロームのリスクが高くなりました。

回し車エクササイズの霊験新たか
ところが、高脂肪食でも回し車エクササイズをさせた雄の子供は大人になってもメタボにならず正常でした(体脂肪や耐糖能が正常のまま)。
メタボにならない腸内細菌や嗅覚の過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
「お腹の中のアリエッティ」が棲む熱帯雨林を大切に・・・
鼻が利かなきゃメタボな食事でもスリム体形でいられる+北仏ルーアンのグルメ


パリのメトロ3番線Courcelles前のカフェdownsize再掲載
(パリのメトロ3番線クールセル駅前(Courcelles)のカフェ)
うん?疑問がわきますよね
Q1:雄から(遺伝子しか入っていない精子から)どうやってメタボのシグナルが仔に伝わったのか?
Q2:エクササイズはこれをどのように阻止しているのか?
Q3:ネズミ君での研究結果はヒトにも当てはまるのか(パパのエクササイズは子供のメタボリックシンドロームを防げるのか)?


小さなRNAが犯人かも?
Q2とQ3の解明はまだこれからのようですが、Q1:「雄のメタボシグナルを精子の中の何が仔に伝えているのか?」については、出典著者のBarbosa氏らと、別の出典著者Stanford氏らの研究によればそれは、通常の遺伝形質を伝えるDNAではなく、精子の中の小さなRNAであるmiRNA(microRNA)などの働きによるエピジェネティクスだそうです(Barbosa氏らの研究ではlet-7cと言うmiRNA)。

ルーブル界隈コレット Collete広場のカフェIMG_1823downsize
(ルーブル界隈コレット広場(Collete)の老舗カフェ)
エピジェネティクスは「氏より育ち」
生まれてからの経験(食餌、疾患、社会環境、行動など)次第で遺伝子発現(どの遺伝子がどこでいつ働くか)も変わります。これがエピジェネティクスです。

経験を記憶し伝える小さなRNA
このような「生まれつきではない=エピジェニックな」変化を起こす仕組みの一つがmiRNA。細胞の中の小さな核酸、miRNAは遺伝子の働き(発現)をON/OFFして遺伝子が特定のタイミングと場所で働くことにより、体が作られてゆく発生や代謝など体の働き、さらには行動も制御します

健康は自分のためならず、子や孫のため
エピジェネティクスは本来その個体だけに起こる変化ですが、今回の研究結果のように子孫に伝わることもあります(エピジェネティク遺伝)。ほとんど遺伝子DNAしか伝えないように思えるパパの精子ですが、実はその中の小さなmiRNAがパパの生活習慣も子供に伝えてしまうようです。
楽しく健康的で幸せなパパ、ママでいることが子供さんやお孫さんの健康的な日々に繋がるようですよ。


出典:” Paternal Exercise Improves Glucose Metabolism in Adult Offspring” Kristin I. Stanford et al. Diabetes Volume 67, Issue 11,November 2018, db180667.https://doi.org/10.2337/db18-0667
8
出典:” High-fat diet reprograms the epigenome of rat spermatozoa and transgenerationally affects metabolism of the offspring” Thaisde Castro Barbosa et al. Molecular Metabolism Vol.5, Issue 3, Mar 2016, P184-197
出典:”When fathers exercise their future offspring may benefit mouse study suggests” Mitch Leslie Science 19 October 2018 Vol 362, Issue 6412 doi:10.1126/science.aav7906
出典:“Influence of maternal obesity on the long-term health of offspring” Keith M Godfrey et al. LANCET vol.5, issue 1, P53-64, Jan 01, 2017
出展:ウィキペディア記事「エピジェネティクス」、「ノンコーディングRNA」


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イカの祖先は“いかに白亜紀末地獄を生き延びたか?+美味しいイカ、タコ料理

イカの祖先は“いかに白亜紀末地獄を生き延びたか?
+美味しいイカ、タコ料理
~鳥は恐竜の、イカはベレムナイト(矢石)の忘れ形見~

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呼吸の度に進んでしまうイカREV
(呼吸の度に進んでしまうイカなのです)
みんな大好き♡イカ・タコの水揚げ量は魚以外ではトップ
イカフライにたこ焼き、おいしいですね。国際連合食糧農業機関(FAO)統計では2012年世界の漁業生産量(養殖を除く)9,251万トンの内、イカ・タコ類が403万トン(同4.4%)でエビを抑えて無脊椎動物ではトップです(水産庁ホームページ)




鞘形類の生き残り戦略
(鞘形類の生き残り戦略は殻を中にしまい込み速く泳ぐこと)
美味しいイカ、タコのレシピとフォトを添えて
美味しいイカのお話につきイカ料理のフォトを添えています。
イカやタコを使った料理レシピのフォトを添えます。それぞれの過去記事へはフォトの下を↓クリックで飛びます。

パスタ、タコと生ハムのペペロンティーノ
(タコと生ハムのペペロンティーノ)クリックでこのレシピの記事に飛びます↓
“お・も・い・つ・き” リサイクル・パスタ、タコと生ハムのペペロンティーノ
イカを愛する研究者の“イカ愛”に満ちた本
今回のサイエンス小ネタは出典著者Danna Staaf氏の“イカ愛♡”に満ちた本「イカ4億年の生存戦略」 “Squid Empire: The Rise and Fall of the Cephalopods”からの借用です。

イカとセロリのあっさり中華炒め
(イカとセロリのあっさり中華炒め) クリックでこのレシピの記事に飛びます↓
初夏の香りと彩を愉しむイカとセロリのあっさり中華炒め
なぜイカには軟甲があるのか?イカの歴史を紐解くと
ホタルイカの季節が進み、「とうがたつ」と妙に小さな軟甲が気になりませんか?そもそもなぜイカには軟甲(イカの舟)があるのでしょうか?それにはイカの歴史を振り返る必要があります。

頭足類の老舗、アンモナイトの終焉
白亜紀末に巨大隕石が落ちて恐竜(トリ以外の)が絶滅したらしいことは皆さんご存知のことと思います。このとき、頭足類の老舗アンモナイト類はとうとう絶滅しました。たくさんの隔室の殻を背負ったアンモナイト類は深海に避難できませんでした。ガスが詰まった隔室は深く潜ると壊れてつぶれるからです。

白亜紀末鞘形類は深海に逃れた
(白亜紀末大絶滅、イカ、タコの祖先の鞘形類は深海に逃れた)
深海に避難して大絶滅を生き延びたイカ、タコの祖先
一方、隔室をなくし殻を中にしまい込んだイカ、タコの祖先、ベレムナイト(※)など鞘形類は深海を避難場所として白亜紀末の地獄を生き延びました。(※:先端にある鞘だけが化石に残ることが多く「矢石」と呼ばれました。イカ、タコは鞘をなくしました)

殻をしまい込んだベレムナイトはほぼイカREV
(殻をしまい込んだベレムナイトはほぼイカ)
殻をなくしてイカ、タコが大繁栄
その後浅い海に戻り繁栄した今日のイカ、タコには鞘も殻もなくなり、イカの軟甲やコウイカの舟(甲)が殻の名残です。

アスパラとほたるいかの炒め物
(アスパラとほたるいかの炒め物)クリックでこのレシピの記事に飛びます↓
春の旬を味わうアスパラとホタルイカの炒め物
頭から足が生えてる頭足類
イカやタコは「頭足類」と呼ばれます。その名の通り「頭から直接足が生えていて」大事な内臓は頭に後ろの「外套膜に包まれた胴」にあります。
かしこい頭足類の過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
かしこ過ぎるタコのヒミツは遺伝子DNAにあり おいしいタコのパスタ

呼吸をすると前に進んでしまう
そんな頭足類が呼吸、つまり水中の酸素を取り込むにはスポイトのように、➀まず外套膜を膨らませて新鮮な水を取り込み、②胴の中の鰓に運んで酸素を取り入れ、③今度は外套膜を縮めて二酸化炭素が溶けた水を吐き出さなければなりません。つまり呼吸の度にスポイトのように水を噴射するので、図らずも前に進んでしまいます。

胴(外套膜)のスポイトでジェット噴射
やがてイカなど鞘形類は外套膜スポイトのジェット噴射を積極的に使って魚やクジラ類などの捕食者から逃れる技を身につけたようです。

殻の名残、軟甲がジェット噴射を推進力に変える
イカのプラスティックのような軟甲は殻の名残ですが、もはやカルシウムはありません。柔軟な外套膜を支えてジェット噴射を推進力に変えているのが軟甲です。クラゲのようにふにゃふにゃでは噴射を推力に変えられません。イカ焼きを食べるときに邪魔な軟甲ですが、とても大事なんです。

イカげそとトマトのシーフードパスタ
(イカげそとトマトのシーフードパスタ) クリックでこのレシピの記事に飛びます↓
イカげそのうま味で味わうシーフードトマトパスタ
たくさんいて食べて食べられる食物網の要
イカは、イワシやサンマなど小~中型の回遊魚と同じで、世界のいろいろな海にたくさんいて小さな魚を食べ、イカ自身も大きな魚やクジラ類の大切な餌になっています。イカは海の生態系の食物網にとって「要」の生物種一つです。海の中層を遊泳する(漂うのではなく)動物は魚の他にはクジラ類とイカです。

4億年の歴史を持つ頭足類、まずアンモナイトが大繁栄
イカの、あるいは、頭足類の歴史は古く4億年以上前の古生代まで遡ります。頭足類はデボン紀に渦巻き型の殻を持つアンモナイト類が出現、大繁栄しました。

中生代のイカ、ベレムナイト
それから5千万年後、石炭紀にその殻を外套膜で包んで中にしまい込んだ鞘形類が出現、中生代の三畳紀に鞘形類ベレムナイトが大繁栄。鞘形類がこんにちの頭足類、ツツイカ(いわゆる普通のイカ)、コウイカ、タコに進化しました。ベレムナイトになると姿かたちはもうほぼイカです。

なぜ殻を中にしまい込んだのか?重装甲のB‐17から快速のモスキートへ
古生代に出現した魚はやがて顎を持つようになり、アンモナイトの殻も噛み砕けるようになり、頭足類は大ピンチ!そこで水の抵抗の大きい殻を柔らかい外套膜で覆い流線型で速く泳いで逃げる戦略を進化させた鞘形類が進化しました。重装甲のB‐17より快速のモスキートになる道を選んだようです。

墨と吸盤という鞘形類の新兵器
イカ、タコの祖先の鞘形類は「鎧」の殻を中にしまい込んだので、➀忍者やデコイ、チャフのように姿をくらます「墨」と、②自在に動いて相手を絡めとる腕の「吸盤」という新たな武器を進化させました。

盲点のない優れた眼
イカ、タコのもう一つの武器は眼です。盲点がなくヒトの眼よりも優れた設計と言われるイカ、タコの高解像度のカメラ眼は素早く敵(捕食者)や餌を捉えることができます。

外套膜のプロジェクトマッピング
イカの外套膜はジェット推進機関や内蔵保護だけではない機能があります。それは「生きもののプロジェクトマッピング」、タコやイカ、特にコウイカは周りの環境に合わせて、➀捕食を逃れる、②気づかれずに餌に迫る、③雌にアピールする、➃ライバルを脅すために、周りを見て、外套膜の色とパターンを変幻自在に操ります。

いまだ謎、イカは色が見えるのか?
変幻自在に体色や模様を変えられる頭足類なので視覚、見ている世界もカラフルだろうと思いますよね。しかしイカの眼の視物質(明るさや色を検出するタンパク質)を調べると「モノクロ」の視覚なんだそうです。謎ですね。

イカ4億年の生存戦略downsize
(イカ愛に溢れた今回の出典「イカ4億年の生存戦略」)
出典:「イカ4億年の生存戦略」 “Squid Empire: The Rise and Fall of the Cephalopods” 2017年 Danna Staaf氏著、日向やよい氏訳、和仁良二氏監修(2018年、㈱エクスナレッジ)
出典:水産庁ホームページ:世界の漁業・養殖業生産(2012年)


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味の変わらないポテトサラダ

味の変わらないポテトサラダ
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味の変わらないポテトサラダの完成ですdownsize
(味の変わらないポテトサラダの完成です)
たかがポテトサラダ、されど「懐かしのポテトサラダ」
ポテトサラダ!定番の洋食の副菜にして、昔、喫茶店のハンバーグやナポリタンなどに添えられていたちょっと懐かしい味です(オッさんにとっては・・)。・・・そして今ちょっとマイブームなんです。




じゃがいも以外の材料を先に混ぜておくdownsize
(じゃがいも以外の材料を先に混ぜておく)
瓢箪から駒、”1週間も味の変わらないポテトサラダ“
「ともかくおいしいポテトサラダを食べたい!」一心で作ってみると・・「アレ?これ1週間置いてもおいしいゾ!」(もちろん冷蔵庫に)なレシピになりましたので、ご紹介してみます。

最後のマヨネーズで味の匙加減downsize
(最後のマヨネーズで味の匙加減)
ポイントは何だろう?
と「後付け」で考えると・・・
1. ともかく極力水気を避けることで「水っぽくしない」、と同時に味や食感が変わるのを最小限に抑える
2. 材料の分量比率を守る、ほぼすべての材料(下ごしらえ後)に塩分を含むのでバランスが大事かも?
3. 味見しながら仕上げる、その日の食材や調理具合で“味はビミョーに揺れる”ようなので「調子見ながらのさじ加減」で


材料です
(材料です)
材料:とってもシンプルです
・ジャガイモ(男爵が良いかも):約500g、だいたい中~大を4-5個、市販のほぼ1袋分
・きゅうり2本
・ハム(パック入りロースハム):8枚(2パック)
・卵2個
・バター2かけ
・マヨネーズ適量
・塩少々


それぞれ下ごしらえしますImage3
(それぞれ下ごしらえします)
作り方:工程は少ないけどていねいに
【下ごしらえです】
(A) ジャガイモ
1) 皮をむき2-3cm厚にスライスし、
2) 重ならないように皿に並べラップをして電子レンジ「根菜」モードで加熱
3) 取り出し(必ずラップを緩めて)水分はキッチンペーパーで拭う
4) バターを乗せ融かしながらジャガイモを室温で冷ます
5) 大さじで粗めにつぶしながらザックリ混ぜておく

(B)卵
1) 卵を半熟気味に茹でる
2) 黄身と白身を分け、白身は粗いみじん切り、黄身は軽く崩しておく

(C)きゅうり
1) 薄い小口切りにし塩もみして5分置き
2) 次に水洗いし水に5分浸す。
3) 十分に水気が切れるようにしっかり絞っておく←ポイントの1つです

(D)ハム
1) 5mmほどに短冊に切りさらに半分にカット


【いよいよ作ります】
※:様子を見ながらマヨネーズを加える
1)ボウルにまず玉子(B)きゅり(C)ハム(D)を入れて混ぜておく
2)次いでジャガイモ(A)を入れて塩ごく少量を振りザックリ混ぜる
3)混ぜながらマヨネーズを加え一度味見をしてマヨネーズの追加分分量を判断し加える(※)


ボウルでよく混ぜ合わせたら完成ですdownsize
(ボウルでよく混ぜ合わせポテトサラダの完成です)
ポテトサラダの完成と保存
冷蔵庫保存してください。しばらくは味が変わらず1週間ほど楽しめます。

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誰も覚えてない英海軍初の後退翼戦闘機シミター

誰も覚えてない英海軍初の後退翼戦闘機シミター
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シミター二面図色付きdownsize
(アラビアの偃月刀ことシミター(Scimitar)、曲線が美しいでしょ)
ひたすら地味な英海軍初の後退翼機シミター
狭い英空母に載せる後退翼亜音速機とするため新技術、パクリ技術、創意工夫とえらい苦労で生まれたスーパーマリン社のシミター艦戦(Supermarine Scimitar)なのに単なる繋ぎの艦攻になり、76機作られただけでとっとと退役。そりゃ、誰も思い出さないよなぁ。




シミター・イン・NY
ニューヨークのど真ん中になぜかシミターが・・。シーサイド、ピア17にエセックス級空母イントレピッドが航空博物館になっています。うん10年前訪れたとき、その甲板で「え、なぜここにイギリス機?」が、シミターとLevalloisbeeとの出会いです(今は展示されていないようです)。エンジンは抜いてありましたが、結構デカイ機体で、なるほど英海軍初の原爆搭載機になれたわけです。

Tangmere Military Aviation Museumのシミターdownsize
(Tangmere Military Aviation Museumのシミター)
柔らかな曲線にペンギン塗装が美しい「偃月(えんげつ)刀」
シミター(Scimitar)とはアラビアなどの偃月刀、三日月刀のこと、803飛行隊の部隊マークにもなりました。柔らかくて美しい曲線のシルエットがステキなヒコーキです。

シミター正面図エンジンがデカイdownsize
(シミターを正面から見るとエイヴォン・エンジンがデカイ)
シミターの地味~で何もない短い生涯
シミターの原型Type 544は1956年初飛行、翌1957年には就役し運用開始。でも1969年に退役し生産機数は76機に留まりました。運用したのも英海軍だけ、5個飛行隊(第736、第800、第803、第804、第807海軍飛行隊)のみ。シミターの任務は事変も戦闘も戦績もないうちに地味に終わりました。

前脚上げてフックをかけてシミターさぁ発艦downsize
(前脚上げてフックをかけてシミターさぁ発艦(「イギリス軍用機1945~1995」より))
前脚を宙に浮かせ尾ソリで発艦って変だろ!
それにしてはシミターは色々とヘンなんです(だから好き♡かも?)。蒸気カタパルトと言う大発明のおかげで狭い英空母からも重いジェット機も発艦できるようになりましたが、シミターたら更に大きく重いので「前脚を上げ尾ソリで尻餅ついてカタパルト射出」と言うとっても変!な運用となりました。

ゴムの上に胴体着陸!トンデモな試作ジェット艦戦
革新的音速ジェット艦戦を目指した仕様N9/47に呼応してスーパーマリン社は脚なしでゴムマットに着地するトンデモなメカのType508を構想しましたが、さすがにそれはムリ。1948年ちゃんと脚のあるType508に設計変更、でもV字尾翼のキワモノ(マジステールの例はあるけど)。

ヴィクトリアス艦上のシミターREVdownsize
(空母ヴィクトリアス艦上に整列したシミター(「イギリス航空母艦史」より))
スッタモンダでパンサー後退翼化クーガーに遅れること5年
ミグ15ショックもありF9Fパンサーを急遽後退翼化したF9F-5クーガーと同じ1951年に直線翼のType 508は初飛行したもののすったもんだの末、後退翼化実用型Type 544(後のシミター)初飛行はクーガーに遅れること5年の1956年になりました。それでも英海軍初の後退翼艦載機です。

後退翼とエリアルールで一挙近代化
音速機を目指すんで、①パワフルなターボジェットエンジン(Rolls-Royce Avon 202)双発に、②遅まきながら後退翼にして、③胴体設計には当時先端技術のエリアルールを採用(腰がくびれたコカコーラあの瓶型)、④翼には境界板とドッグツース。それでも音速には届きませんでした。

狭い空母に大型後退翼機を載せるのにエライ苦労が・・
シミターにはもう一つ大きな課題が。それはとても狭く短い英空母甲板で運用すること。そのため翼の前・後縁ほぼ全体に亘る吹き出しフラップで着艦速度を落とし、発艦時も前脚上げのヘンな恰好になりました。

背中に長~いひれ、実は補助空気取入口
シミターの小さなチャームポイント?の1つが背中の細長~いひれ。実はその先端がエンジンへの補助空気取入口、やっぱりちょっとヘンなヒコーキですね。

Scimitarのプラモdownsize
(ScimitarのXrrakit社1/72プラモ:仮組しかしてません)
戦闘機のはずが攻撃機に、原爆が積めるから
そんな色々と無理したシミターですが、開発してみると「戦闘機としては要らないや」となり、「でもパワフルで重い原爆も積めるから艦攻にしよう」とジェット艦攻になってしまいました。

所詮、傑作バッカニアまでの繋ぎ、少数で短い現役
ところが、ほぼ同時期に低空侵攻能力を持つ革命的艦攻バッカニアが開発されていて、シミターはそれまでの繋ぎ(あるいは保険?)の扱いとなり少数生産で短い期間で現役を終えました。

無理して載せて事故多発、作った半分が失われた
サレルノ上陸作戦でのシーファイアの事故損耗率もスゴイのですが、平時にも拘わらずシミターの事故率もものすごいのです。なんせ生産機数76機の半分39機が事故で失われてしまいました。これはシミターの罪ではなく狭い英空母に後退翼亜音速戦闘機をムリムリに載せた結果です。

シミターの諸元です
乗員:1名、全幅:11.3 m、全長:16.8 m、全高:5.28 m、翼面積:45.06平方m、総重量:15,500 kg
エンジン:Rolls-Royce Avon 202(ロールス・ロイス エイヴォン 202)ターボジェットエンジン2基、11,250 lbf (50.1 kN)
最大速度:毎時1,185km、航続距離:2,289 km、上昇限度:14,000 m、上昇力:13,700 mまで6.65 分
武装:機首固定30mmADEN(アデン)機関砲4門、ハードポイント(4カ所):AGM-12ブルパップ4発、AIM-9サイドワインダー4発、爆弾:454kg4発、3インチロケット16基、または、核爆弾Red Beard(:レッドベアード)1発


シミターの1/72プラモ、シーホークに比べバカデカイ
だいぶ前に買ったXtrakit社1/72シミターがプラモ在庫棚に眠っています。これまた組んでいないシーホーク1/72と比べるとバカでかい!シミターってFFAでは破格の大型機だったんです。

世界で一番美しいプロペラ戦闘機Spit!
2万機以上も作られ先の大戦全期間と朝鮮戦争でも活躍するほど長命で史上最も美しいシルエットのプロペラ戦闘機、スピット(Spitfire)と言えば、設計者レジナルド・ミッチェルとそのメーカー、スーパーマリン社です。


シュナイダー・トロフィー3連覇の栄光
ストランレアやウォーラスなど傑作飛行艇を作り、飛行艇や水上機の老舗だったスーパーマリン社。当時高速機と言えば滑走路の長さに制限がない水上機だった1920-30年代のシュナイダー・トロフィー・レース (The Schneider Trophy)にもS社は熱心に参戦。後のスピットに繋がるS.5、S.6、S.6Bで3連覇しトロフィーを永久に英国のものにしました。
ウォーラスの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
名機スピットの地味な兄弟は海のレスキュー隊; ウォーラス小型飛行艇

渾身のリベンジもS社最後の戦闘機となったシミター
そんなS社ですが、スピット以降の戦闘機では、スパイトフル、シーファング、アタッカー、スイフトと見事な駄っ作機シリーズになっちゃいました。その渾身のリベンジがシミターだったのですが、バッカニアと言う革命的傑作機の前に早期引退となり、ヴィッカース社にM&Aされたスーパーマリン社最後の戦闘機になりました。

出典:Military Aircraft 1995年3月号「イギリス軍用機1945~1995」(デルタ出版)
出典:世界の艦船2005年10月号増刊No.649「イギリス航空母艦史」(海人社)
出典:ウィキペディア記事「スーパーマリン シミター」/”Supermarine Scimitar“
出典:Tangmere Military Aviation Museum.ホームページ
https://www.tangmere-museum.org.uk/aircraft-month/supermarine-scimitar


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除草剤に善玉菌をやられミツバチが感染症で大量死かも?+ミツバチの街ルヴァロワ

除草剤に善玉菌をやられミツバチが感染症で大量死かも?
+ミツバチの街ルヴァロワ

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除草剤に善玉菌がやられミツバチが感染症に
(除草剤に善玉菌がやられミツバチが感染症に)
農業のトモダチ、ポリネーター(花粉媒介者)
ミツバチ、マルハナバチなどのハチたちは植物から花蜜をもらう代わりに花粉を運んで受粉を助ける花粉媒介者(ポリネーター、pollinator) (ハチのほかにアブ、チョウ、ガ、コウモリなど)として野の草花だけでなく農作物の実りを助ける農業にとってとても大事なトモダチです。
ハチのために野草を刈り残す過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
ずぼらな芝刈りがハチは大歓迎!環境にも良いかも?




セーヌの中之島ジャット島の散歩道downsize
(セーヌにかかかるルヴァロワ橋の下、ジャット島の散歩道:スーラの点描画で有名)
パリ郊外ルヴァロワはミツバチの街
Levalloisbeeが3年間住んでいましたパリの衛星都市ルヴァロワ・ペレ(Levallois Perret)は養蜂、つまりミツバチで栄えた街です。ミツバチつながりでルヴァロワのフォトを添えます
ルヴァロワとハチの過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
パリ郊外ルヴァロワの市章ミツバチには秘密がいっぱい
道具を使って蜜を取り一族にワザを伝えるマルハナバチ+パリ郊外ハチの街ルヴァロワ
地元の街のすてきな顔Hotel de Ville 後編
スーラの名画はご近所のセーヌ中之島、ジャット島でした


水に映るボートハウスREVdownsize
(水に映るボートハウス:ジャット島にて)
動物には無害な除草剤でミツバチが大量死か?
「動物には無害」とされ世界中で広く使われている除草剤グリホサート(Glyphosate、ベストセラー「ラウンドアップ」が有名)がミツバチを大量死に追いやっている疑いがあるそうです。

腸内細菌の善玉菌も除草剤の標的に
グリホサートは直接ミツバチを殺すのではなく、グリホサートがミツバチの腸内細菌の「善玉菌」を減少させ、その結果、腸の粘膜免疫系が損なわれて抵抗力が落ちたミツバチは感染症にかかり、その数を減少させているらしいのです文字色
お腹のアリエッティ腸内細菌の過去記事はこれです↓クリックで飛びます)
「お腹の中のアリエッティ」が棲む熱帯雨林を大切に・・・

花に囲まれた春のルヴァロワHotel de Ville REVdownsize
(花に囲まれた春のルヴァロワ市庁舎(Hotel de Ville))
ミツバチ大量失踪事件、CCD(蜂群崩壊症候群)
原因不明のままミツバチが大量に失踪する事件、CCD(蜂群崩壊症候群、Colony Collapse Disorder)は報道にも取り上げられ有名ですね。

働きバチだけが跡形もなく消えるミステリー
CCDは①巣には女王バチも蛹もちゃんといて②蜂蜜や花粉など食糧は十分あるが、③働きバチが忽然と消え死骸も見当たらないなどが特徴で、今や欧米にとどまらず、日本でも、インド、ブラジルなどでも世界中で起こっています。

ルヴァロワ市庁舎早春のひなたぼっこREVdownsize
(ルヴァロワ市庁舎の庭で早春のひなたぼっこ)
「オリエントエクスプレス殺人事件」にまた一人犯人が増えた
名探偵ポワロが「乗客全員が犯人」と喝破した、アガサ・クリスティーの名作「オリエント急行殺人事件」みたいにまた一人、グリホサート系除草剤がCCD(蜂群崩壊症候群)の犯人に加わりました

2000匹のミツバチで試すと善玉菌が減った
出典著者、テキサス大学のNancy Moran氏らは2000匹のミツバチ(Apis mellifera)にただのシロップか、シロップにグリホサートを花蜜を集めるときに晒される程度の量入れたものを与えて放ち、3日後に巣から回収して腸内細菌を調べるとグリホサートを与えたハチは重要な腸内細菌※が減っていました(※:腸の防御能、粘膜免疫を支えている)。

Levallois市章REVdownsize
(ルヴァロワ・ペレ市のタイル張りの市章、十字路の小公園にあります)
グリホサートに晒すと何でもない病原菌で死ぬ
更に、ミツバチたちを、普通に巣に居る病原菌(Serratia marcescens)に感染させるとグリホサートを与えていない(シロップだけ)ミツバチは47%が生き残ったのに対して、グリホサートを与えたミツバチは17%しか生き残りませんでした。グリホサートはミツバチなど動物には無害なはずなのに。

感染症から守る善玉腸内細菌をグリホサートは消す
出典著者のNancy Moran氏らは、巣の若い働きバチに(A)ミツバチの腸内細菌のカクテルを与えて腸内細菌を増やし、別の働きバチには(B)抗生物質を与えて腸内細菌を減らして、病原体に感染させると、(B)の腸内細菌の無いハチはほとんど死にましたが、(A)の腸内細菌強化ハチは約半分が生き残りました。次に(A)の腸内細菌強化ハチを病原菌とグリホサート両方に晒すと今度はほとんど死んでしまった。ちなみに(A)も(B)もグリホサートだけに晒しただけではハチは死にませんでした

ルヴァロワ橋からセーヌの鉄道橋を望むdownsize
(ルヴァロワ橋からセーヌの鉄道橋を望む)
殺虫剤、食糧難、病原体、共犯者いっぱいの複合ストレス
別の出典著者、サセックス大学Dave Goulson氏らは、CCD(蜂群崩壊症候群)などハチの減少(大量死)は寄生生物、農薬、食糧難(花の減少)などの複合ストレスではないかと指摘しています。
例えば、①抗カビ剤は殺虫剤の毒性を高め、②殺虫剤はハチたちの感染症への抵抗力を弱め、③一方、野の花が減って蜜源が減ったことによる食糧難(飢餓ストレス)がハチたちの毒物や病原体への抵抗力を低下させる、と考えられるからです。


EU「予防原則」でネオニコチノイド系殺虫剤制限へ
CCD(蜂群崩壊症候群)の原因の一つと疑われるネオニコチノイド系殺虫剤3種を、因果関係について確証がないなかで、EUは2013年5月使用の規制に踏み切ると発表しました。EUの基本理念の1つ「予防原則※」の考え方に基づくものです。(※:環境に重大で取り返しのつかない影響を及ぼす恐れがあるとき、たとえそれが仮説の段階で科学的にはまだ十分に証明されていなくても、規制に踏み切ると言う考え方;日本の行政はこれに慎重ですが)

ミツバチ減少は半世紀前からも・・
実は戦後、数10年前からミツバチの数は減り続けています。その原因はCCDの犯人(の1人)としてやり玉に挙がったネオニコチノイド系など殺虫剤に限らず多岐に亘りそれらの複合的、相乗的なストレスによるのではないか、と出典著者のDave Goulson氏らは指摘しています。

レトロな搭にクリスマスイルミネーションのルヴァロワ市庁舎 downsize
(レトロな搭にクリスマスイルミネーション:ルヴァロワ市庁舎)
小さなパートナーを守らなきゃ、他人事じゃない!
腸内細菌とは、ヒトや動物の腸の内部に生息している細菌のこと。ヒトでは約3万種類、100兆-1000兆個が生息し、1.5kg-2kgの重量になるそうです。ハチだけじゃなくヒトはどうなんでしょうね

つながっている生き物も併せて考える
ヒトに限らずどんな動物でも腸内細菌の働きは重要です。除草剤グリホサートは雑草つまり植物にあってもハチなど動物にはない酵素を抑える「安全な除草剤」でした。しかし、実は腸内細菌などバクテリアにも効いてしまい、ハチたちの“善玉菌”を減らして腸の粘膜免疫を低下させハチたちの感染症に対する抵抗力が損なわれたと思われるそうです。つながっている生き物も併せて考えることが大切なのでしょうね。

出典:”Glyphosate perturbs the gut microbiota of honey bees” Erick V. S. Mottaa et al. Proceedings of the National Academy of Sciences published ahead of print September 24, 2018www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1803880115
出典:”Bee declines driven by combined stress from parasites, pesticides, and lack of flowers” Dave Goulson et al. Science 27 Mar 2015: Vol. 347, Issue 6229, 1255957 DOI: 10.1126/science.1255957
出典:”Common weed killer believed harmless to animals may be harming bees worldwide” Warren Cornwall Science 21 September 2018 Vol 361, Issue 6408 doi:10.1126/science.aav5169
出典:クローズアップ現代「謎のミツバチ大量死EU農薬規制の波紋」(2013年9月12日放送)
出典:ウィキペディア記事「蜂群崩壊症候群」、”Colony collapse disorder (CCD)”、「腸内細菌」


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