フランスの夢見る仇花か双発戦闘機ポテ630シリーズ

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フランス航空雑誌のポテ特集downsize
(フランス航空雑誌のポテ特集;なんとスーパーで売ってた)
フランスでは「悲劇の傑作機」なのか?ポテ
敗戦間際の日本、ドイツの試作機たちは「悲運の名機」ですが、開戦直後のフランス機も(フランス人にとっては)「悲劇の名機」なのか?パリで買った航空雑誌には2回に亘るポテの特集(Potez 630シリーズ)が載っていました(写真見てください)。





ポテ631三面図downsize
(ポテ631三面図;ポテはちょっと小粋で小洒落た機体です)
華麗なる駄作っ機の宝庫、レシプロ双発戦闘機
岡部ださく氏(本当は岡部いさくさん)の「世界の駄作っ機」で“格好の題材”、あるいは“題材寸前”の参照例になっている第二次大戦前夜や最中の役に立たない「(レシプロエンジン)双発戦闘機」は、エアラクーダ、ウェルキン、SE-100、F5Fスカイロケットなど各国にたくさんあります。加えて、まぁ一通りは働いたけど、そもそも当初コンセプトが「あぁ勘違い」のMe110、月光、ホワールウィンドなどもあります。

ポテは手さぐり黎明期です原型初飛行比較
(ポテは「あぁ勘違い」の手さぐり黎明期です。双発戦闘機の原型初飛行年の比較)
双発傑作戦闘機は例外中の例外
だからモッシー(DH98モスキート)、ボー(ブリストル・ボーファイター)、Pe2、P-38ライトニングなどは例外中の例外の“成功した双発戦闘機”なんです。

1940年6月コートダジュールのポテ631downsize
(1940年6月コートダジュールのポテ631)
お仏蘭西の優雅な仇花ポテ630シリーズ
そんな“期待の星が役立たなかった“、「仇花」となった”お仏蘭西な”双発戦闘機にポテ630(Potez 630)シリーズがあります。スタイルはさすがフランス、とってもエレガントなんですけどねぇ・・・

双発戦闘機のエンジン馬力比較
(双発戦闘機のエンジン馬力比較;ポテは非力すぎる)
コンセプトは先駆的だったのに、ポテ
大戦前夜、プロペラ双発機に求められた大事な資質の1つが多用途性ですが、ポテ630シリーズは、
・エンジン換装の実用戦闘機型631は250機ほど生産
・中止になった夜間戦闘機635
・ダグラスDB-7が輸入され中止になった爆撃機633
・生産中に敗戦となった重戦闘機671
・ゴンドラ付偵察機637
・一番多く700機以上生産されよく戦った透明オタマジャクシ機首の偵察・地上攻撃機63.11
などなど、バリエーションがたくさんあって、その点では先取りしていました。


1940年6月ボルドーのポテ630REVdownsize
(1940年6月ボルドーにいた初期型のポテ630)
優雅でも尖がり方が足りない、ポテ
でも「双発戦闘機」として成功するには、モッシー、P-38、J21、ウェストランド・ホワールウィンド、He219ウーフーなど、単発戦闘機にも勝る“尖がったデザインとコンセプト”が必要なんですが、ポテ630はそこまで先鋭化したデザインではありませんね。

1940年12月中東ハイファの自由フランス軍ポテ6311downsize
(1940年12月中東ハイファの自由フランス軍ポテ63.11)
タフな多用途性にはパワフルなエンジンを・・
また、モッシー、ボー、P-61などのように、双発の利点である多用途性(multi-roles)、頑強性(robustness)や生存性(survivability)などを発揮するには、パワフルで信頼性の高いエンジン(マーリン、ハーキュリーズ、ダブルワスプとか)と余裕があり使いやすい機体構造が必要です。

双発戦闘機の最高速度比較
(双発戦闘機の最高速度比較;やっぱり遅すぎるポテ)
ローヌ・エンジンが非力すぎるのも一因
しかし、ポテ630シリーズはこの点で“ヤワ過ぎ”ます。搭載のイスパノスイザ・エンジン(Hispano-Suiza 14Hbs)は640馬力、馬力強化型ポテ631のノーム・ローヌ・エンジン(Gnome et Rhone 14M)でも出力はたったの660馬力しかないので。ちなみにゼロ戦や隼の心臓、栄エンジンはこのノーム・ローヌ・エンジンの血統を継いでいます。

双発戦闘機の馬力過重比較
(双発戦闘機の馬力過重比較;ポテはひ弱)
非力なままの横展開(多用途)ではもう限界だよ、ポテ
もっとも初飛行が後に名機となるライバル達より少し早い1936年なので双発戦闘機の成功条件を求めるのは酷かも知れません(後出しじゃんけんなので)。また、ブレニム→ボーフォート→ボーファイターのようなパフォーマンス向上ではなく、戦闘機→襲撃機・観測機と横展開したのが(エンジンが非力でそうせざるを得なかったのが)敗因なのかも?

双発戦闘機の翼面過重比較
(双発戦闘機の翼面過重比較;ポテは軽快)
小粋でひ弱な若旦那、ポテ
ポテとほぼ同じくして時代の先端をゆく当時はカッコいい新鋭機にブレニム(元ネタはビジネス機ブリテンファースト)がありました。共にアカ抜けたデザインながら非力でやがてA-20ボストン、B-25ミッチェル、Ju88、P-38ライトニング、DH98モスキート、Pe-2などパワフルな後輩たちにとっとと追い抜かれました。そしていざ空の戦いが始まるともはや単なる「斬られ役」。
でも大戦前夜、「一夜の夢」の思い込みと勘違いのポテやブレニムの小粋なデザインは結構好き♡です。


敵味方双方の各国に愛された素直なポテ
それでもポテ631やポテ63.11はフランス降伏後もヴィシー政権軍でも自由フランス軍でも引き続き就役したほか、ギリシャ、ポーランド、スイスでも使われました。更に占領軍であるドイツとその枢軸国のイタリア、ルーマニア、ユーゴスラビアでも練習機として使われました。“乗りやすい愛すべき”ヒコーキだったんでしょうね、ポテは。

レシプロ円熟期には双発でも傑作機が群がり出る
ま、ジェット機時代黎明期になると、一方のレシプロ機の方は円熟期で周辺技術も進歩し、P-61ブラックウィドウ、F7Fタイガーキャット、DH103ホーネット、F-82ツインムスタングなど双発でも成功作が目白押しになりますけど。
でも、ポテみたいにダメだけどエレガントなヒコーキもいいですね。


Potez 631の諸元
原型(Potez 630)初飛行1936年4月25日
乗員 3名
全長 11.07m、全幅 16.0m、全高 3.08m、翼面積 32.7平方m
空虚重量(自重、Empty weight) 3,135kg
エンジン Gnome et Rhône (ノーム・ローヌ)14M 660馬力×2基
最大速度 時速460km、航続距離 1,225km
武装 20mm機関砲×2、7.5mm機銃×1(後方旋回)


出典:ウキペディア(日英仏)「ポテ(Potez) 630/63.11」
出典:AIR MAGAZINE No16 (2003年10・11月号)、No19 (2004年4・5月号)


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鼻が利かなきゃメタボにならない
(鼻が利かなきゃメタボにならない)
鼻が利かなきゃメタボな食事でも肥らない??
たこ焼き、焼き鳥、焼きそばなどお店の前を通るだけでいい匂いに食欲をそそられますよね。
でも臭わなかったら(鼻が利かなかったら)相当にメタボな食事を摂っても太らないようです、今のところネズミ君でのお話しなのですが。





Place du Vieux Marche広場のレストランREVdownsize
(Place du Vieux Marche広場の老舗レストラン)
北仏ルーアンのグルメ
グルメ??つながりで北フランスのルーアンの創業1345年のミシュラン星レストラン” La Couronne”で摂ったランチの写真を添えます。さすが星付きの老舗、料理も雰囲気もすてきでした。
その過去記事です↓(クリックで飛びます)
古き佳きルーアン モネとジャンヌダルクを訪ね北仏ルーアン再び 後編

出典のスリムねずみとメタボねずみ
(出典のスリムねずみとメタボねずみ)
OSN(嗅覚受容神経)が美味しい匂いを脳に伝える
臭いを感じる嗅覚は鼻粘膜にある嗅覚受容神経(OSN、olfactory sensory neurons、嗅神経)に臭い分子を感知し(※)、その電気信号が脳(最初は嗅球へ)に伝わることで感じることができます。このOSNが無い、あるいは、働かないと臭いを感じることが出来なくなります。(※:OSNの表面にある嗅覚受容体(Olfactory receptors)に臭い分子がくっつく)

お洒落なアントレREVdownsize
(お洒落なアントレです)
「鼻の利かないネズミ君」を作ってみた
出典著者のCeline E. Riera氏、Eva Tsaousidou氏らは微量のジフテリア毒素(※)でマウスのOSN(嗅覚受容神経)を一時的に働かなくすることで「鼻が利かない」マウスにしました。(※:害がない程度の量だと思います)

鼻が利かなきゃメタボ食でもスリム体形のまま
このOSNが働かず鼻が利かないマウスと正常なマウスにメタボな食事(高脂肪食)を与えたところ、正常なマウスはブクブクに太ったのに、鼻が利かないマウスはスリム体形を維持していたそうです。ちょっとお借りした出典の2匹のマウスの写真を見れば一目瞭然です。


シーフードの一皿downsize
(シーフードの一皿)
メタボ君も嗅覚を失うと減量できた
また、一旦太ってしまったマウスの嗅覚を無くすと“減量“できた-体脂肪の量が減った-そうです。更に糖尿病になるリスクである「インスリン抵抗性」(※)も抑えらました。
(※:血糖上昇を抑えるホルモン、インスリンの利き=組織への糖の取り込み、が悪くなること。結果、血糖値が上昇する)


エクササイズじゃないよ、脂を燃やしたんだ
「嗅覚を失うとエクササイズをして-運動量が増えて-肥満にならなかったんじゃないの?」、いえ、OSNが働かない嗅覚を失ったマウスでも運動量は変わりませんでした。その代わり褐色脂肪組織BAT(brown adipose tissue)(※)が増えて熱の産生が増えました。メタボ食を食べてもどんどん燃やして熱として放散していた訳です。(※:カロリーを貯める普通の脂肪組織(white adipose tissue)とは違い、BATは寒い時など体温を保つため脂肪を燃やして熱を作り出す)

牛肉とフォアグラの一皿downsize
(牛肉とフォアグラの一皿、食器も美しい)
BAT(褐色脂肪組織)による脂肪燃焼がカギ
マウスの嗅覚受容神経OSNを働かなくすると、鼻が利かなくなり褐色脂肪組織BATによる熱の産生が高まって(メタボな)食事によって惹き起こされる肥満が抑えられました。OSNにあるIGF-1受容体が無いと嗅覚が高まり肥満症とインスリン抵抗性を招きます。嗅覚は体のエネルギー代謝のバランスに重要な役割を果たしているようです。


BATがないヒトはネズミ君のようにはいかない
じゃ嗅覚を失ってメタボな食事を摂っても肥らないのがホントに良いのか?香りは食べる楽しみの大切な要素なので最善策とは言えません。第一ヒトの成人には肝心のBATがほとんどないのです(ネズミ君と違って)。

アーモンドと果物がよく合うアイスクリームdownsize
(デザートはアーモンドと果物がよく合うアイスクリーム)
IGF-1が嗅覚が肥満に導くのを抑えている
同じく出典著者の研究で、OSNにあるIGF-1受容体(インスリン様成長因子-1受容体、insulin-like growth factor 1 receptors)を失うと嗅覚が高まり、その結果、マウスは肥満症になり、インスリン抵抗性も増しました。IGF-1は臭いが導く肥満を抑えているようです。

将来の研究に期待しましょう
今後更に研究を進めれば香りも味わいながらおいしく食べて肥満にならない新しい道が拓けてくるかも知れませんね。


出典:“The Sense of Smell Impacts Metabolic Health and Obesity” Celine E. Riera, Eva Tsaousidou et al. Cell Metabolism 26, 198–211, July 5, 2017
出典:“Mice shed weight when they can’t smell—but not because they stop eating” Mitch Leslie, Science Vol 357 Issue 6346 (2017) Jul. 5, 2017


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ナスと厚揚げをみそ炒めのコクで楽しむ夏の一品

ナスと厚揚げをみそ炒めのコクで楽しむ夏の一品
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コクがあってあっさりなナスと厚揚げの炒め物downsize
(コクがあってあっさりな「ナスと厚揚げの炒め物」です)
コクがあってあっさりの夏の野菜料理
え、これだけ?と言うほど簡単な材料でちゃっちゃと作れるのですが、コクがあってあっさりとした夏にぴったりの野菜のおかずです。




下ごしらえdownsize
(下ごしらえは一手間をかけて)
ポイントはみそとネギか?
ポイントは、①やっぱり赤味噌が利いてる(TVより増量してます)、②(TVでは青ネギですが)フツウの長ネギでも青白あわせて使うとそれぞれが味のアクセントに、③厚揚げはちょっと焦げ目がつくのがやっぱり良い(TVのアドバイス通り)と言うところでしょうか

最後にネギを加え炒めるdownsize
(中火で厚揚げとナスを最後にネギを加え炒める)
夕食のヒントにしてますよ、上沼さ~ん
TV料理番組「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」は結構好きで観ています、登場する和洋中の先生方のウデは確かだなと毎回感心しながら。だからそのレシピを我が家の夕食に試してみるのもしばしばです。

ナスと厚揚げのみそ炒めの完成downsize
(「ナスと厚揚げのみそ炒め」の完成です)
いつもテキトウにイジってすみません
今回は7月17日放送の岡本先生の和食レシピ「厚揚げとナスのしょうが焼き」を作ってみました。
いつも通りテキトウに手を抜いて少しばかり自分好みにアレンジしてますけど。それでもこの1品は“意外なおいしさ”だったのでちょっとご紹介しています。

変更点は、①材料をシンプルに、②ネギは青も白も使う、③赤味噌を増量、です

材料downsize
(材料はたったこれだけです)
【材料】
・厚揚げ:2個(280g)
・なす(中サイズ):3本
・長ネギ:1本、青い部分も白い部分もすべて使う

【合わせ調味料】
・赤だしみそ:15g
・日本酒:大さじ2杯
・みりん:大さじ2杯
・醤油:1杯と1/3(20ml強)
・ショウガ:15gすりおろす

【その他の材料】
・サラダ油:大さじ1杯と3/4(25ml)

【下ごしらえ】
1.合わせ調味料を作る
・ショウガはすりおろし、おろしショウガと他の合わせ調味料の材料すべてを混ぜ合わせておく。赤みそは混ざりにくいのでスプーンなどを用いて溶かしながら混ぜる

2.具材を用意する
・厚揚げはキッチンペーパーで表面の油を取り横4分、縦2分に切る(計16個の角切りになる)
・ナスはへたを取って縦に6等分に切り更に2分する(計36切れになる)
・長ネギは青い部分は幅2-3mmの斜め切り、白い部分は1-2cmの斜め切りにし別々にしておく


【作り方】
1.厚揚げとナスをじっくり焼く
・フライパンにサラダ油をひき、中火でまず厚揚げを焼く。途中箸で返して反対面も焼く。
・次いでナスを入れ混ぜながら中火で半透明になるまで焼く

2.ネギと合わせ調味料を入れさっと仕上げる
・ネギの白い部分を入れてさっと混ぜて炒め、次いでネギの青い部分を入れて同じくさっと炒める
・合わせ調味料を3回に分けて入れる。少し水分が飛んで具に絡んだところで次を入れる(このときアルコール分も飛ぶ)
・合わせ調味料を入れ終えたら火を止めて皿に盛る


出典:テレビ朝日「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」2017年7月17日(月)放送/テーマ”簡単スピードメニュー 和食「厚揚げとナスのしょうが焼き」


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わずかな油汚染でも海鳥は命をつなげなくなる+パリ郊外のお仏蘭西なヒコーキ

わずかな油汚染でも海鳥は命をつなげなくなる
+パリ郊外のお仏蘭西なヒコーキ

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イソシギの渡りと繁殖に遅れは許されない
(イソシギの渡りと繁殖に遅れは許されない)
グローバルなエネルギー流通が招く重油流出事故
大型タンカーの座礁事故などで大量の重油が海に流出して海鳥たちが油まみれになった映像はショッキングですし記憶にも新しいところです。ここ最近30年ほどの世界の石油流出事故をNITE(製品評価技術基盤機構)がまとめていますが、今でも毎年のように起こっています(出典参照)。




「ちょっとだけよ♪」もダメ!海鳥さんにとっては・・
「じゃ、ちょっとだけなら油が海に流れてしまってもオッケーなの?」→いえ、違います!わずかな油でも海鳥の繁殖に深刻な影響がありそうなのです。

シックな塗装の複葉機機種は分かりませんREVdownsize
(シックな塗装の複葉機、でも機種が分かりません)
パリ郊外エアショーのレアもの機
飛ぶつながりで、パリ郊外Ferte Alais の草っぱら航空ショーFete Aerienne、のちょっとレアものヒコーキのノンビリなフォトを添えます。

わずかな油の付着も致命的なんです、海鳥には
広大な大海原をゆく海鳥にとっては少しばかりの油が翼の端に付いただけでも「飛行特性」は下がり飛行の効率は落ちます。ましてその飛行が遠く波涛を超えて繁殖地へ向かう旅なら致命的です。海に落ちなくても「致命的」なんです。

イソシギは北米を縦断して繁殖地アラスカに渡る
メキシコ湾からアラスカの繁殖地に渡る海鳥、体長20cmほどのか細いイソシギ(Calidris mauri、western sandpiper) メキシコ湾から繁殖地であるアラスカ州の更に北部ノーススロープ(North Slope)まで渡ります。

フランス衣装のセスナO-1バードドッグREVdownsize
(フランス衣装だとセスナO-1バードドッグも小粋に)
バレリーナのようなか細いイソシギに油が付くと・・
そのイソシギの羽や胴体に少し(30%以下)油が付着しただけで飛行効率は45%も低下しました。実際、油が付着した鳥は途中度々羽を休めたそうです、必要以上に飛行が疲れるからです。

海鳥の繁殖は時間厳守です
その結果、営巣地への到着が45日ほど遅れました。これは極北の短い夏のたった2週間でつがい、産卵し、雛を育てなければならないイソシギにとって「致命的」です。

モラーヌソルニエ MS406は当時の仏空軍塗装REVdownsize
(モラーヌソルニエMS406は当時の仏空軍塗装です)
到着が遅れると繁殖のチャンスを逃す
動物は適切な時(繁殖シーズン)に適切な場所(繁殖地)でパートナーと出会わないと子孫を残せません。そのような種はやがて絶滅します。
羽のわずかな油汚染でも飛行効率を下げ飛行時間が長引き、営巣地到着が遅れます。するとパートナーを見つけられない、あるいは、見つけたとしても営巣が遅くなり雛が十分には育ちません。


ドイツ空軍のOV10 ブロンコdownsize
(ドイツ空軍のOV-10ブロンコ)
「バーニング・オーシャン」は“今そこにある危機”
ほんの少し前、2010年にもメキシコ湾で海底油田の油井が大爆発しなんと約78万キロリットルもの原油が海に流出しました。ここまで規模が大きいと「バーニング・オーシャン」と言う映画にまでなりました(Levalloisbeeは観てないんですけど)。

数年に一度、今でも流出事故は起こっている
(独)製品評価技術基盤機構(NITE)が最近の世界の石油流出事故をまとめてウェブに掲載しています。世界の石油流出事故/NITE

ニュースにもならない重油流出でも海鳥には脅威
一方、小規模の重油流出は話題になりにくくニュースにもならないでしょう。でも海の渡り鳥にとっては種の存亡に拘わる脅威であるようなのです。

些細な環境撹乱でも大きな影響があるかも?
ヒトからは些細に“見える”環境撹乱であっても他の生き物にとっては深刻な事態を招くこともあると言うことでしょう。また例えば、もしも油流出でイソシギの個体数が減ってしまったら干潟の生態系は大きな影響を受けることでしょう。ヒトの営みの環境への影響の評価は難しいですね。


出典:“Light oiling of feathers increases flight energy expenditure in a migratory shorebird” Ivan Maggini氏ら Journal of Experimental Biology Vol 220 P.2372-2379 (2017) (doi: 10.1242/jeb.158220)
出典:”Even tiny amounts of oil could doom seabirds” Giorgia Guglielmi氏執筆 Science Vol 357, Issue 6346 (7 July 2017)


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鼻が利かないとアリさんは社会生活が出来なくなる+初夏の庭の花

鼻が利かないとアリさんは社会生活が出来なくなる+初夏の庭の花
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嗅覚を失うと空気を読まない無鉄砲なアリさんになるdownsize
(嗅覚を失うと空気を読まない無鉄砲なアリさんになる)
「アリさんはゴマ油大好き!」が分かった我が庭の小実験
昔、庭で砂糖水とごま油と塩水と水道水を浸み込ませたろ紙をアリさんの道に置いてみたら、なんと「ごま油のろ紙」にだけ“アリさんの黒だかり”が出来て「アリさんは味より臭いなのか!」と驚いたことがありました。





白いカルミアREVdownsize
(白いカルミア;赤いカルミアの裾にひっそり咲いていました)
夏を彩る庭の花たち
今回はほかに知恵もないので、アリさんつながりで我が庭の初夏を飾ってくれる花たちのフォトを添えます。

ニワゼキショウREVdownsize
(ニワゼキショウ;庭の芝生に勝手に生えてきます)
アリさんはたくさんの臭いセンサーを持ってる
アリさんは350種類もの臭い検知器(嗅覚受容体)を主にそのアンテナ(触覚)に持っています、同じ昆虫でもショウジョウバエは46種類なのに。

アリさんの華麗な香りの世界
昆虫は私たちとは少し違った仕組みでフェロモン、味、臭いなどの化学物質を感知しますが、アリたちは特に嗅覚受容体の種類が豊富です。アリさんがカロリーの高いごま油の臭いに惹かれるのは当たり前ですね。
アリさんの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
負傷兵を担いで救出するたくましいサハラの看護兵アリ+初夏の花たち
灼熱サハラで砂漠アリは万歩計と視覚フローでナビる+哀愁のリスボン再び
森のお百姓さんハキリアリと昔作ったプラモたち


黄色いアルストロメリアその1REVdownsize
(黄色いアルストロメリア;赤と黄色が庭に咲きます)
アリさんの社会行動にも大切な嗅覚
じゃ、臭いを嗅げないとアリさんはどうなるんだろう?
臭いを感知できないミュータントのアリさんは勝手気ままに振る舞い、社会的な行動を行わない「空気を読まないアリ」になると分かったそうです。出典著者Waring Trible氏らの研究です。


嗅げないと空気も読めません、アリさんは
普通なら仲間が付けた臭いの跡をたどって仲間を追うのにミュータントは従わないし、アリさんが忌避する臭いを塗ったラインの前で普通のアリさんはUターンするのに、ミュータント・アリさんは平気で横断してしまう・・とまぁ、おおよそ「空気を全く読まないアリさん」になっていました。

ルリマツリREVdownsize
(ルリマツリ;淡い青の花が陽を浴びています)
臭い感知器に共通の遺伝子を壊すと・・
様々な嗅覚受容体に共通に必須の遺伝子を壊すとアリさんの触覚にある嗅覚神経の集まり(glomerulus)がちゃんと出来上がらず、鼻が利かなくなるようです。

女王なし、皆で勝手に殖える変なアリさん
ところで、出典著者のTrible氏らが調べたアリさんはちょっと変わっていて、女王がいないけどクローンで勝手に殖えるアリさん、しかも他のアリさんを襲うアリさん、clonal raider ants (Ooceraea biroi)です。

ネジバナREVdownsize
(ネジバナ;これも庭の芝生に生えてきます)
純血主義のアリさんの遺伝子操作は無理?
色々な動植物で遺伝子操作による改変が成功しているのにアリさんではまだ成功していなかったそうです。普通アリさんは女王アリさんだけが卵を産み、卵や幼虫は十分な世話がないと育たない上に、遺伝子操作でちょっと臭いが違うと拒絶されてしまうからだそうです。うむ、純血主義なんですね。

皆が勝手にクローンを生むヘンなアリさん
でも、このアリさんclonal raider antsは雌性無性生殖で、コロニーのアリさんみんながそれぞれ親と全く同じ遺伝子のクローン未受精卵を産むうえに、2mmくらいの小さな体なので仔が育って更に孫を産むまでの期間が約2週間と短いから研究モデルとして格好です。

ウツギREVdownsize
(ウツギ;可憐な白い花です)
魔法の杖か?巡航ミサイルか?CRISPR/Cas9
だから卵に遺伝子操作を行えば同じ遺伝子のミュータントのクローンが短期間でたくさん作り出せる訳で、今回使われた遺伝子操作は最新のゲノム編集(gene editing)の魔法の杖、CRISPR/Cas9(クリスパー・キャス・ナイン)で従来の遺伝子組み換えと違って狙ったところだけにピンポイントで遺伝子を除去したり(ノックアウト)違う望みの遺伝子を入れたり(ノックイン)出来ます。まるで遺伝子工学の巡航ミサイルですね。

役立つ道具だからこそよく確かめないと
思わぬところに遺伝子が入ってしまうリスクがはるかに少なく応用範囲も広いので安全性が高く正確な新しいタイプのGMO(遺伝子改変動植物)が作れるから、飢餓や貧困を解決するためなどに大いに期待される最先端技術、CRISPR/Cas9。世界が飢えないための大事な技術(の1つ)です。もちろん倫理面や社会容認性の議論が改めて必要になります。


ピンクのカルミアdownsize
(ピンクのカルミア;傘のようにだんだん開いてゆきます)
単細胞だって必死に生きてる、CRISPR/Cas9で
ちなみにCRISPR/Cas9はもともとはバクテリアがウイルス(ファージ)に感染したときに次に備える一種の免疫シシテムなのだそうです。単細胞生物だって必死に生きてるんですね。

動物ならゾウさんが一番鼻が利く
ところで、哺乳類の嗅覚受容体(※)は、ヒトでは347個、イヌで811個、一番多いのがゾウで1948個だそうですが、小さな昆虫の嗅覚はよりシンプル、効率的な別の仕組みだそうです(だから少数でOK)。(※:機能する嗅覚受容体の遺伝子の数)。
ヒトの嗅覚は2つある、と言う過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
呼気で感じる風味の正体、第2の嗅覚で豊かで健康な生活

(出典にリンクは貼っていませんので参照されるときはコピペしてください)
出典:”orco mutagenesis causes loss of antennal lobe glomeruli and impaired social behavior in ants” Waring Trible et al. bioRxiv Feb. 28, 2017; doi: http://dx.doi.org/10.1101/112532.
http://biorxiv.org/content/early/2017/02/28/112532
出典:”World’s first genetically modified ants shed light on how complex insect societies evolved” Elizabeth Pennisi氏執筆 Science Mar 8 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/03/world-s-first-genetically-modified-ants-shed-light-how-complex-insect-societies-evolved?utm_campaign=news_weekly_2017-03-10&et_rid=208065204&et_cid=1209629
出典:ウキペディア記事(英) “Ooceraea biroi”
https://en.wikipedia.org/wiki/Ooceraea_biroi


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古代アマゾンの農園からヒトが去っても果樹はたくましく生き残る+カプリの緑と海

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客待ちの青の洞窟行ボートdownsize
(客待ちの青の洞窟行ボート;南イタリアのカプリ島マリーナ・グランデ港)
アマゾンの遺跡周辺では栽培種の樹木が占めている
アマゾンの鬱蒼とした熱帯雨林や、アフリカの広大なサバンナって現生人類が“世界制覇”を果たすはるか前からあった「原始の自然」に思えますよね、でも違います、いずれも相当に人為的な自然の姿です。




フェリーから見るカプリは断崖絶壁の島downsize
(フェリーから眺めるカプリは断崖絶壁の島)
カプリ島の緑、花、紺碧の海
何となくのイメージつながりで、青い地中海に浮かぶ緑と花の島、カプリ島のフォトを添えます。
カプリの過去記事です↓(クリックで飛びます)
ナポリ湾の宝石カプリ島で「大事件」目撃のはずが・・・
青く輝くカプリ島青の洞窟と青い光が時計を合わせる第三の視覚
細胞たちのDIY、話し合いの自己組織化で再生医療へ+夢の島カプリ続編


青の洞窟は幻想的なブルーの世界downsize
(青の洞窟は幻想的なブルーの世界)
外来感染症が先住文化を一掃した
15-16世紀、ヨーロッパ人が南北アメリカを侵略し天然痘(small pox)など病原微生物を持ち込んだため、武力よりは外来の感染症のために先住の人々のほとんどが亡くなりその文明、文化も一掃されてしまいました。

人々が消えても森は遺った
それでもアマゾンには遺跡だけではなく先住の人々の農業の痕跡や影響が今でも数多く残っていることが近年の研究で明らかになってきました。ヨーロッパからの入植者が見た新大陸の森は原始の森」ではなく疫病で先住民が消えた後の「二次林」だったのです。

ブーゲンビリアで着飾ったブランド店downsize
(ブーゲンビリアで着飾ったブランド店)
知られざるアマゾンの高度農業文明
調査によれば、アマゾンには現在でも、例えば、ヤシ(palm)などの栽培品種が多く残っているそうです。先住の人々は高度な農業文明や技術を持ち、アマゾンの密林を人為的に改変していたようなのです。
「原始の森」の印象があるアマゾンですが、実はその多くが二次林であるようです、特にアマゾン川流域の川沿いでは。


アマゾンは8000年前には農園であった
アマゾンの先住の人々は、ヨーロッパ人が来る前から既に、アマゾンの生態系に大きな変化をもたらしていたらしいのです。少なくとも8千年前(日本なら縄文時代のど真ん中)からアマゾン先住の人々は栽培品種化(domestication)した作物を植えてアマゾン川や支流の川沿いを豊かな農園にしていたようです。

木々も家も岩山に張り付いて立つREVdownsize
(木々も家も岩山に張り付くように立っています)
実は多くの目撃証言があったのです
実際、ヨーロッパ人が当初アマゾンを「探検」したとき(まだ感染症が蔓延する前)、アマゾン川支流の川沿いに大きな集落と立派な農地を「発見」していたそうです。

なぜか遺跡の周りには栽培品種が多いけど・・・
また、昔から考古学者はアマゾンの遺跡の周囲には何故か栽培品種の樹木が生えていることに気付きフシギに思っていたそうです(それ以上の研究が進まなかったのは当時考古学から見て生態学は

海に向かって急こう配のケーブルカーREVdownsize
(海に向かって急こう配のケーブルカー)
良く調べるとアマゾンには栽培品種が227種も
出典著者のオランダのユトレヒト大学(Utrecht)及びNaturalis Biodiversity Center のHans ter Steege氏らは、このようなアマゾンの植生のこれまでの研究データを包括的に見直し、整理し、データベース化したところ、「栽培品種」と思われる樹木は227種もあり、その一部は今でもヤノマミ族(Yanomami)など先住民の食糧になっていてご先祖様からの贈り物ですね。

世話をやかなくても自立できるスゴイ栽培品種
もう一つ、アマゾンの先住の農業がスゴイ!のは「アマゾン栽培品種」は、イネやコムギとは違って。「お手入れ不要」であることです。だから、感染症で農民が“消えても”樹木たちは今日までアマゾンでちゃんと繁茂してきた訳です。

島じゅうに咲いているビーゲンビリアREVdownsize
(島じゅうに咲いているビーゲンビリア)
元栽培品種の3分の1以上が今でも優先品種
出典著者であるブラジルNational Institute for Amazonian Research及びオランダのヴァーヘニンゲン(Wageningen)大学所属の Carolina Levi氏とHans Ter Steege氏らによれば、現在でもアマゾンの調査地点1091ヶ所から、上述の栽培品種227品種のうち、85種がその場所の優先種だったそうです。アマゾン先住の人々が生み出した栽培品種はたくましいようです。

崖上の小路から垣間見えるクルーズ船downsize
(崖上の小路から垣間見えるクルーズ船)
アマゾンの生物多様性を担う栽培品種二次林
出典著者らは、アマゾンの東部と南西部でこのような栽培品種の二次林が特に多く、ボリビアでは森林の生物多様性の61%を担っていると推察しています。

なぞ、疑問はまだまだありそう
別の研究者からは今ある栽培品種がいつ植えられたか、が不明で先住の人々が植えたと断定できない、との指摘もあるようで、まだまだ調べることはありです。

二次林が「持続可能」な生態系の1つの答えかも
いずれにしても、アマゾンの栽培品種や日本の里山のような二次林が未来に向けた“持続可能な(sustainable)”森の1つの姿なのかも知れませんね。

出典: “Hyperdominance in the Amazonian Tree Flora” Hans ter Steege et al. Science Vol. 342, Issue 6156, 1243092 (18 Oct 2013) DOI: 10.1126/science.1243092
出典: “Persistent effects of pre-Columbian plant domestication on Amazonian forest composition” Carolina Levis et al. Science Vol. 355, Issue 6328, pp. 925-931 (03 Mar 2017) DOI: 10.1126/science.aal0157
出典: “Hundreds of years later, plants domesticated by ancient civilizations still dominate in the Amazon” Erik Stokstad Science Vol 357, Issue 6346 (7 July 2017)


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暑い潮に鍛えられサンゴは白化に強くなる、ちょっとユルメがミソ+石垣のサンゴ礁

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暑い潮に鍛えられるサンゴ礁
(暑い潮に鍛えられるサンゴ礁)
サンゴの白化REVdownsize
(サンゴの白化、共生する褐虫藻類がいなくなったため)
サンゴは水温にとても敏感、高くなると白化
サンゴは熱帯~亜熱帯の陽光あふれる温かい浅海にしか育ちませんが、水温にはとても敏感で、暑すぎても、水温が少し上がるだけで「白化」を起こして死んでしまいます、フツウは。
最近のサンゴ礁の関連過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
海草がサンゴの海を有毒微生物から守っている+サンゴ礁の魚たち




サンゴに群れる稚魚たちREVdownsize
(サンゴに群れるさまざまな魚種の稚魚たち)
サンゴ礁が育むサカナたち
サンゴ礁つながりで石垣島ダイビングの写真を添えます。
石垣島ダイビングの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
珊瑚礁の宝石、色鮮やか魚たち 石垣島ダイビング番外編
6月の海は恋の季節石垣島ダイビング記


ボラ系の稚魚かREVdownsize
(ボラ系の稚魚か、サンゴに隠れて暮らしています)
白化の一歩手前の高温なら鍛えられる
ところが、造礁サンゴは白化に至るほどの強いストレスよりちょっとだけ弱い閾値下のストレスにさらされると“鍛えられて”ストレスに強くなるそうです。

デバスズメダイREVdownsize
(魚影ゆたかなサンゴ礁、デバスズメダイたち)
造礁サンゴを周期的に洗う高温の潮
造礁テーブルサンゴAcropora hyacinthusには外洋から周期的に高い水温の強い潮のパルスが打ち寄せます。高い水温はサンゴにとって白化を招くためキケンなのですが・・・

ハナゴイREVdownsize
(ハナゴイが群れるサンゴ礁)
適度の高温はサンゴの不良品処理(UPR)を促す
出典著者の米国スタンフォード大Lupita J. Ruiz-Jones氏らはその間(17日間)の件のサンゴを調べ、高い水温の潮のときには「細胞の不良部品処理」である「UPR(unfolded protein response)」が高まり、潮が去ると収まることを見つけました。

UPRでサンゴは白化ストレスに強くなる
この高温の潮の水温は白化に至るほど高くないけどサンゴにとって適度の高温ストレスになりUPRが高まることにより、白化を招くほどの高い水温の潮が来ても耐えられるような耐性が出来るそうです。

魚影ゆたかなサンゴ礁REVdownsize
(魚影ゆたかなサンゴ礁)
実験室でサンゴを高温で鍛えると・・・
実験室でサンゴを人為的に「適度の高温」にさらしてみると・・・野外で観察したのと同じ反応、UPRの高まりが起こりました。どうやらサンゴを鍛えて熱耐性を高めることも出来るかも?です。

高温の潮が半月ごとにやってくるワケとは?
地球と月の運動で日々の満ち潮/引き潮出来て、半月単位でそのリズムが大きくなったり、小さくなったりと、大潮/小潮が起こります。保礁に囲まれたサンゴ礁の浅海はほぼ半月の周期で小潮のときに水温の高い(満ち)潮に洗われます。

モンツキスズメダイREVdownsize
(モンツキスズメダイ)
UPRが止めきれず不良品が貯まると自殺する
もともとUPRは真核生物(目に見える核がある生き物、ヒトもサンゴもそうです)に共通に備わっている「壊れてダメなタンパク質が増えたらひとまずタンパク質合成を止めよ」って防御反応です。それでも細胞にダメ蛋白(ちゃんとくるまってカタチになってないunfolded proteins)が貯まり過ぎると生き物の細胞は「もう、こらアカンわ」と言うことで自殺(アポト-シス、apoptosis)します。

武士の本懐とは家来を逃がすこと
これがサンゴなら「ワシもうアカンからお前ら(共生の褐虫藻類)もっとエェとこに出ておゆき」・・と褐虫藻類(光合成を行うサンゴ礁の色の元)が去ってサンゴは「白化」に至ります。
「この城ももはやこれまで。おのおの方におかれては城を捨て落ち延びられよ」ってことなんでしょうね。


造礁サンゴを鍛えて白化を防ぐ?
人為的地球温暖化に伴うサンゴの白化が世界中の海で進んでいますが、造礁サンゴを鍛える方法が分かれば何らかの対策に結びつくかも知れません。この研究がもっと進むといいですね。

出典:”Tidal heat pulses on a reef trigger a fine-tuned transcriptional response in corals to maintain homeostasis” Lupita J. Ruiz-Jones* and Stephen R. Palumbi Science Advances 08 Mar 2017:Vol. 3, no. 3

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絶えず姿を変え生き抜いてきた、たくましい落葉樹林+フランスの秋アヌシー

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落葉樹の誕生と試練
(落葉樹の誕生と試練)
寒さと乾燥を凌ぐため葉を落とす
植物、特にその葉は低温や乾燥に弱く、温帯・亜寒帯の冬や熱帯の乾季に落葉することで凌ぐ樹木が落葉樹です。添えるフォトはスイス国境に近いフランスのアヌシー(Annecy)の黄葉です。
アヌシー過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
フランスアルプスの宝石アヌシー番外編
氷河が作ったアヌシー湖と氷河期を見つけたアガシ第2章アヌシー湖とルイアガシ
氷河が作ったアヌシー湖と氷河期を見つけたアガシ 第1章





日米欧の森はよく似た風景、でも来歴も多様性も違う
冬に葉を落とすことで樹冠を開ける落葉樹は温帯の森の生態系を維持する重要なメンバーです。日本、北米、ヨーロッパなど温帯の森は一見よく似ていますが、樹種の構成や小動物、昆虫や鳥など森の生態系メンバーの種も違います。自然の歴史がそれぞれ違うためです。

愛の橋はカップルに大人気downsize
(ティウー運河河口の愛の橋はカップルに大人気)
白亜紀の極地で落葉樹は生まれた
恐竜が闊歩していた白亜紀、暖かな極地で落葉樹は生まれました。極地の太陽の無い季節を凌ぐため「葉を落とす」と言う適応を進化させました。そして夜の無い夏、白夜では一気に葉を盛んに茂らせたようです。

激変する地球の歴史を生き抜いた落葉樹
小惑星が落下して恐竜たちが滅んでも、その後の「核の冬」のような暗く寒い時代も落葉樹は高い適応力で生き残りました。暁新世には優先樹種になり、始新世の温暖化、中新世の寒冷化を生き抜き、氷河期に氷河に追われても間氷期には毎回失地を回復しました。

朝の運河は鏡のように橋を映していますREVdownsize
(朝のティウー運河は鏡のように橋を映しています)
地球の歴史を精密に語る花粉化石
稀に偶然が重なって化石になった骨や歯と違い、毎シーズン大量に飛散する花粉の化石なら時系列が連続したデータが得られます、100年単位、時に10年単位の精度で。

湖底の花粉化石は10年単位の歴史の語り部
湖沼の堆積物などに保存されていた過去何万年かの花粉化石の種類と炭素同位体などによる年代測定からいつごろどのような植物がそこで繁茂していたかが分かります。

湖畔の紅葉と別荘REVdownsize
(アヌシー湖畔の紅葉と別荘)
氷河に合わせて南へ北へ、温帯林はえらいこっちゃ!
北米、ヨーロッパの高緯度地方では氷河の前進と後退に伴って落葉樹林も南へ、北へとに後退と前進を繰り返したようです。

氷河からの回復が遅れたヨーロッパの森
ヨーロッパの氷期には落葉樹など木々はスペインなど避難地を除き氷河によりほぼ一掃されました。そのためヨーロッパでは氷河期を生き残った樹木の種は29%にすぎません。
アルプス、ピレネーなど多くの山脈が南北を分断するヨーロッパでは氷河が去っても落葉樹林は失地回復が遅れ、かつ気候が好転して急速に北上し「空き地を埋めた」ためヨーロッパの森の多様性は低いのだそうです。


小さな運河の眼鏡橋downsize
(運河に掛かる小さなの眼鏡橋)
大陸とくっついたり離れたりで日本の森は豊かに
氷河の進出が厳しくなかった日本など東アジアでも同様で氷期と間氷期に伴う寒冷と温暖の繰り返しで落葉樹林は分布を変え、加えて海進と海退のため島になったり陸続きになったりしました。これは日本は欧米よりも落葉樹林の多様性が高い要因に1つです。

アヌシーのティウー運河べりレストランまだ準備中downsize
(スイス国境フランスの街アヌシー、ティウー運河沿いのレストランはまだ準備中)
日本の森が豊かなワケとは?
東アジアでは落葉樹は氷期に完全には一掃されず、海進で島になると孤立化し新種が出現します。そして再び地続きになると、今度は多くの種が混じり合いました。そのため96%の樹木種が氷河期を生き残りその多様性も高くなっています。北米はヨーロッパと東アジアの中間の結果であるようです。


ブタの看板のAnnecyのレストランdownsize
(ブタの看板のアヌシーのレストラン)
失地回復も一様ではない
1万年とちょっと前、最終氷期が終わり氷河が後退し北米の森が北に向かって「失地回復」の進軍をしたときも樹種によってスピードはバラバラで風散布のヤナギは年に287mなのに鳥が散布するヌマミズキは年70mと差があります。

常にメンバーが変わってきた北米の森
その結果、例えば、コネチカット州ロジャース湖底の花粉化石を分析すると、たった1万年ほどの間に、最初はツンドラ→1万2千年前、マツの寒帯林へ→9千年前、カエデなど落葉広葉樹へ→2千年前、クリの木が加わるなどの順で森の構成が移り変わってきたことが分かりました。北米の森も常に樹種が変わってきたようです。

太古の森なぞ(ほぼ)存在しない
落葉樹林は戻って来たその度に違う動植物のパートナー同士で森の生態系を新たに作り上げてきたようです。だから温帯には「悠久の原始の森」なんてないんです。

森のメンバーはたまたま居合わせた者の組合せす
動物、植物の種は気候の変動、環境の変化にそれぞれ別々のやり方で反応します(適応し進化するとか、移動してしまうとか)。温帯の森は特定の組合せの動植物が互いに依存しあう「運命共同体」ではありません。

森は地球史の中の偶然の出会いで出来てる
むしろ温帯林の生態系は、棲む環境の条件が似ているもの同士が地球の歴史の中で偶然の巡り合わせでたまたま同じ時期、同じ場所に居合わせ棲んでいる植物、動物の集団です。たまたま今日乗り合わせた電車やバスの乗客同士のようなものでしょうか?

これからの森とのつきあい方とは?
ここまでは私たち現生人類がまだ地球環境を大きく変え始める前の物語りです。それでも落葉樹や温帯の森は激変する気候や環境の中、めくるめく健気にその姿を変えながら生き延びたし、その回復力、適応力はこれから私たち森とつきあってゆくための多くのヒントがあることでしょう。

秋の紅葉は滅んだ縄文の森を落葉樹が継いだもの
落葉樹は適応力、回復力が高いたくましい植物なのです。開墾など、人々が元からあった照葉樹林を伐採し、その後何らかの理由で(例えば、14世紀のヨーロッパでペストが流行し人口が激減した)人が去れば落葉樹林が進出、占有して優先種になります。日本では縄文の照葉樹林の多くが「伐採→放置」を経て、現在は紅葉や黄葉する落葉樹林になったようです。

出典について
出典著者Askins氏は米国コネチカット大学教授、鳥類学と生態学の研究者で、同志社大学でも講義を行い日本の、特に京都の森も研究対象です。日本の自然や文化に対する造詣も深く、森の成り立ちと変化、これからについて示唆に富む本です。今回はごく一部のご紹介ですが、ご興味あれば書店や図書館で実際に手に取ってみられることをお勧めします。

出典:「落葉樹林の進化史」”Saving the World’s Deciduous Forests” 2014年 Robert A. Askins氏著、黒沢令子氏訳 (2016年、築地書館)

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